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強行採決か「安保法案」 長谷部教授「政府の理屈は傍論ではなく暴論」
村越進・日弁連会長から国会議員に請願署名が受け渡された

強行採決か「安保法案」 長谷部教授「政府の理屈は傍論ではなく暴論」

安倍首相が成立を目指す安保法案について、与党が「強行採決」の構えをみせているなか、日本弁護士連合会は7月9日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で、安保法案に反対する集会を開いた。会場には法曹関係者や国会議員ら250人が集まり、日弁連の村越進会長から国会議員に対して、安保法案に反対する約28万人分の請願署名が受け渡された。

村越会長は冒頭、今国会での安保法案成立について反対が賛成を上回っている世論調査に触れ、「国民の意見に背を向け、国会の数の論理だけで押し切るということになれば、『無理が通れば道理が引っ込む』という世界になる」と法案の廃案を求めた。そのうえで「日弁連は強制加入制の法律家団体だが、法律家として立憲主義は守らなければならない。ここは譲れない一線だ」と強調した。

集会には、憲法学者の長谷部恭男・早稲田大教授も参加していた。長谷部教授は、衆議院の憲法調査会に招かれたとき、与党の参考人であるにもかかわらず「集団的自衛権の行使は違憲だ」と発言して、大きな注目を集めた。

長谷部教授は、政府が合憲論の根拠としている「砂川判決」の該当部分について、「最高裁の先例としての価値は、いかなる争点に対してなされた判決であるかということから決まる」述べ、先例としての価値がない「傍論」であることを指摘。「砂川事件に集団的自衛権を認めるという最高裁の意図を読み込むのは、『傍論』ではなく『暴論』だ」と政府の解釈を批判した。

また、元最高裁判事の那須弘平弁護士は「(平和主義を定めた)憲法の前文は、法律的効力を持たないというのが法律の世界の常識だが、歴史文書であり、祈りの文書として重要な意味がある。これを基本にして、国会に良識ある判断をしてほしい」と訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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