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「営業利益」と「経常利益」はどう違う? 税理士が教える「決算の数字」の見方
続々と発表される各社の決算、ビジネスマンならその見方を知っておいて損はないだろう

「営業利益」と「経常利益」はどう違う? 税理士が教える「決算の数字」の見方

「ソフトバンクが営業利益1兆円を達成してドコモを超えた」「トヨタの営業利益が6年ぶりに過去最高を更新」。上場企業の昨年度の決算が、次々と発表されている。ニュースで決算の数字を見かける機会も多いだろう。

決算の記事をみていると、「営業利益」「経常利益」「純利益」など、同じ「利益」でも違う呼び名が出てくる。また、ソニーの2014年3月期連結決算のように、営業利益は260億円の黒字だが、純利益(純損益)では1300億円の赤字になることもある。

利益という点では同じはずなのに、なぜこうしたズレが生じるのか。「営業利益」と「純利益」の違いなど、決算の数字をどう読み解けばいいのだろうか。中村太郎税理士に聞いた。

●「営業利益」が黒字でも「経常利益」が赤字になることも

「『営業利益』とは、売上から仕入や人件費などの経費を引いたもので、会社の『本業による利益(儲け)』を表しています。たとえばトヨタであれば、車の販売による儲けですね。

一方、『経常利益』とは、営業利益に、預金利息や為替差損益など会社の『本業とは異なる財務活動によって得られた利益と費用』を含めて計算します。

したがって、『経常利益」は、会社の『本業を含めた継続的な活動によって得た利益(儲け)』を表しています。本業で儲けが出ていても、利息の支払いや為替レートで大幅に損失が出ている場合、経常利益がマイナスになることがあります」

中村税理士は、「営業利益」と「経常利益」の意味について、このように説明する。では、「純利益」とは、なんだろうか。

「『純利益』とは、さきほどの経常利益に、不動産の売却損益や災害損失などの、会社の『本業とは異なる臨時的・偶発的に発生した利益と費用』(特別損益)を含め、さらに『国や地方に納付すべき法人税や住民税などの税金負担分』をマイナスして計算します。

したがって、『純利益』は、会社の本業や財務活動、臨時的・偶発的な取引、税金の支払いなど、すべての取引や活動により『最終的に会社に残った利益(儲け)』を表しています。経常利益がプラスであっても、会社所有不動産の売却により大幅に損失が発生した場合などは、純利益がマイナスになることがあります」

ひとくちに利益といっても、それぞれ違った意味があるわけだが、これら決算の数字をどう見ていけばいいのだろうか。

「決算の数字では、会社の最終的な儲けである『純利益』だけに着目するのではなく、本業の儲けである『営業利益』や、会社の継続的な取引による儲けである『経常利益』にも注目する必要があります。

たとえば、『純利益』がマイナスであったとしても、それが不動産売却や災害損失によるものであれば、臨時的・偶発的なマイナスであり、一時的なものと判断することができます。

また、決算の数字で『純利益』が昨年度よりマイナスであっても、『営業利益』や『経常利益』がプラスであれば、その会社の本業で儲ける力や財務活動により儲ける力は上がっていると判断することができます」

【取材協力税理士】

中村 太郎(なかむら・たろう)税理士

中小企業を中心とした法人・個人への税務・財務指導を14年間で200社超経験。 税理士として中小企業の節税コンサルティングを得意とし、起業相談や創業補助金、創業融資など、税務・財務・経理・融資についての堅実なサポートに定評がある。

事務所名   : 中村太郎税理士事務所

事務所URL: http://www.nakamura-taro.com/

(弁護士ドットコムニュース)

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