相続放棄申述受理証明書とは?
しかし、場合によっては、相続放棄申述受理証明書という書面が必要になることがあります。
今回は、相続放棄申述受理証明書の入手方法について説明していきます。ご参考になれば幸いです。
1、相続放棄申述受理証明書とは?
(1)相続放棄申述受理証明書とは?
相続放棄申述受理証明書とは、相続放棄申述書が受理されたことを家庭裁判所が証明してくれる書面のことを言います。
(2)相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書の違いは?
この相続放棄申述受理証明書と似て非なるものとして、相続放棄申述受理通知書があります。相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を家庭裁判所に申立てた後に、相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された時に送られてくる書面のことを言います。そして、この書面が送られてきた場合には相続放棄が認められたことになります。
通常であれば、相続放棄申述受理通知書だけでコト足りるのですが、場合によっては別途相続放棄申述受理証明書が必要になる場合もあります。詳しくは、後述の「2、相続放棄申述受理証明書の役割は?」をお読みください。
2、相続放棄申述受理証明書の役割は?
では、相続放棄申述受理証明書はどのような役割があるのでしょうか。
相続放棄の手続きが全て終了した場合には、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書面が届きます。相続放棄が完了したことを証明するにあたって多くの場合、この相続放棄申述受理通知書で事が足りるため、別途相続放棄申述受理証明書が必要になることはありません。
しかし、例えば、不動産の登記名義を書き換える際に、相続放棄申述受理証明書を添付して法務局に提出する必要がありますので、この場合には相続放棄申述受理証明書が必要になります。
また、相続時に預貯金を解約する際に、金融機関から相続放棄申述受理証明書の提出が求められることもあるようです。
3、相続放棄申述受理証明書を発行してもらうのに必要な書類は?
相続放棄申述受理証明書を発行してもらうには、相続放棄の手続きが完了後、家庭裁判所に以下の書類を提出する必要があります。
(1)申請書
相続放棄申述受理証明申請書(利害関係人用)が必要になります。
なお、裁判所のホームページに申請書の雛形と記載例が掲載されていますので、それぞれをご参照下さい。
相続放棄申述受理証明申請書(利害関係用)の雛形はこちら
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/f0085.pdf
相続放棄申述受理証明申請書(利害関係人用)の記載例はこちら
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/f0086.pdf
(2)添付(疎明)資料
以下の書類を提出する必要があります。
なお、場合によっては、下記以外の資料の提出を求められることがあります。
- 被相続人の戸(除)籍謄本(必要な場合には改製原戸籍謄本)
- 申述人の戸籍謄本(申請日において3ヶ月以内に発行されたもの)
- 被相続人の住民票除票または戸籍の附票
- 申請人の戸籍謄本(申請日において3ヶ月以内に発行されたもの)
- 利害関係の存在を証する書面
- 相続関係図
- 申述人の相続放棄申述受理通知書の写し
必要な戸籍の範囲は、申請する相続人により異なります。詳しくは、後述の(4)をご参照下さい。
必要な戸籍の範囲は、申請する相続人により異なります。詳しくは、後述の(4)をご参照下さい。
上記の戸籍等については、後述の相続放棄申述受理通知書の写しを添付できない場合のみ提出する必要があります。
例えば、金銭消費貸借契約書や訴状、その他債権の存在を証明する書面などです。
相続放棄等の申述の有無についての照会後、3ヶ月以内に申請する場合は、照会に対する回答書の写しを添付すれば,上記の資料提出は不要になります。
(3)その他
その他に、
- 原本還付申請書(戸籍謄本や住民票、戸籍の附票の還付を求める場合)
- 収入印紙(申述人1名の証明書1通につき、150円)
- 返信用郵便切手及び返信用封筒(郵送により証明書の交付を希望する場合。なお、証明書4通までは82円分の切手)
が必要になります。
(4)必要な戸籍について
申述人が、被相続人の配偶者の場合
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が、被相続人の子またはその代襲者(孫、ひ孫等)(第一順位相続人)の場合
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が、被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属に死亡している人(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 申述人が代襲相続人(おい、めい)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
4、相続放棄申述受理証明書が届いた後に何か手続きが必要?
相続放棄の申述が受理された場合、申述人に対して、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。相続放棄申述受理通知書が届いた時点で、相続放棄は完全に認められたことになります。
そのため、相続放棄申述受理証明書を申請し、相続放棄申述受理証明書が届いたとしても、その後何か別に相続放棄の手続きが必要になることはありません。
なお、裁判所の相続放棄の書類保存期間が30年とされていることから、30年を超えると相続放棄に関する証拠が裁判所に無くなります。そのため、相続放棄申述受理の証明ができなくなる結果、相続放棄申述受理証明書の発行ができなくなりますので、この点には注意が必要です。
まとめ
今回は、相続放棄申述受理証明書の入手方法について説明してきましたがいかがだったでしょうか。相続放棄申述受理証明書を必要とお考えの方のご参考になれば幸いです。