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2015年05月28日 11時05分

「ドローン少年」を逮捕したのは不当だ――弁護士「なぜ適法行為の予告が犯罪なのか」

「ドローン少年」を逮捕したのは不当だ――弁護士「なぜ適法行為の予告が犯罪なのか」
無人飛行機「ドローン」(国際ドローン展で撮影)

東京・浅草で5月中旬に行われた三社祭の直前、小型の無人飛行機「ドローン」を飛ばすとほのめかす動画をインターネット上で配信し、祭りの運営を妨害したとして、横浜市の無職少年(15)が5月21日、威力業務妨害罪の疑いで逮捕された。

報道によると、少年は5月14日夜~15日未明、「明日、浅草で祭りがあるみたいなんだよ。祭りに行きますから。撮影禁止なんて書いていないからね。祭りは無礼講ですよ」とドローンを飛ばす「予告」と受け取れるような動画をネットで配信。警備を強化させるなど、主催者の業務を妨害した疑いが持たれている。

警察の調べに対して、少年は「ドローンを飛ばすとは一言も言っていない」と容疑を否認する供述をしたとされている。この少年は5月上旬、長野市の善光寺の行事中にドローンを飛ばして落下させていた。ほかにも、国会周辺でドローンを飛ばそうとするなどして、警察から数回にわたって注意を受けていたという。

一方で、少年が威力業務妨害罪の容疑で逮捕されたことについて、「不当ではないか」という声が弁護士からあがっている。そんな意見をツイッターで表明している高島章弁護士に聞いた。

●少年の逮捕が「不当」である理由とは?

「『何が犯罪にあたるのか?』という犯罪の成立要件を詰めると難しい問題で、法律家の間でも見解が分かれると思いますが、私は少年の逮捕は不当だと思います」

高島弁護士はこのように述べる。どうして、そういえるのだろうか。

「現行法上では、ドローンを飛ばすこと自体を規制する法律はなく、適法とされています。

もし仮に、『三社祭でドローンを落とす』という予告があったなら、威力業務妨害にあたりますが、単に『飛ばす』というだけなら、違法行為とはいえません。

つまり、少年は『適法行為をするぞ』と予告したのであり、それが『威力』にあたり犯罪を構成する、というのは問題があります」

●「迷惑な行為」イコール「犯罪」ではない

ドローンをめぐる事件・事故があいついでいることを受けて、ネット上では、ドローンを飛ばすことについて『迷惑』という意見もちらほらあがっている。

「『迷惑行為』であるかどうかという議論も、ここ最近に始まったばかりで、決着がついたわけではありません。

そもそも、『迷惑な行為』イコール『犯罪』ではありません。

『何が犯罪であるか』は、(1)法律によって、(2)事前に、(3)明確に規定されていなければなりません。これを『罪刑法定主義』といいます。

『ドローンを飛ばす』と予告したことで、警察や主催者に警備増強など『余計な負担がかかった』のが『業務妨害』というのは、いかにも取って付けた説明です。

こんなのが許されるならば、『警察に迷惑な通報』があったら、通報者を逮捕する目的で、本来必要のないパトロール等をすれば良いことになります。『お上にたて突く不届き者』は、だれでも簡単に逮捕することができるようになります。

しかし、そんなふうに法律を解釈・運用することは、罪刑法定主義の眼目である『権力濫用防止』『国民の自由保障』の観点から許されません」

●「少年には厳しい保護処分を」

では、ドローン少年は釈放されて、元に戻るべきということなのだろうか。

「あくまで私の考えですが、必ずしもそうは思いません。

少年法では、実際に罪を犯していなくても、性格や環境に照らして、将来に犯罪や刑罰法令に触れる行為をするおそれがあれば、家庭裁判所の審判に付する規定になっています。

このようなおそれのある少年のことを虞犯(ぐはん)少年といいます。たとえば、家出を繰り返したり、親の監督に服さなかったり、犯罪性のある人と交際していれば、虞犯の理由になりえます。

虞犯少年は、家庭裁判所の決定で数週間、少年鑑別所に収容され、家庭裁判所調査官の調査を受けます。そして、少年審判の結果、少年院に送致されるという結論もあり得ます」

今回のドローン少年については、どのような対応をすべきなのだろうか。

「報道によると、少年はこれまで家出を繰り返していたそうです。また、少年が投稿したとされる動画では、彼の家族に対して、常軌を逸した反抗的態度を示している様子が映し出されていました。

また、少年は複数の支援者から資金提供を受けていたようですし、彼を『反権力の英雄』とはやし立てる人もいます。

そのような性格や環境を考慮に入れると、私の考えでは、この少年は将来、何らかの犯罪や刑罰法規に触れる行為をするおそれがあり、虞犯少年にあたると思います。

したがって、今回の少年に対しては、家庭裁判所の審判に付して、厳しい『保護処分』にする必要があります。これは決して、『犯罪処罰』ではなく、犯罪防止のための、少年の将来を考えてのことなのです」

高島弁護士はこのように持論を述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

1993年、新潟県弁護士会登録。新潟水俣病第3次訴訟弁護団長。日弁連刑事法制委員会幹事。キリスト教原理主義者。ツイッターアカウント:https://twitter.com/BarlKarth/
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