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2012年12月12日 14時54分

SNSなどを通じた投票依頼や支持する候補者の表明は公選法に違反するのか

SNSなどを通じた投票依頼や支持する候補者の表明は公選法に違反するのか

11月16日、野田首相によって衆議院の解散が宣言され、12月4日に公示、12月16日に投開票の日程で総選挙が実施されることが決定した。選挙運動は公職選挙法(以下公選法)によって規定されているが、近年、現行の公選法はインターネットの普及が進んだ実状に対応できていないという批判が高まっている。

まず、現行の公選法における総務省の解釈では、選挙期間中にインターネットを通じて選挙運動を行なうことは公選法に違反する恐れがあるとされている。これは候補者やその関係者だけでなく第三者も対象とされているので、一般個人が特定の候補者を応援するブログやホームページを立ち上げたりすることも公選法に違反する恐れがあるということだ。また、電子メールで不特定または多数に投票依頼を行うことも同様とされている。

これを反対解釈すると、例えば一般個人が家族や友人など少数の人々に電子メールで特定の候補者への投票を呼びかけるということであれば、不特定または多数への投票依頼ではないので公選法に違反しないということになるだろう。

しかし、現在では電子メール以外にFacebookのようなSNSでも、メッセージ機能やグループ機能を通じて限られた知人だけに特定の候補者への投票依頼を行なうことが、技術的には可能である。この場合、実質的には電子メールでの投票依頼と変わらないように思えるが、これもインターネットを通じた選挙運動であるとして公選法に違反するのだろうか。

あるいは、他人への投票依頼ではなく、単に自分のタイムラインへの投稿で自分の支持する候補者を明らかにした場合、その人の影響力によっては他人の投票に影響を与える可能性もありそうだが、この場合はどうなるのか。

インターネットを通じた選挙運動と公選法の関係について、現職の参議院議員でもある丸山和也弁護士に聞いた。

●「不特定または多数」の多数とは、明確に何人と決まっているわけではない

「総務省の見解によると、選挙の公示後にSNSで『○○に投票して下さい』と書き込むなどして、特定の候補者・政党のために、不特定または多数に対して投票依頼をする行為は公選法違反の可能性があるとされています。」

「まず『多数』とは、具体的に何人のことをいうのかが気になるところですが、これは明確に何人と決まっているわけではありません。しかし、仮に投票依頼をした相手が2人や3人であっても、その2、3人から人づてに無制限に広がり、結果として選挙運動になるような場合には、『多数』にあたる可能性があるでしょう。」

●SNSのメッセージ機能などで特定された少数の人々への投票呼びかけや、自分が支持する候補者を明らかにすることは違反ではない?

「SNSのメッセージ機能やグループ機能で、特定された少数の人々に投票を呼びかける行為は、投稿の受け手が家族や友人などに限られているのであれば、公選法に違反しないでしょう。また、SNS上で単に自分の支持する候補者を明らかにするだけであれば、問題ないと思われます。」

●場合によっては公選法違反になる可能性もある

「もっとも、影響力の強い人物などの場合、単に自分の支持する候補者を明らかにしただけでも、結果として不特定または多数の人々に対して投票を呼びかけたことと同じようなことになり得ます。このような場合、支持する候補者を明らかにする投稿の目的が、特定の候補者に投票させることにあるのではないかと疑われ、公選法違反となる可能性があります。」

●橋下氏のツイートは公選法に違反する?

「ちなみに先日、日本維新の会の橋下徹代表代行が公示後にTwitterで他党を批判したことが公選法違反にあたるのではないかと話題になりました。ここで問題となるのは、Twitterでの投稿が『不特定または多数』に対するものといえるかということと、投票依頼にあたるかどうかということですが、Twitterは当然不特定多数への発信となるでしょう。」

「次にTwitterの内容が投票依頼とみなされるかということですが、これは内容を総合的に判断して、維新の会や同党候補者への投票依頼とみなされれば違反となります。前述の橋下氏のツイートは不特定多数に対する維新の会(および同党候補者)への投票依頼にあたるとみなされる可能性があり、その場合は、公選法違反となる可能性が高いと考えられます。」

ここ数日、橋下氏の公示後のTwitterでの投稿が物議を醸しているが、インターネットを通じた選挙運動の禁止は国民の知る権利を制限しているという意見もあり、インターネットと公選法の関係については橋下氏のような政党関係者だけでなく、投票する一般国民側にとっても重要な問題であることは疑いようがない。

いつインターネットを通じた選挙運動が認められるようになるかはわからないが、現状のインターネットの普及を前提とした選挙のあり方について、今後政治の場でより活発な議論がなされることを期待したい。

(弁護士ドットコムニュース)

70年に司法試験に合格。75年渡米。ワシントン大学ロースクールに入学し卒業(LLM)、その後ロサンゼルスの法律事務所に3年間勤務。企業間の紛争・交渉等を中心とした国際法務を得意とする他、各種特許紛争および個人の問題も幅広く取り組む。
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