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10歳の少女の告訴能力は認められるべきか否か

10歳の少女の告訴能力は認められるべきか否か

富山地裁が年齢の低さを理由に少女(当時10歳11カ月)の告訴能力を認めず、富山地検の起訴を無効にした強制わいせつ事件について、7月3日の名古屋高裁の控訴審判決では少女の告訴能力が認められ、審理は差し戻しになった。
 
はたして10歳の少女の告訴能力は認められるべきか否か、弁護士ドットコムに登録する弁護士に賛否とその理由について意見を聞いてみた。

10歳の少女に告訴能力が認められるかどうかについて、弁護士の見解は「認めるべき」という立場と「どちらともいえない」という立場で半々にわかれたが、「どちらともいえない」という立場の弁護士においても、ケースバイケースとして完全に否定するまでの意見はなかった。

「認めるべき」という立場の弁護士からは、10歳という年齢ならば告訴することの意味を理解できるのではないかということ、また通常であれば告訴する立場にある親権者からの告訴が期待できない場合に、本人の告訴能力を認めることで加害者への処罰を求めることができるようにすべきという意見が上げられた。

一方「どちらともいえない」という立場の弁護士からは、個別の事情によって判断すべきとしながらも、今回の事件のような性犯罪では告訴することで本人に二次的被害が生じる可能性があるため、10歳でそこまで考慮して告訴するかどうかを判断するのは難しいのではという意見が上げられた。

梅村弁護士の言葉の通り、まさに「20歳で成人と未成年を分けるなど、画一的な基準で物事を決める法律という道具の弱点が現れる場面」であり、現実の事件にあたってどのような法解釈を適用するのか、法律のプロである弁護士からも様々な見解が示される結果となった。

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