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<美濃加茂市長裁判>会食「同席者」が贈賄側証言を否定 「途中で席を外していない」
証人「T氏」の尋問が行われた名古屋地裁

<美濃加茂市長裁判>会食「同席者」が贈賄側証言を否定 「途中で席を外していない」

岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長が、受託収賄罪などに問われている事件。名古屋地裁で行われている公判では10月8日、証人「T氏」の尋問が行われた。

このT氏は、藤井市長と、贈賄側の浄水設備会社「水源」の中林正善社長を引き合わせた人物。「現金を受け渡した」とされる2回の会食の場に、2回とも同席しているキーマンだ。

T氏は「2回とも席は立っていない」と証言。前回の公判で中林社長が証言した「T氏が席を立っている間に現金を渡した」という話を否定した。

検察側の筋書きを否定するT氏に対して、検察官が「居酒屋で2時間にビールを2杯も飲めばトイレに行くものではないか」などと食い下がると、傍聴席から苦笑が漏れる場面もあった。(ジャーナリスト/関口威人)

●「ドリンクバーは3人で取りにいった」

T氏は、名古屋市内で居酒屋を経営していたが、昨年1月ごろに店を閉じ、その後は「政策シンクタンク」や名古屋市議の秘書として活動している。藤井市長とは美濃加茂市議時代から政策などについて相談し合う間柄。中林社長とも以前からの知り合いだった。

そして昨年2月ごろ、T氏は、自治体への浄水プラント導入を目指していた中林社長を、当時市議だった藤井市長に引き合わせた。

藤井市長、中林社長とT氏の3人は昨年4月2日、美濃加茂市内のファミリーレストランで会食した。

中林社長はここで会食をした際、T氏が3人分の飲み物を取りにドリンクバーに行ったすきに、現金入りの封筒と浄水プラントの資料を藤井市長に手渡した、と証言している。

これに対しT氏は、「ドリンクバーは最初に3人で取りに行った。人にこびを売るのが嫌いなので、私が他人の分まで取りに行くことはない」などと否定した。

●居酒屋店長は「2人だけのときもあった」と証言

同月25日には名古屋市内の居酒屋で、3人が再び会った。このときもT氏が中座している間に現金授受があったと、中林社長は述べている。

しかし、この点についてもT氏は、「席は外していない。最近までこの店のトイレがどこにあるか知らなかった。藤井君と会うときは貴重な時間なので、携帯に電話がかかってきてもわざわざ外に出てまで電話をすることはない」と話した。

検察側は「店のトイレの場所を知らないということは、トイレに行ったかどうかの記憶もないということではないか」「他の店で飲むときもトイレには行かないのか」などと執ように聞いたが、いずれもT氏が反論。T氏は「この事件があって、私がトイレに行くことがあまりに大きな話になっている」と呆れたように話した。

一方で、この日同じく証人尋問に立った名古屋市内の居酒屋の店長は、「店内を接客に回っている間、3人だった席が白い服の2人だけになった記憶がある。藤井さんと中林さんだったと思う」などと証言。T氏が席を外した可能性を示唆した。

次回公判は10月16日に予定されている。

(弁護士ドットコムニュース)

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