裁判のIT化に向けて議論が進んでいる。2022年5月には民事裁判のIT化についての改正民事訴訟法が成立。刑事裁判についても法制審でIT化に向けた検討がスタートした。
このほか、裁判外の破産手続きや離婚調停などのIT化についても検討が進んでいる。2023年の通常国会に改正法案が提出される予定だ。
法制審の「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会」が8月にまとめた中間試案によると、書面のオンライン提出が可能になるほか、ウェブ会議の拡大なども想定されている。
たとえば、破産手続きでは、裁判所が認めれば、口頭弁論や審尋、債権者集会期日などもウェブ会議で可能になる。
また、離婚調停ではすでに2021年12月から東京、名古屋、大阪、福岡の各家裁で、Cisco社の「Webex Meetings」を利用したウェブ会議が試験導入されているが、「遠隔地」という利用要件を削除し、制度的にクリアにする見通し。
調停の成立についても、現状では当事者が裁判所に行かなくてはならないが、当事者双⽅が受諾書を提出する⽅法で調停成立する方向で検討されている。
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一方で法制審のメンバー間で意見が分かれている内容もある。
たとえば、破産者情報は現在、官報で公告されている。中間試案では、裁判所のウェブサイトにも掲載すべきとの案がある一方で、官報の破産者情報をウェブ地図で示す「破産者マップ」などが問題になっていることから、そもそも官報への掲載を廃止すべきという意見も出ている。
法務省では中間試案についてのパブリックコメントを10月24日まで受け付けている。日弁連も各弁護士会からの意見を取りまとめ、提出する予定だという。