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東京都「君が代」訴訟で教職員が一部勝訴 「減給・停職の懲戒処分は違法」
判決後に記者会見を開いた君が代訴訟の原告たち

東京都「君が代」訴訟で教職員が一部勝訴 「減給・停職の懲戒処分は違法」

学校での「君が代」斉唱にかんして処分を受けた東京都立高校・特別支援学校の現・元教職員50人が、東京都教育委員会による懲戒処分の取り消しや国家賠償を求めた裁判。東京地裁の佐々木宗啓裁判長は1月16日、一部の処分を取り消す、原告一部勝訴の判決を言い渡した。

教職員らは卒業式や入学式で君が代を歌わなかったり、起立しなかったり、ピアノ伴奏を行わなかったなどとして、懲戒処分を受けた。裁判の争点となった懲戒処分は、2007年3月から09年5月までの式典等に係わるもので、その内訳は戒告25件、減給29件、停職2件だった(1人で複数の処分を受けたケースがある)。

今回の判決では、君が代斉唱などの命令に従わなかった教職員に、東京都教育委員会(都教委)が懲戒処分を加えたこと自体は適法としつつ、その処分の「重さ」に問題があるとした。戒告を超える「減給・停職」の処分については、裁量権を逸脱していて違法だとして、取り消した。

●教職員側は「控訴」を検討

君が代斉唱をめぐって処分を受けた教員らは、処分の時期・内容ごとに裁判を複数起こしている。一連の裁判では、2012年1月に最高裁判決が出ており、今回の判決もほぼそれに沿った内容だった。

原告側によると、都教委は卒業式等での国旗掲揚・国歌斉唱を職員に義務づけ、違反した教職員に対して懲戒処分を科している。また、処分内容は、違反を繰り返すたび、だんだん重くなるという。

原告側は、判決を受けて、司法記者クラブで会見を開いた。

戒告・減給・停職処分を受けた元教員の渡辺厚子さんは、「処分の取り消しは大きな成果。一緒に戦ってくださったみなさまのおかげだ」と訴訟の支援者に対する感謝の言葉を述べた。一方で、「戒告処分が取り消されなかったことや、自分が求めていた国家賠償が認められなかったことには強い不満がある」と話した。

原告・弁護団は、裁判所が一部の処分を取り消したことを評価する一方で、「都の通達や職務命令・懲戒処分が違憲・違法だという訴えが認められなかった」「非常に残念な判決」などと表明。判決内容を見て、控訴を検討すると話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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