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バブル期スキーブームで活況…湯沢のリゾマン今や「10万円」、それでも逃げられない税金
越後湯沢

バブル期スキーブームで活況…湯沢のリゾマン今や「10万円」、それでも逃げられない税金

原田知世主演の映画「私をスキーに連れてって」(ロケ地は長野県の志賀高原など)に代表されるスキーブームで、1980年代のバブル時代に多くの若者たちが各地のスキー場を訪れた。新潟県湯沢町もガーラ湯沢スキー場や苗場スキー場などが、多くの人で賑わい、町のあちこちにリゾートマンションが建設された。

東京から新幹線に乗って、越後湯沢駅で降りると、周囲には立派なリゾートマンションがそびえたち、かつての勢いを彷彿とさせる。

ただ、ブームが去った後のリゾートマンションは苦境に立たされている面もあるようだ。湯沢町でも例えば、築年数30年弱のリゾートマンション(25〜40平方メートル程度)が、10万円で販売されている。

この値段であれば、ちょっとした別荘気分で購入したい気持ちも出てくるが、購入に当たって、税金などの面で注意すべき点はないのだろうか。冨田建税理士に聞いた。

●一度購入すると、固定資産税から逃れられない

「まずは固定資産税から考えてみましょう。湯沢町では都市計画税は課税されていませんが、下記の算式で求められる固定資産税は課されます。

<土地の固定資産税>固定資産税路線価か標準宅地に基づき、一定の補正(例えば不整形の場合に減価したり、角地の場合に増価したり)をした平方メートルあたり価格×1/6(小規模住宅用地の特例)×マンションの敷地面積(平方メートル)×持分割合×税率1.4%

<建物の固定資産税>固定資産税算定用に総務省が定めた平方メートルあたり再調達原価×建物全体の面積(平方メートル)×持分割合×建物の古さを反映する経年減価補正率(適宜、建築物価の変動も調整)×税率1.4%

このような算式ですので、敷地規模や建物の古さ等で変動しますが、例えば築30年弱・20平方メートル台程度の湯沢町のマンションの固定資産税は、募集広告を見るに年額3万円台程度が多いようです。それとは別に住民税や管理費等もありますので、結局、所有者はそれだけでも年間数万円を支出する事となります。

なお、登記簿謄本上の1月1日時点のその不動産の所有者に毎年の固定資産税は課されます。そして、売買や贈与等で『その不動産の新たな所有者になる事に同意した者』が現れて登記簿謄本上の所有者を変えない限り、その不動産が存在し続ける限りは未来億劫、固定資産税からは逃れられません。

本当に利用価値を見込み購入するならともかく、見栄で購入するにはちょっと高いのではないでしょうか・・・」

●年間数十万円を負担することになる

確かに、不動産売買のサイトを見ると、固定資産税が3万円台と書かれている物件も多い。これに加えて、購入時のみとして、登録免許税(例えば5万円)や不動産取得税(例えば10万円)も書かれており、一定の税金がかかるようだ。

初期費用をのぞいた毎年の費用という意味で考えても、管理費・修繕費(例えば、年間20万円弱)と固定資産税や住民税(例えば3~4万円)で、毎年数十万円がかかるようだ。しかも、売買や贈与ができなければ税金がかかり続けることになる。

「新潟県と言えば一昨年に上越地方に北陸新幹線が開業したり、今年もNGT48が総選挙で躍進したりで元気なようですし、私自身は原田知世さん世代より7歳程年下なのですが、それでも新幹線『Maxとき』で湯沢の町を通る度にリゾートマンション所有に『一瞬』憧れます。

でも、湯沢町の公示価格は下落傾向ですし、うっかり10万円だからと言って購入してしまうと換金できないどころか毎年数十万円が流出する憂き目に遭いかねません。言い換えれば所有しないこそ節税策とも言えます。不動産には『旨い話には裏がある』。くれぐれもご注意を」

【取材協力税理士】

冨田 建(とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士

42都道府県で不動産鑑定業務の経験があり著書「弁護士・公認会計士・税理士のための不動産の法令・評価の実務Q&A」や雑誌・税理士会会報等に数回執筆。公認会計士協会東京会第四回音楽祭で自作曲「ふどうさんのうた」で優勝。

事務所名   : 冨田 建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所

事務所URL:http://tomitacparea.co.jp/index.html

(弁護士ドットコムニュース)

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