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「権力の暴走は十分に予想しうる」秘密保護法訴訟の原告団「廃止」求める声明(全文)
「秘密保護法は違憲だ」と訴えているジャーナリストの一人・寺澤有さん

「権力の暴走は十分に予想しうる」秘密保護法訴訟の原告団「廃止」求める声明(全文)

国が指定した「特定秘密」を漏らした公務員などを厳しく罰する「特定秘密保護法」が12月10日、施行された。同日、この法律は違憲だとして国を訴えているフリージャーナリストらが東京・日比谷でシンポジウムを開き、「廃止」を求める声明を発表した。

ジャーナリストらの原告団は声明で、「権力の暴走は十分に予想しうる」「ナチス政権のドイツで制定された『全権委任法』のように、憲法を超越した独裁政権の成立を許してしまう」と主張。さらに、特定秘密保護法を「稀代の悪法」と批判したうえで、「施行されたからといっても、決して手遅れではない」「断固として廃止させなければならない」と訴えている。

声明文の全文は、以下のとおり。

●「秘密保護法」違憲東京訴訟・原告団声明

2014年12月10日

秘密保護法違憲東京訴訟原告団

本日12月10日、特定秘密の保護に関する法律、いわゆる「秘密保護法」が施行されました。

この法律が違憲であるとして、施行の差し止めを求めて争ってきた我われの訴訟は、同法の施行によって揺らぐものではありません。今後も勝訴をめざして本件訴訟を継続して闘っていくことはもちろん、訴訟外においては、むしろ廃止を求める運動をさらに強めていく所存です。

「秘密保護法」は昨年12月、大多数の民意を無視した強行採決によって成立した法律です。法案成立直後に行われた世論調査では、法案に反対する意見が過半数を占めていました。

さらに本年10月には、政府が作成した「秘密保護法」の施行令および運用基準の素案に対して寄せられた約2万4000件ものパブリックコメントがほとんど無視され、施行令および運用基準は、指定基準の曖昧さなどの重大な問題を残したまま閣議決定されてしまっているのです。

「悪法」は、運用の仕方によって解釈が拡大されるなどして、その弊害が顕在化するまでに時間がかかるものです。ところが「秘密保護法」においては、成立から施行に至るまでの経緯からして、すでに、国民主権の原理に違反しています。

「秘密保護法」の施行により、まず最初に懸念されるのは、政府による恣意的な秘密指定。そして、それにともなう「報道の自由」や国民の「知る権利」の侵害などです。

さらには、安倍晋三首相による「日本を取り戻す」とのスローガンや「集団的自衛権」の名のもとに、「戦争のできる」国家体制づくりの第一歩となり得るのが「秘密保護法」です。

「特定秘密」の口実に多くの情報を隠蔽され、国民の監視の目が行き届かなくなった場合、権力の暴走は十分に予想しうることです。たとえば、ナチス政権下のドイツで制定された「全権委任法」のように、憲法を超越した独裁政権の成立を許してしまう恐れさえあります。

そうならないためにも、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を掲げた日本国憲法を守り、「稀代の悪法」ともいうべき「秘密保護法」を断固として廃止させなければなりません。

施行されたからといっても、決して手遅れではありません。国会議員の過半数が賛成すれば、いまからでも「秘密保護法」の廃止に向けた世論を高め、日本全国の仲間たちとともに、廃止運動を活発化させていくために全力を尽くしてまいります。

以上

(弁護士ドットコムニュース)

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