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「俺の弟が年金を払ってないらしい」支払いを無視していたらどうなるのか?
国民年金の催促状を無視するとどうなるのだろうか

「俺の弟が年金を払ってないらしい」支払いを無視していたらどうなるのか?

「どうやら俺の弟が年金払ってないらしい」「年金払うの無視してたらどうなるの?」。ネットの匿名掲示板に、こんな書き込みがあった。

書き込みによると、弟は土木作業員で実家暮らし。その実家に「めっちゃ手紙が来て」いるらしい。弟がどれぐらい稼いでいるかは不明だが、実家の世帯年収は1200万円ほどあるという。

掲示板では、「無視でOK」といった反応もあったが、もし国民年金の督促が来ていて、それを無視しているのだとしたら、後で「何かひどいめ」にあったりしないのだろうか。社会保険労務士の巴山奈美氏に聞いた。

●財産の「差し押さえ」も

「国民年金の保険料を滞納し続けた場合、預貯金などの財産を差し押さえられてしまう可能性があります」

財産を差し押さえられたら大変だ。「俺の弟」もピンチと言えるのだろうか。

「『めっちゃ手紙が来ている』ということですが、督促状が来ているとすれば、深刻な状況です。

督促状は『最終通告』です。役所が督促状を送る基準は、『所得400万以上で13ヶ月以上滞納』となっています。

さらに、2015年度、つまりこの4月からは条件が厳しくなって、『所得400万以上で7ヶ月以上滞納』の人に送られることになりそうです」

督促状を無視したら、どうなるのだろうか?

「先にお伝えした通り、預貯金などを差し押さえられる可能性があります」

●払えないなら「猶予・免除」の制度がある

「そもそも年金を支払っていないと、将来もらえる年金が減ります。場合によっては、年金を全くもらえないという事態も起こりえます。

さらに、国民年金を支払っていないと、障害を負った際にもらえる障害年金がもらえませんし、死亡時の年金も、もらえなくなる可能性があります。いざとなったときに困ることになるのです」

払いたくても払えない場合は、どうすればよいだろう。

「もし、所得が減ったり、失業した等の事情があって、年金を払えないのであれば、免除や納付猶予の制度があります。

国民年金は25年以上保険料を支払うと受け取ることができ、支払った保険料に応じて金額が決まります。滞納の期間は加入期間にカウントされませんが、保険料免除や納付猶予であれば、加入期間にカウントされます。

この制度を利用した場合、保険料を支払っていない分、もちろん受け取る金額は減ります。けれど、後から支払って年金を増やすこともできるのです。年金を払う余裕がない人は、払わないまま放置せずに、この免除・猶予制度を検討してみてください」

巴山氏は、このように話していた。

(税理士ドットコムトピックス)

【取材協力社会保険労務士】

巴山 奈美(はやま・なみ)社会保険労務士

岡山県生まれ。社会保険労務士の資格を取得後、都内社会保険労務士法人に勤務。労務管理、労使トラブルの解決、社会保険事務などに携わる。 2014年、ベンチャーサポート税理士法人に入社。

事務所名   :ベンチャーサポート税理士法人

事務所URL:http://www.venture-support.jp/

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