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インタビュー・レポート

「相続事件のコツは、とにかく話をよく聞くこと」〜弁護士業界における生き残りを考え、マルチプレイヤーではなくスペシャリストを目指すという選択〜

インタビュー

2020年02月14日


今回は、東京都中央区日本橋でパートナー弁護士として活躍されている大村隆平先生(雨宮眞也法律事務所)に、弁護士になられてから現在に至るまでの歩みや仕事術について、お伺いしました。

大村先生は、相続事件に大変力を入れておられ、弁護士歴8年で、これまでに150件以上の相続事件で代理人をされた経験をお持ちです。そこで今回は、注力分野の決め方や相続事件を進める上でのノウハウなどについてもお話しいただきました。


 
記事のハイライト

・直接「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたかった
・伯従父の言葉が、私の弁護士としての在り方を作ってくれた
・「話をよく聞くこと」が、全ての鍵
・相続事件に特化し、「依頼者満足度100%」を目指す


直接「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたかった

 

ー 弁護士を目指された理由をお聞かせください。

自分の力が、誰に、どのように役に立っているのかを、直接感じることができる仕事に就きたいと考えたからです。

実は、大学を卒業してすぐに弁護士になったのではなく、国家公務員を経験した後、転身しました。転身したきっかけは、たまたま街で見かけた盲導犬です。その頃は、昼夜問わず毎日忙しく働いていたのですが、主人のために健気に働いている盲導犬を見て、「なんて偉いんだろう。この犬がいなくなったら、さぞこの人は困るだろうな。今の世の中で、この犬より人の役に立っている人間は、果たしてどのくらいいるのだろうか。自分もこの犬に負けているな」と思いました。もちろん、国家公務員も大変重要な仕事ですが、自分の手がけた仕事によって喜んでくださる方の顔が見えないことや、直接感謝の言葉をいただける機会が無いことが辛く、やりがいを感じられなくなっていました。その点、弁護士は、手がけた仕事に対して喜んでくれる方の顔が見え、直接「ありがとう」と言っていただける仕事だと考え、国家公務員を辞めて、弁護士を目指すことにしました。
そこからロースクールに通い、司法試験を受験して、2012年から弁護士としての活動をはじめました。


ー 大変思い切った転身ですね!
  実際に弁護士になられてみて、いかがですか。

思っていた以上に、やりがいのある素晴らしい職業でした。本当に転身してよかったと思っています。


伯従父の言葉が、私の弁護士としての在り方を作ってくれた


弁護士に転身される際に、どなたかにアドバイスを受けられたのでしょうか。

東京の法律事務所で、パートナー弁護士をしていた父の従兄弟(以下、伯従父)からアドバイスをもらいました。父の従兄というと、一般的には、名前も顔もわからない間柄であることが多いと思いますが、私と伯従父は、毎年お正月に顔を合わせていました。国家公務員を辞めて弁護士になろうと決心してからは、毎年会う際に、積極的に質問をしていたのですが、その時にかけてもらった言葉の数々が、私の弁護士としての方向性を形作ってくれました。


ー 伯従父様は、どのようなことをおっしゃったのでしょうか。

特に私の人生に影響を与えてくれた言葉は、「実務家にとって一番大切な力」と「弁護士としての専門分野の決め方(決まり方)」に関するものです。

「実務家にとって一番大切な力」については、「実務は、試験とは違って、自分で問題点を発見してそれを解決することが求められる。そのために必要な考える力が、実務家にとって一番大切だ。もちろん最低限の知識は必要だが、知識は二の次。ロースクールでは、考える姿勢を身に着けてきなさい」との言葉をもらいました。

「弁護士として専門分野の決め方(決まり方)」については、「司法試験の選択科目として少しかじっただけで、専門分野にできるほど実務は甘いものではない」との言葉をもらいました。そこで、伯従父の専門分野の決め方について尋ねた所、「弁護士になって1、2年目にたまたま手がけた事件で結果が出て、それが次の同じ分野の事件の依頼に繋がり、自然と同じ分野の事件が集まってきて、気づいたら得意分野になっていた。これは、私に限ったことではなくて、他の多くの弁護士もそうだよ」と教えてもらいました。

また、併せて、「これからの弁護士は競争が激しいため、顧客を見つけて行くことが本当に大変だと思う。今までのように、あの分野もこの分野もなんでもやる、ということではなくて、この分野なら誰にも負けない、という明確な武器を身に着ける必要があると思う」との言葉ももらいました。

弁護士になって丸8年が経ちましたが、今までの歩みを振り返ると、これらの伯従父の言葉が道標となって、ここまで来ることができたのだなと、改めて思いました。伯従父は、残念ながら、私の修習中に、若くして病気で亡くなってしまったのですが、伯従父なくしては今の私はありません。大変感謝しています。


ー 具体的にどのような形で伯従父の先生のお言葉が道標となったのでしょうか。

以前在籍していた事務所から、「是非来て欲しい」とお声がけいただけたのも伯従父の言葉のお陰ですし、その事務所にお世話になることにしたのも、伯従父の言葉が決め手でした。

採用面接の際、抜き打ちで知財法の問題のペーパーテストがありまして、私は知財法の知識は全くなかったので、もうその場で帰ろうかと思ったのですが、ふと伯従父から言われた「実務家は考える力が一番大事、知識は二の次」という言葉を思い出しました。また、募集要項にも「知的財産の知識は不要」とあったので、「知識がなくても解ける問題なのではないか」と思い、自分の頭で考えた回答を提出しました。その結果、代表の先生に「ぜひ採用したい」とのお声がけをいただいきました。その際に、テストの出来について尋ねたところ、「結構出来ていたよ」とのお答えをいただきました。伯従父の言葉がなければ、お声がけいただくこともなかったと思います。

実務修習地が名古屋だったことから、以前在籍していた名古屋の事務所とご縁があったのですが、修習前は横浜と東京でしか生活したことがなかったため、東京もしくは横浜での就職を第一に考えており、お世話になるかどうか迷いました。
それでも、その事務所にお世話になることを決めた最大の理由は、取扱事件を、主に相続事件と知的財産事件の二つに絞っていたからです。事件の種類はそれほど重要ではなく、取扱事件の種類を絞っている、という点に魅力を感じました。伯従父から、「これからの弁護士は専門性が重要だ」と言われていたことや、私自身、修習中に、範囲を広げるより絞って集中する方が自分に性格にも向いていると感じたからです。

また、代表の先生に相続事件に特化された理由について伺ったところ、「相続事件がもともと好きだったわけではない。今後の生き残りを考えて、分野特化をしようと考えたタイミングで、今までやってきた事件を振り返ったら、相続事件が依頼者の方に一番喜んでいただけた分野だったから」とのご回答でした。伯従父と同じことをおっしゃっていて、とても親近感を持ったことも、お世話になることに決めた理由のひとつです。


ー 事務所に入所され、相続事件を手がけられてみて、いかがでしたか。

身近で相続問題に悩んでいる人がいなかったことや、修習中に触れた相続事件がそこまで重い内容ではなかったこともあり、正直なところ、最初は「相続は、そこまで深刻な問題ではないのではないか」と思っていました。
しかし、事務所に入所し、数多くの相続事件を手がけていく中で、依頼者の皆さんが大きなストレスを抱えて悩まれている姿や問題が解決してとても喜ばれている姿を間近で見て、相続事件は人生の一大事であることがよく分かりました。
実際に、「この事件に人生をかけている」とおっしゃる方や、事件のストレスで体調を崩されてしまう方もいらっしゃいました。そんな方々の力になることができるので、強いやりがいを感じることができました。


ー 現在の事務所には、いつ頃移られたのですか。

2019年の5月に移りました。
経緯としては、以前在籍していた事務所に入所して3年ほど経ったタイミングで、東京、横浜に戻ることも考えていたところ、代表の先生から、「東京に支店を出そうと思っているが、出した場合、大村先生はそちらに行ってくれるだろうか。もし行ってくれるならば、支店を出す準備を進める」とのお声がけがありました。まさに、渡りに船の状態でしたので、二つ返事で了承しました。

2017年1月に東京支店が完成し、私も東京に戻ってきたのですが、いろいろな事情が重なりまして、2019年の5月から移籍することになりました。
一人で事務所を開業することも検討はしたのですが、同期にも相談したところ、「最初から一人で事務所を開くことはリスクが大きい。パートナー待遇で受け入れてくれる事務所に移るのがベスト」との結論に至りました。
そこで、パートナーとして受け入れていただける事務所を探したところ、現在の雨宮眞也法律事務所にお世話になることが決まりました。

約7年半お世話になった前事務所の代表の先生には、本当に感謝しています。今回、私がこのようなインタビューをしていただける機会をいただいたのも、代表の先生のお陰です。
また、新たに受け入れていただきました雨宮眞也先生にも、本当に感謝しています。


ー 事務所移籍に伴い、勤務弁護士からパートナーになられる際に、改めて相続事件に特化されることを選択されたのですか。

その通りです。以前在籍していた事務所でも、相続以外の事件もそれなりの数は扱っていましたし、個人事件として刑事事件を国選・私選併せて80件ほど手がけていたため、相続事件以外も取り扱うことも考えましたが、結局、相続事件に特化することにしました。理由としては、やはり、前述の伯従父の言葉にもありましたが、競争が激化している弁護士業界内での生き残り戦略を考えた結果、中途半端に範囲を広げるより、徹底的に特化した方が賢明だと判断したからです。 

今は様々な業界で、専門化が進んでいるようですが、特に弁護士業界においては、専門家のニーズは高いと思います。実際、ある依頼者の方から、「『相続 専門 弁護士』のワードでネット検索をして、法律事務所のHPを上から順番に見たが、どの事務所も相続以外の事件も取り扱っていたので、相続専門ではないと思った」と言われたことがありました。その方の考えですと、「専門家=その分野しか取り扱っていない」ということなんですね。私もその方に言われて、「ああ、そうか、そういう考え方もあるんだな」と思いました。弁護士業界では、「複数の分野を取り扱うのが当たり前」ですが、「単にその分野に強いというだけなく、その分野のみを取り扱っている弁護士」を求めている方もいらっしゃるわけです。であれば、私はそのニーズに応えようと思いました。

私は野球が好きなのですが、野球界では「アマチュアの『走・攻・守三拍子揃ったマルチプレイヤー』は、プロに入ると、『特徴が無くて何もできない選手』で終わる。足りないところがあってもいいので、『一芸に秀でたスペシャリスト』の方がいい」とよく言われています。
ありがたいことに私は、「一芸」を手に入れることはできたと思いますので、それを最大限活かしたスペシャリストを目指すことにしました。
大谷翔平選手のようなスーパースターは目指さず、元中日の英智選手や現ソフトバンクの周東選手のような地味かもしれないけど一芸に秀でた超一流のプレイヤーを目指すことにしました(笑)。


ー 集客については、どのようにお考えですか。相続事件というと、税理士や司法書士の先生からの紹介案件が多いのでしょうか。

私は、今、税理士、司法書士、不動産鑑定士のそれぞれについて、事件を紹介しあうほど深くお付き合いする事務所、先生を一つに絞っていますので、他士業の諸先生から事件をご紹介いただくことはありますが、件数としては多くありません。ですので、Webを集客のメインに位置付けています。

私としましては、あまりに多くのご依頼をいただいても対応しきれないことと、現在、お付き合いさせていただいている先生方がベストの布陣だと確信していることもあり、新しい先生とのお付き合いを増やすことは考えていませんが、集客数を増やすために、事件を紹介してくださる他士業の先生とのお付き合いを増やす、という方法は有効だと考えています。


「話をよく聞くこと」が、全ての鍵
 
相続事件を手がける上で、心がけていらっしゃることをお聞かせください。

一つ挙げるとすれば、「話をよく聞くこと」です。
相談者の方や依頼者の方が、事件に直接関係ないように思える話を始めると、弁護士が「その話は関係ないから結構です」と遮ってしまうことは、よくあると思います。私も、最初の頃は、お話を遮ってしまうことがよくありました。適切に話の交通整理をすることが弁護士の仕事だと思っていたからです。しかし、たくさんの相談者、依頼者の皆様とお話をしていて、「以前相談に行った事務所では、私の話を全然聞いていただけなかった」という不満の声を伺うことが多かったため、それを他山の石にして、なるべく話を遮らずにしっかり聞くことを心がけるようになりました。その後、「話をよく聞いてくれて、本当にありがとうございます」というお声をいただくこともあったので、さらに意識するようになりました。

最近では、ビジネスの世界でも「話を聞く力」の重要性が説かれているのを目にしまして、より一層、「話をよく聞くこと」の重要性を確信しています。
情報の交通整理は、起案の段階で行うことにして、まずは依頼者の方のお話は全部聞かせていただく、という姿勢が望ましいように思います。

相続事件においては、依頼者の方の子供の頃や生まれる前のことまで話が遡ることが珍しくありませんし、依頼者の方が感情的になられることもあります。「話をよく聞くこと」は、かなり骨が折れることではありますが、それでも得られるものは非常に大きいと感じています。
そのため、「初回相談」は、無料、かつ、時間を「2時間」に設定しています。理由としては、私のところにご相談に来られる方の人物像として、非常に拗れた相続事件に困っている方を想定しており、30分や1時間では、じっくりとお話を聞かせていただいた上で、こちらから適切なアドバイスをすることは難しいと考えているためです。


ー 他にも、心がけていらっしゃることはありますか。

前述の「話をよく聞く」ことに付随するのですが、代理人を付けていらっしゃらない相手方ご本人のお話も、よく聞くように心がけています。
「できれば、裁判所に話を持ち込むことは避けたい」とおっしゃる依頼者の方が圧倒的多数なのですが、裁判外で決着を付けるためには、相手方ご本人を説得する必要があります。
相手方ご本人の立場になって考えれば、自分の話もろくに聞いてくれない人の言うことに納得してくれるはずがないですよね。「相手方ご本人の話もよく聞く」というのは、相手方ご本人を説得するための第一歩だと思います。

「話をよく聞くこと」は、新規の顧客獲得や依頼者の方との信頼関係の構築、相手方ご本人の説得という様々な場面に共通する重要事項であると思います。「お話を聞いて差し上げる」というスタンスではなく、「お話を聞かせていただく」というスタンスが望ましいと考えています。
もちろん、「『話をよく聞くこと』が重要」と言っても、単にお話を聞いていればいい、というわけではなく、いろいろとやるべきことはあります。具体的に何をすべきかは、紙面の関係で省略させていただきますが、書店に行けばいろいろ関連書籍がありますので、もし興味がある方はご覧になっていただければと思います。


相続事件に特化し、「依頼者満足度100%」を目指す



ー 大村先生の今後の展望について、お聞かせください。

繰り返しお話ししているように、相続事件一本でやっていくつもりです。

前事務所に在籍していた当時(勤務弁護士時代)、ボスから「うちは取扱分野を絞っているのだから、その分野に関しては超一流の弁護士になれるように、向上心を高くもって頑張ろう」と、発破をかけられており、私もそれに応えて頑張ってきたつもりでした。しかし、パートナー弁護士になったことで、意識改革ができ、「今までは甘かったな」と思うようになりました。
取り扱い分野を相続だけに絞っても、勉強したいことや取り組みたいことが次から次へと出てきて、時間が全然足りない状況です。

サービスを提供する側として、「顧客満足度100%」を目指したいと思います。全ての事件において、依頼者の方の当初の希望通りの結果を出すことが究極の理想ですが、これは不可能なことです。しかし、仮に、当初の希望通りの結果を出すことができなかったとしても、「ここまでしっかりやっていただいたのであれば、仕方がない」とご納得いただき、結果として、全ての依頼者の方に、「大村先生に依頼してよかった」と思っていただけるように努めたいと思います。

今回、このようなインタビューの機会をいただいて、偉そうにお話させていただきましたが、私もかつては、今から振り返るとあり得ないような事件処理をしてしまい、依頼者の方にご迷惑をおかけしたこともありました。弁護士にとっては、数ある事件の一つでも、依頼者の方にとっては唯一の事件ですので、本当に申し訳ないと思っています。その後、研鑽を積み、おかげさまで、それなりのことはできるようになったと思っていますが、当然のことながら、今なお勉強中の身です。今後もさらに精進し、5年後、10年後、20年後などの節目のタイミングで2020年の自分を振り返った際に、「あの頃は、今と比べて全然成ってなかったな」と思えるように、努力していきたいと思います。

 

 

 
 
 
 

(取材・撮影・文 / 松居恵都子)

 



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大村隆平 先生のプロフィール



これまでに150件以上の相続事件で代理人を務め、300件以上の相続に関する相談にアドバイスをしてきました。
その経験を活かし、取扱事件を相続事件に絞り、全ての依頼者の方方に「大村先生に依頼してよかった」と思っていただけるように、全力を尽くします。

【所属】
・東京弁護士会

【主な取扱分野】
・相続事件

【Web】
・公式HP
 https://ohmura-law.com/

・弁護士ドットコムのページ
 https://www.bengo4.com/tokyo/a_13102/l_197628/

 




 

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