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小保方さん「コピペ論文」で揺れる早稲田大学――法学部に広がる「モカイ文化」とは?
早稲田大学が「コピペ大学」と皮肉られていることを知ったら、創設者の大隈重信はなんというだろうか?

小保方さん「コピペ論文」で揺れる早稲田大学――法学部に広がる「モカイ文化」とは?

「世紀の大発見」と絶賛されながら、その後、多くの疑問が指摘されている「STAP細胞」論文。筆頭著者である理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが、論文の画像を切り貼りしていたことや、博士論文で使用した画像を流用していたことなどが判明し、大きな問題になっている。

STAP細胞の研究論文だけでなく、小保方さんが早稲田大学の大学院時代に執筆した博士論文についても、海外の文献を大量にコピーアンドペースト(コピペ)した疑いが指摘されている。その結果、小保方さんに博士号を与えた早稲田大学にも、批判の矛先が向けられる事態となった。

このような現状について、早稲田大学に通う学生たちはどう考えているのか。特に、社会のルールである法律について学んでいる法学部生はどう思っているのだろうか。そう考えて取材したところ、コピペ文化ならぬ「モカイ文化」というものが学生の間に広がっていることがわかった。

●授業のレポートを「コピペ」で済ませることも

「小保方さんのコピペ問題をもって、早稲田の学生がみんな、コピペに走っているとは思わないでほしい」

商社マンを目指すショウタくん(仮名、以下同じ)はこう嘆く。今回の騒動を受け、ネットでは早稲田大学のことを「コピペ大学」と揶揄するカキコミも見られるが、「とんだトバッチリだ」と不満をもつ学生が多いようだ。

では、そんな法学部の学生は、コピペで論文を書いたりしないのだろうか。

「さすがに卒業論文とかで、コピペはまずいと思います。でも、授業のレポートをコピペで出して、単位をもらったことならありますね」

そう語るのは、就職活動中のチサさんだ。彼女は参考文献に「Wikipedia」とだけ書き、その引用でレポートを提出したこともあったという。「学生なんてそんなもんだし、早稲田に限らないと思いますよ」

さらに、彼女が学ぶ法学部には、コピペ文化と性質が似ている別の問題があるという。それは「モカイ文化」と呼ばれるものだ。

●学生が所属する法律サークルで配られる「モカイ」

モカイ文化の背景として、法律系の資格試験やロースクールの受験に関して情報を交換しあう「法律サークル」の存在がある。その機能について、映画監督を志すダイキくんが説明する。

「法学部のほとんどの学生は、入学するとまず、『法サー』と呼ばれる法律サークルに所属します。そこで、法律科目の試験答案の書き方などを学ぶのですが、試験前になると、サークルでは、上級生の作成した『模範解答』が配られるのです」

「模範解答」を略して「モカイ」と呼ぶのだという。なるほど、そこで手に入れたモカイを参考にして、試験に備えるということだろうか。

「参考に、というのとは、ちょっと違いますね。丸暗記です。出回っているモカイを丸覚えして試験に臨むのです」

こう補足するのは、弁護士志望のトモコさんだ。

「そういったモカイの丸暗記・丸写しについては、容認する空気が学生間にあるように思います。難解な法律問題を独学で勉強したり、自分で組み立てた独自の法律解釈を答案に書いたりしても、結局のところ、単位がとりにくいからです」

つまり、コピペそのものではないものの、誰かの答案をそのまま丸写しして、それで良しとする文化が、法学部生の間に蔓延しているということだ。このようなモカイ文化に対して、法学部2年のトシキくんは「クソだと思います。丸暗記で済ませたら、それに凝り固まってしまいますよ」と厳しく批判する。

●「モカイ」は教授にバレていないのか?

だが、その一方で、「そもそも学部の試験が難しすぎる。学生はモカイでも教科書でも結局、暗記するしかない」(チサ)と割り切る学生もいる。学生の多くは「ちょっと罪悪感はあるけれど、留年するよりはマシ」(トモコ)と考えているようだ。

一つ疑問に思うのは、このような「モカイ文化」は、学生を教える教授にもバレているのではないか、ということだ。

「法サー」の数が限られていることを考えると、学生間に出回るモカイ、すなわち模範解答の種類はそれほど多くはないばすだ。とすれば、試験を採点する教授のもとには、まるっきり同じ内容の解答が何十通も集まることになり、「モカイ」であることが一目瞭然なのではないか。

実際のところ、「モカイっぽい答案を落第させる教授もいる」(トシキ)という。しかし、「何百人といる必修授業では、全員の答案をチェックするのは現実的でない」(トモコ)という見方もある。教授も、そのような答案を黙認しているのかもしれない。

そんなわけで、早稲田大学法学部の試験では、モカイでも単位が取れてしまうことが多い、というのが現実のようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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