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フェイスブックに「新聞記事の写真」をアップ 「著作権法」に違反しないか?
ソーシャルメディアは、社会で話題となっている事件や出来事のニュースを共有して、意見を交換する場である

フェイスブックに「新聞記事の写真」をアップ 「著作権法」に違反しないか?

フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアは、知人や友人に自分の近況を伝えるだけでなく、社会で話題となっている事件や出来事のニュースを共有して、意見を交換する場でもある。なかには、ニュース記事のリンクだけでなく、紙の新聞記事の一部を撮影した写真を投稿している人も見かけることがある。

たしかに、重要なテーマや内容であれば、できるだけ多くの人に知らせたいという気持ちもわからないことはない。しかし、新聞記事にも著作権があるはずだ。新聞記事を撮影して、その写真をフェイスブックやツイッターに投稿する行為は法的に問題ないのだろうか。著作権にくわしい梅村陽一郎弁護士に聞いた。

●新聞記事も『著作物』と考えておいたほうが良い

「著作権法では、『思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの』を、著作物といっています」

梅村弁護士はこのように切り出した。新聞記事もそれにあたるのだろうか?

「一方、著作権法には『事実の伝達にすぎない雑報および時事の報道』は著作物には該当しないという規定があります。

誰が書いてもこうなるという報道は、書いた人の個性があらわれていない(創作性がない)ので、著作物には該当しないという規定です。

たとえば、人事異動の記事や死亡記事などがこれにあたります。

しかし、通常の新聞記事は、事実の選択や表現の仕方などに創作性があると考えられるので、著作物と考えておいたほうがよいでしょう。また、報道写真も著作物であることが通常でしょう」

●無断撮影・公開は、複製権・公衆送信権の侵害に……

そうすると、記事を撮影し、ネットに送信すれば、著作権侵害となってしまうのだろうか?

「著作物である新聞記事や報道写真であっても、自分のクリッピング(切り抜き)のためにスマホで撮影するのであれば、私的使用目的であり、合法ということになります。

しかし、フェイスブックなどで公開するつもりで撮影するのであれば、私的使用目的とはいえませんから、複製権侵害となります。また、実際にフェイスブックなどで公開すれば、公衆送信権侵害になります」

無断で記事を撮影しネットに公開するのは問題と言えそうだが、新聞記事の内容を誰かに知らせたい場合はどうするのがお勧めだろうか。梅村弁護士は次のようなアドバイスを送っていた。

「新聞記事なら、同じ記事がネット上に正規に掲載されていることもありますので、その記事のアドレスを伝えるという手があります。

また、ネットの記事には、ツイッターやフェイスブックで共有しやすくするための『ボタン』が付いていることも多いです。

そういったボタンを利用すれば、手軽に情報共有ができますし、法律上の問題も回避できます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

梅村 陽一郎
梅村 陽一郎(うめむら よういちろう)弁護士 弁護士法人リバーシティ法律事務所
弁護士法人リバーシティ法律事務所 代表社員 千葉県弁護士会、千葉商科大学大学院客員教授、千葉大学法科大学院非常勤講師 著書「図解入門ビジネス最新著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本」など

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