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「先入観があった」 朝日新聞の「慰安婦報道」第三者委員会が報告書
第三者委員会の中込秀樹委員長(右)から報告書を受け取る朝日新聞社の渡辺雅隆社長

「先入観があった」 朝日新聞の「慰安婦報道」第三者委員会が報告書

朝日新聞社の「慰安婦報道」を検証していた第三者委員会(委員長:中込秀樹弁護士)は12月22日、検証結果をまとめた報告書を同社の渡辺雅隆社長に提出した。

第三者委員会は、太平洋戦争中に済州島で、慰安婦にする目的で多数の朝鮮人女性を強制連行したとする吉田清治氏の証言を掲載した朝日新聞の記事について、同社が今年8月に「虚偽」と判断して取り消したことを受けて、掲載の経緯や国際的影響などを検証するために木村伊量前社長が設置した。

同委員会のメンバーは、中込委員長のほか、外交評論家の岡本行夫氏や国際大学学長の北岡伸一氏、ジャーナリストの田原総一朗氏、筑波大学名誉教授の波多野澄雄氏、東京大学教授の林香里氏、ノンフィクション作家の保阪正康氏の有識者計7人で構成されている。

1982年の吉田証言の掲載記事や1997年の特集記事、今年8月の検証記事のほか、同月掲載予定だった池上彰氏のコラムの掲載見送りを決めたことなど、これまでの慰安婦関連報道を検証。報告書では、誤報が起きた際の対応策の確立や、取材チーム編成の開示、執筆者の明示、経営と編集の分離などを提言した。

中込委員長は「誤報」を生んでしまったことについて、「一定の先入観があったから証言を信じたのではないか。(初報の)後の人も信じた。疑ってみないことには先入観が介在することになる」と指摘した。

同社の渡辺雅隆社長は報告を受けて、「重大な危機にあることを自覚し、朝日新聞社を根底からつくりかえる覚悟で改革を進めることを約束いたします」とのコメントを発表した。

また、同社はこの日、池上彰氏のコラム掲載見送り問題をめぐり、2015年1月1日付で当時取締役編集担当だった杉浦信之氏を出勤停止2カ月、当時取締役財務・東京五輪スポーツ戦略担当兼社長室長だった福地献一氏を停職2ヶ月、当時執行役員知的財産・広報・ブランド推進・環境担当だった喜園尚史氏を停職2ヶ月とする処分を発表した。

報告書は朝日新聞社のホームページ(http://www.asahi.com/shimbun/3rd/)で公開されている。

(弁護士ドットコムニュース)

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