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「ノーニュークス権」主張の原発メーカー訴訟、上告棄却…原告弁護団「職責放棄だ」
島昭宏弁護士

「ノーニュークス権」主張の原発メーカー訴訟、上告棄却…原告弁護団「職責放棄だ」

2011年3月の東京電力・福島第1原発事故をめぐり、原子炉をつくった原発メーカーにも責任があるとして、約4000人がゼネラル・エレクトリック(GE)、東芝、日立の3社を相手取り、損害賠償の支払いを求めていた訴訟で、最高裁判所第二法廷(三浦守裁判長)は、原告の上告を棄却し、上告審として受理しないと決定した。原告の請求を棄却した控訴審判決が確定した。決定は、1月23日付。

原発メーカー訴訟原告団・弁護団が1月30日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いて、明らかにした。同弁護団の島昭宏弁護士は記者会見で、最高裁の決定について、「司法権を担う裁判所が、みずからの職責を違法に放棄した。極めて深刻な事態を示している」と述べた。

●「ノーニュークス権」を主張していた

現行の原子力損害賠償法では、原発事故が発生した場合、電力会社は責任を負うが、原発メーカーは責任を免除されている。原告側は2014年1月、この制度が違憲で、原発メーカーの賠償責任も問うことができるとして、東京地裁に提訴していた。

原告側は、憲法13条(幸福追求権)と憲法25条(生存権)にもとづく新しい権利「ノーニュークス権」(原子力の恐怖から免れて生きる権利)を主張した。しかし、2016年7月の1審判決は、原告の請求を棄却(一部却下)、2017年12月の2審判決も棄却だった。

●島弁護士「憲法訴訟であるのは明らかだ」

民事訴訟法では、最高裁への上告は「判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる」とされているが、最高裁は、そうした理由がないとして、棄却した。

島弁護士は会見で「誰の目から見ても、憲法訴訟であるのは明らかだ。それにもかかわらず、最高裁は憲法判断から逃げた」と批判した。さらに原発事故について、結局、国民が負担することになっているとして、「この問題をもう少し理解してもらいたい」とうったえていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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