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「浮気相手とは終わった」はずの夫が怪しい行動…慰謝料と一緒に探偵費用も請求できる?
写真はイメージです(yamasan / PIXTA)

「浮気相手とは終わった」はずの夫が怪しい行動…慰謝料と一緒に探偵費用も請求できる?

夫の浮気が原因で離婚を考えている女性から、慰謝料請求のために探偵が集めている証拠についての質問が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の夫は、職場の20代前半の女性と不倫関係にあるようです。相談者には「もう浮気相手とは終わっている」「連絡も取っていない」と言っていましたが、怪しんだ相談者が探偵に依頼したところ、不倫相手の家への出入りする姿や手を繋いでいた様子など2回分の証拠を入手できました。

不倫相手は20代前半。示談にして慰謝料を受け取りたいと考えています。ところが探偵からは「証拠は3回分必要」と言われたといいます。請求するには、どのような証拠が必要か。また探偵費用も相手に請求することはできるのでしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

●不倫で必要な証拠とは?

——裁判ではどのような証拠が必要でしょうか

「不貞行為」とは、配偶者以外の異性と肉体関係をもつ貞操義務に違反する行為ですので、これを立証するためには、夫が女性と性交渉をしたことの証拠が必要になります。

たとえば、性交渉中の様子を撮影した写真等が証拠となるのは当然ですが、ラブホテルに異性と出入りをした写真であれば、性交渉をした可能性が高く不貞行為があったと推定されます。

——相談者は「相手の自宅への出入りする姿」「手を繋いでいた」写真を入手しています。これでは不十分なのでしょうか

「手を繋いでいた」ことは性交渉には当たりませんので、これだけで「不貞行為」の証拠とはなりません。また、女性の自宅への出入りの写真については、その時間帯や滞在時間、自宅に行くまでの経緯などによると思われます。女性の自宅に二人で宿泊したとすると、不貞行為が認められる可能性が高いです。

もっとも、その写真だけでは不貞行為の立証ができない場合でも、交際相手とのメッセージの内容や、日記やシフト、カードの利用履歴など夫の行動が確認できる資料がある場合には、証拠を総合的に評価して、不貞行為が認定できる場合があります。

なお、探偵が言った「3回分の証拠」という話には、法的な根拠はありません。

●証拠を得るための探偵費用を相手に請求できる?

——証拠を集めるのにかかった探偵費用を相手に請求することは認められますか

探偵費用を請求することは、難しいと考えておいた方がいいでしょう。

裁判で探偵費用が損害と認められるのは、それがなければ不貞行為の立証ができず調査が必要だった場合など損害との因果関係が認められる場合です。ほかに一定の証拠があったり、配偶者が認めていたりしたような場合には因果関係が認められません。

仮に因果関係が認められたとしても、かなり少額にとどまります。

慎重に調査をしているうちに調査費用が高額に及ぶということも少なくありませんが、得られる慰謝料の額や証拠の必要性などから、調査にかける費用を予め検討しておくとよいでしょう。

プロフィール

鳥生 尚美
鳥生 尚美(とりゅう なおみ)弁護士 あけぼの綜合法律事務所
早稲田大学法学部卒業。2006年弁護士登録(第二東京弁護士会所属) 日本司法支援センターの常勤弁護士を経て、あけぼの綜合法律事務所を開設。 中心業務は離婚・相続などの家事事件、とりわけ子の親権、監護者指定、面会交流、養育費等離婚問題の中での子どもに関する事案を多数取り扱っている。

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