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妊娠中の妻に「パパ活の過去」が浮上、夫は「本当に自分の子か?」と疑念を深め… 法的な対処法は
画像はイメージです(Ushico / PIXTA)

妊娠中の妻に「パパ活の過去」が浮上、夫は「本当に自分の子か?」と疑念を深め… 法的な対処法は

生まれてくる子どもの父親は自分じゃないかもしれないーー。そのような相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は結婚したばかりだといいます。妻が結婚直前までパパ活をしていたことを最近になって知りました。妻とは妊娠をきっかけに結婚したこともあり、本当に自分が父親かどうか疑念を深めています。

DNA鑑定をすると決めていますが、もし鑑定結果が違う場合でも、自動的に「父親」になってしまうのでしょうか。どう対応したらよいのか。光安理絵弁護士に聞きました。

●父親であることを拒否したい場合には?

——婚姻中に生まれた子どもは、自動的に「父親」となるのでしょうか。また自分が生物学上の父親ではないことがわかった場合、父親であることを拒否することはできるのでしょうか?

パパ活の過去、不安になりますね。

民法では、婚姻中に生まれた子どもは、夫の子どもと推定すると規定しています。これを「嫡出推定」といいます。

この制度の趣旨は、生まれてくる子どもの父親を早期に確定させることで子どもの立場の安定を図ること、また、わかりやすく言えば、夫婦間で納得していることであれば、あえて明らかにしなくてもいい秘密を明らかにせず、家庭の平和を守ることにあると言われています。

よって、DNA鑑定結果の内容にかかわらず、いったん自動的に、夫が「父親」になります。戸籍にも夫が父親として記載されることになります。

しかし、これはあくまで「推定する」ということです。

この推定を覆す法律上の手段も用意されています。DNA鑑定の結果、自分が子どもの生物学上の父親ではないことが明らかになり、父親であることを拒否したい場合、嫡出否認の訴えを起こすことができます。

具体的には、まず、裁判所での話し合いである、嫡出否認の調停を、母親である妻を相手として申立てることで、手続を進めることができます。母親が嫡出否認を認めず、話し合いがまとまらない場合、裁判所に対し、嫡出否認の訴えを提起して裁判を起こします。

この訴えは、これまで、父親が子の出生を知ってから1年以内に提起しなければならないとされていました。2024年(令和6年)4月1日から施行される改正民法では、この期間が3年に伸長されています。

さらに、今回のご質問は、父親が子どもとの父子関係を否定したい場合というご質問でしたが、母親や子ども自身が否定したい場合、改正された民法では、嫡出否認の訴えを、母親や子どもも起こせるようになりました。

改正前は父親しか使えない制度ですので、2024年年3月31日までは、父親しか起こすことができません。

プロフィール

光安 理絵
光安 理絵(みつやす りえ)弁護士 ソレイユ総合法律事務所
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、東京地方検察庁、横浜地方検察庁を経て仙台弁護士会に弁護士登録。2021年度仙台弁護士会副会長。現在、ソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。

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