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法律

板まんだら事件

読み方:いたまんだらじけん

板まんだら事件(最高裁昭和56年4月7日判決)とは、宗教上の教義に関する判断が前提問題となっている具体的な紛争は「法律上の争訟」(裁判所法3条)にあたらないと判断された寄付金返還請求事件を意味する。事案及び判決の概要は以下のとおりである。

昭和40年、創価学会(以下、学会とする)の会員であった原告らは、学会が「広宣流布」(日蓮の三大秘法の仏法が日本中及び世界中に広まること)の達成時期にご本尊(板まんだら)を安置する正本堂を建立する資金を募集したことから、寄付を行った。

しかし、その後、本件寄付行為は重要な要素の錯誤に基づく無効なものであり、学会は法律上の原因なく寄付金を不当に利得しているとして、寄付金の返還を求める訴えを提起した。原告らは錯誤の内容として、(1)板まんだらは偽物であること、(2)学会は募金時には、正本堂完成時が広宣流布の時にあたるとしていたが、正本堂完成後には広宣流布はいまだ達成されていないと明言したことを主張した。

一審(東京地裁昭和50年10月6日判決)は、本件は純然たる宗教上の争いであって裁判所が審判すべき法律上の争訟とはなりえないとして訴えを却下した。ところが、二審(東京高裁昭和51年3月30日判決)は、不当利得返還請求権に着目し、その存否は裁判所の審判の対象となるべきものであるから、本件請求は法律上の争訟にあたらないとはいえないとして一審判決を取消、差し戻したため、学会側が上告した。

最高裁は以下のように判示した。

「裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条にいう『法律上の争訟』、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる・・・したがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。」

そして、本件(1)については、「信仰の対象についての宗教上の価値に関する判断」が、(2)については、「宗教上の教義に関する判断」がそれぞれ必要となり、「いずれもことがらの性質上、法令を適用することによっては解決することのできない問題である」とした。さらに、本件訴訟は不当利得返還請求という具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、宗教上の教義に関する判断が請求の当否を決するうえで前提問題にとどまるとも思える。しかし、右の判断が本件訴訟の結果を左右する必要不可欠なものであり、また核心となっていると認められる。したがって、本件訴訟は実質的に法令の適用により解決することが不可能なものであり、「法律上の争訟」にはあたらないとして、請求を棄却した。

<板まんだら事件に関連する用語>
法律上の争訟、司法権

<板まんだら事件に関連する判例>
技術士国家試験事件、富山大学事件、共産党袴田事件、種徳寺事件、本門寺事件、蓮華寺事件

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