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弁護士の情報収集も「ネット中心」へ 「法令データベースの利便性は年々向上」
法令や判例の情報を得る手段が、紙からネットに変化している?

弁護士の情報収集も「ネット中心」へ 「法令データベースの利便性は年々向上」

『セレクト六法』や『基本六法』など、憲法・民法・刑法を始めとする主要な法律を集めた「法令集」を刊行してきた岩波書店が昨秋をもって、法令集の発行を終えていたことが明らかになった。岩波書店は1930年から、一般大衆向けに手頃な価格で「六法」を発行してきたが、昨年の秋に出版された「平成25年版」の刊行を最後に、「岩波版六法」の歴史に幕を閉じることになった。

岩波書店のホームページには、「インターネットの普及等により条文や判例へのアクセスも多様化した結果、大学教育等の場において六法の需要は低迷し、その在り方が問われる状況が現出している」と記されており、「紙」から「ネット」へという時代の流れによるものだということがわかる。

この「岩波版六法」の刊行終了が象徴するように、いまや法令や判例は、紙の法令集や判例集をめくるのではなく、インターネット上の法令データベースにアクセスして、情報収集をするのが当たり前になってきているのかもしれない。

はたして、法令や判例の情報を得る手段は、すでにインターネットが中心となっているのか。それとも、まだまだ紙の法令集や判例集の方が、主要と言えるのか。弁護士ドットコムに登録する弁護士に対してアンケート調査を行なった。

●過半数の弁護士が「紙」よりも「ネット」を重視

弁護士ドットコムでは、「法令や判例の情報を得る手段」について弁護士にたずね、以下の5つの選択肢から回答を選んでもらった。25人の弁護士から回答が寄せられ、次のような結果となった。

(1)ほぼネットだけである

   →3人

(2)ネットが中心で、紙は補助である

   →10人

(3)ネットと紙が半々である

   →7人

(4)紙が中心で、ネットは補助である

   →5人

(5)ほぼ紙だけである

   →0人

このように、回答した弁護士のうち40%にあたる10人が、法令情報を得る手段について、<ネットが中心で、紙は補助である>と答えた。<ほぼネットだけである>の3人を含めると、半数以上がネットに利便性を感じていることになる。その理由として、次のような意見が見られた。

「検索の時間が短縮できる」

「書籍は場所を取るため、電子化したほうが省スペースになり、便利だと思う」

「紙媒体を持ち歩くのが面倒だから」

「紙媒体では網羅できない条例や、細かい法令・規則なども最新のものを探すことができるから」

●「紙が中心で、ネットは補助である」という意見も

回答者のうち28%にあたる7人の弁護士が、<ネットと紙が半々>という意見を支持した。その理由は、次のようなものだ。

「インターネットでだいたいのあたりをつけて、詳細は紙ベースで確認することが多いため」

「ネットの方が手軽だが、判例集の詳しい調査は、紙媒体のものを確認することが多い。法令集は即時性を重視するため、ネットを中心としている」

「法令判例データベースの利便性は年々高くなり、事務所にいながら膨大なデータにアクセスできるので、事件やキーワードが特定できる判例や法令などに利用している。一方で、紙媒体の判例集は、編者により各事項について選別された上で整理されているので、ある分野の法令や判例について知りたいとき(事件の特定が困難なとき)に利用している」

一方で、<紙が中心で、ネットは補助である>という回答した弁護士は5人だった。次のような意見があった。

「裁判所への証拠としての提出もできるから」

「ネット情報は個々の情報が分断されているのに対し、紙情報は有機的なつながりがある」

他にも、「情報の信頼に違いがあるから」という声もあった。なお、「ほぼ紙だけである」を選択した弁護士は0人だった。

弁護士から寄せられた回答を見てみると、どちらも一長一短があるようだ。また、それぞれの仕事のスタイルや事務所のスペース状況なども影響しているのかもしれない。いずれにせよ、選択肢が増えた、ということは言えるだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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