
少年事件・労働事件の問題解決に注力 相手を信じる心と丁寧なコミュニケーションで信頼関係を築く
大学の授業をきっかけに弁護士を志す
ーー弁護士を目指されたきっかけや理由について教えてください。
大学の授業で少年事件や児童虐待について勉強し、関心を持ったことがきっかけです。少年が罪を犯す背景を知って、もしも誰かが止めに入ったり、信頼できる人が1人でもいたりすれば、犯罪に走ることはなかったかもしれないと思いました。
「こういう分野に関われる仕事って何だろう」と考えたときに、弁護士になるという選択肢が浮かびました。
ーーどんな学生生活でしたか。
在学中はずっと学生委員会という団体に入っていました。ゼミの活動に必要な機材の貸し出しをしたり、ゼミ紹介のパンフレットを作ったり。外部から講師を呼んで、法学部の学生向けの講演会を開いたこともあります。
授業が終わったらすぐに部室に行って、先輩や友達とワイワイ話しながら仕事していました。大学生活の憩いの場になっていましたね。
学生委員会の活動と並行して、大学1年生から司法試験に合格するまで、7年間くらい塾講師のアルバイトもしていました。
「やっていない」少年の言葉を信じ抜いて、「非行事実なし」を勝ち取った少年事件
ーーどのような分野の事件を手がけていますか。
学生時代から関心があった少年事件や児童虐待に関する事件をはじめ、事務所が注力している労働事件も扱っています。
案件として多いのは労働事件ですね。使用者側と労働者側どちらの事件も手がけています。
ーー仕事で心がけていることを教えてください。
法律の言葉や概念は一般の方にとって難しいので、わかりやすく説明することを心がけています。
依頼者に「今説明したことはわかりますか?」とお聞きして、「わからない」と言われれば、理解していただけるまで何度でも説明するようにしています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象に残っているエピソードを教えてください。
ある少年事件が記憶に残っています。窃盗の疑いをかけられて、逮捕はされなかったのですが、家庭裁判所に事件が送致されました。少年は、こちらが何回確認しても「自分はやっていない」と頑なに否認していました。その言葉を信じて活動して、結果的に、裁判所にも「窃盗はしていない」と認めてもらうことができました。
刑事事件では、本人が罪を犯したことを認めている場合はもちろん、否認していても結果的に有罪になる事件がほとんどです。
それでも、少年が「やっていない」と言うなら弁護士としてもその言葉を信じて行動しようと、改めて実感しました。それからも、否認しているときは特に気を張って、どういう理由で「やっていない」と言っているのかなど、本人の声にしっかり耳を傾けるよう心がけています。
ーー少年事件を手がける上でのやりがいは何ですか。
弁護士としてひとりひとりの少年と関わる時間は、少年の人生にとってほんのわずかな時間です。その短い中でもよい方向に変わっていると感じるとうれしいですね。少年から「これから頑張って生きていこうと思います」と言われたりすると、今後の人生の助けになれたのかなと思えて、やりがいを感じます。
事件が終わった後も定期的にコンタクトを取るようにしていて、最近では「免許を取って定職についたので、被害者に示談金をお支払いしたい」と連絡をくれた子もいました。彼自身の気持ちの変化や成長を感じて、「事件を手がけてよかったな」と思いました。
ーー少年とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
とにかく話す機会を多くして、本人が言いたいことや考えていることを聞き逃さないように気をつけています。
かっこいい言葉をかけたりはできないですが、大学時代にずっと塾講師のバイトで中高生を相手にしていたので、あまりコミュニケーションで困ったことはないですね。
説明をするときには、難しい言葉を使わないようにしたり、抽象的な話が苦手な子には具体例をあげたりするなど、それぞれに伝わりやすい話し方を心がけています。
「まだまだ勉強を積んで極めていきたい」
ーー休日はどのように過ごしていますか。
食べることが好きなので、ちょっと遠くのラーメン屋さんまで自転車で行ったりしています。1人のときもありますが、修習生時代の同期とずっと仲がいいので、大阪にいる仲間に「誰かご飯行かへん」と声をかけて、何人かで食事することもあります。
あとは、子どもの頃からずっとゲーム好きです。自宅でも、ゲームセンターでもよく遊びます。特にガンダムのゲームが好きですね。
ーー今後の展望をお聞かせください。
弁護士4年目になり、新人のときと比べるとだいぶ経験を積んだと思います。ただ、初めて出てくる問題や、経験したことがないパターンに直面することもあるので、常に新しい情報を吸収したいです。
事務所で注力している分野も、個人的に力を入れたい分野も、現状に満足せず、まだまだ勉強を続けて極めていきたいと思います。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方にメッセージをお願いします。
「もう少し早い段階で弁護士に相談していれば、結論が変わっていたかもしれない」というケースを見ることがあります。自分で対処しようとして、問題が大きくなってしまってから相談に来られる方に出会うたび、「もっと早く来てくれていれば」と思います。
トラブルを抱えたときは、1人で悩まずに、無料相談や弁護士会の相談会など何かしらの方法を利用して、弁護士にアドバイスを求めていただけたらと思っています。