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「路上やネットに差別的発言がまん延」 当事者らが「人種差別禁止法」実現をアピール
人種差別撤廃基本法の実現を訴える集会

「路上やネットに差別的発言がまん延」 当事者らが「人種差別禁止法」実現をアピール

在日韓国・朝鮮人などの民族や人種への差別をあおる「ヘイトスピーチ」が大きな問題となるなか、人種差別撤廃基本法の実現を訴える集会(主催・外国人人権法連絡会など4団体)が6月26日、東京・永田町の参議院議員会館で開かれた。

この集会は、超党派の議員連盟(小川敏夫参議院議員)が5月22日に参議院に提出した「人種差別撤廃基本法案」の成立を後押ししようというもの。提出された法案は、現行法で対応することが難しいヘイトスピーチを念頭に、人種差別を全般的に禁止する内容だ。

登壇した人種差別撤廃NGOネットワークの北村聡子弁護士は、民族的マイノリティへの差別を禁止する法律がないため、国連の委員会から日本政府が是正勧告を受けている点を指摘。「こうした状況にもかかわらず立法がないのは、人種差別を容認・助長することにつながっているのではないか」と述べて、基本法の必要性を強調した。

●ヘイトスピーチが「ジェノサイド」につながる危険性

また、集会では、在日3世の徐史晃さんが、差別を受ける当事者の立場から発言。徐さんは、1923年の関東大震災時に多くの朝鮮人が殺害された歴史をあげながら、「ヘイトスピーチがジェノサイド(大量殺害)につながる危険性を危惧している。そうした危険性が現在の世の中にまん延していると肌で感じている」と述べた。

徐さんはさらに「ヘイトスピーチだけが、差別ではない。日本社会の一員として苦楽を共にしてきた。まだ続くのかという思いでいっぱいだ。路上やネット上には差別的な発言がまん延して、野放しになっている。そういう意味で、もう待ったなしだと思っている」と述べ、一刻も早く法律が制定されるよう訴えた。

●「社会保険に入れてもらえなかった」

ガーナ出身の男性も登壇した。彼が車を運転しているとき、近くでバイクが転倒するという事故があった。車から降りて助けたところ、事故を起こした人からは感謝されたが、警察官から「あなたのせいで事故があった」と言われたのだという。「は? 私、助けたんだよ」と言っても否定されたそうだ。

また男性は、以前務めていた会社で、社会保険に入れてもらえなかったことを明かした。「6年経っても手続きをとってもらえなかった。あとから入った日本人はみんな社会保険に入った」。男性は別の会社に移って、そこで社会保険に入れてもらったという。「6年も無駄になった。そのときユニオンのことも知らなかった。外国人がわからなかったら、わかっている人は教えてください」と話した。

集会には約170人が参加した。また、民主党の有田芳生参議院議員や小川敏夫参議院議員、社民党の福島みずほ参議院議員ら国会議員10人ほどが会場に駆けつけて、法案の成立に向けてアピールしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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