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インタビュー・レポート

「自分の理念や考えを自分のやりかたで実現していくと決めて、即独を選びました」〜人脈ゼロスタート!即独から事務所経営に携わるまで〜

インタビュー

2019年09月27日


今回は、虎ノ門で独立開業されている弁護士の渡部孝至先生(弁護士法人はるかぜ総合法律事務所)に、独立前から独立後の現在に至るまでの歩みや仕事術、今後の展望などについて、伺ってきました!

渡部先生は、強い意思のもと即独されており、土地勘や人脈のないところから集客をスタートし、独立後も安定して案件を獲得されています。即独する際のポイントや人脈がないところからの新規顧客獲得のコツについても、特別にお話しいただきました。


 
記事のハイライト

・すべて自分の判断と責任でやりきるための、即独という決断
・集客が難しい即独のデメリットをWeb集客と弁護士人脈で解決
・相談者様や相手方と真摯に向き合うことで繋がる顧客の輪
・独立する際に一番重要なのは、「強い気持ち」

すべて自分の判断と責任でやりきるための、即独という決断

 

ー 弁護士を目指された理由をお聞かせください。

理由は、三つあります。
自らの考える社会的正義を実現させたいと思ったこと、法律自体に面白さを感じたこと、そして、弁護士業が自営業であることです。


法律に最初に触れたのは、大学生の頃に始めた行政書士の資格勉強です。法律の勉強をしているうちに、その論理性に面白さを感じたり、マイノリティの方々の人権を守りたいという強い思いが湧き上がってきました。
また、元々、組織に属するより、自分の理念や考えを自分のやりかたで実現させたいという思いが強かったので、自営業である弁護士という職業に魅力を感じていましたね。当時から、ゆくゆくは自分で法律事務所を経営したいと思っていました。


ー 学生の頃から、法律事務所の経営について興味を持たれていたのですね!
  即独されていらっしゃいますが、いつ頃ご決断されたのですか。
 
弁護士修習の時です。
お世話になっていた先生は、イメージ通りのマチ弁の方で、依頼者とやりとりされている姿や、自分の考えで事件処理をされている姿を間近で見ていたことが、きっかけですね。

ありがたいことに、案件を受任するところから、法廷での訴訟活動、解決した後の依頼者とのやりとりなど、同席させていただくことができたので、案件を最初から最後まで、すべて自分の判断と責任でやりきることが、とても面白いことだということがイメージできたんです。勤務弁護士として法律事務所に入所してしまうと、案件を全て自分の判断で自分一人で行うことは難しいので、即独することを決断しました。学生の頃から、自分の理念や考えを自分のやりかたで実現させたい、いずれ法律事務所を経営したいと考えていたことも大きいですね。


集客が難しい即独のデメリットをWeb集客と弁護士人脈で解決


ー 即独は、勤務弁護士からの独立に比べて、業務に関するノウハウや集客に関する人脈形成などの点で不利になることも多いと思いますが、独立の準備はどのように進められましたか?

勉強と情報収集に、力を入れました。
当たり前ではあるのですが、独立したら、一から十まで自分ひとりで事件処理をしなければならないため、まずは事件処理のやり方を必死に勉強しました。

具体的には、修習時代にもらった白表紙や実務系の書籍(「要件事実マニュアル 上下」「書式家事 事件の実務」「書式民事訴訟の実務」など)、判例集などを読み込んで勉強するだけではなく、同期や所属している弁護士会の会派の繋がりから、様々な先生に事件処理のノウハウに関するお話を伺って、参考にしていました。


ー 他の先生にノウハウを聞かれていたのですね!
  そのような制度があるのでしょうか?

今もあるかどうかはわからないのですが、私が独立した当時は、弁護士会によっては、独立開業を支援する「チューター制度」がありました。

この制度は、有志の先輩の先生が、チューターとして、独立する若手弁護士に1年程ついてくださり、わからないことや困ったことが発生した際にご連絡すると、ご指導いただける、というものです。私もこの制度を利用していました。
また、ご相談できる先生は多ければ多いほどいいので、様々な弁護士の集まりに参加し、弁護士の人脈を広げていました。独立したての頃は事件処理にそれほど忙しくなかったので、空いた時間を利用して、積極的に参加していました。
同期や先輩の先生に頼ることで、「なにかあった際に相談できる相手がいない」という即独のデメリットを解消していました。


ー 精力的に動かれていたのですね。
  集客に関する人脈は、いかがでしょうか?

地方出身だったこともあり、東京における集客につながる人脈がなかったので、Web集客を利用しました。他の選択肢はなかったですね。

Webを見て来てくださった相談者様から始まり、徐々に人脈が広がって、今では、ご紹介
の案件もかなりの数をいただけるようになりました。
現在も、Webと紹介の両輪で集客を行なっています。


ー 実際に、Web集客を利用してみていかがでしたか?

正直に申し上げると、最初は厳しかったです。
なぜかというと、即独の場合、独立した直後は事件処理の経験がないため、Webに掲載できるような実績や集客につながる説得力のある文章が書けないからです。

Web経由で初めて相談者様が来所されたのは、Web集客を初めて1ヶ月ほど経った頃でした。お問い合わせの手応えが変わってきたのは、初めて半年ほど経った頃でしたね。
手応えが変わった理由は、仕事の実績を積んだことで自信がつき、Web上に掲載する文章にも説得力を持たせることができるようになったことが大きいかなと思っています。同時に、Webを閲覧してくださる悩みを抱えた方からの反応もよくなりました。


ー とてもいい循環が生まれたのですね。
  実績はどのようにして積まれましたか?

他の先生にお願いして、その先生が持っている案件のお手伝いをさせてもらっていました。
案件を受任して処理をする、という一連の流れを経験するために、最初は、採算度外視でやっていました。ある程度、実績を積み重ね、事件を処理できるんだという自信がついたタイミングで、正規の金額をもらうようにしました。


ー Web集客をされる上で、工夫されていることはありますか?

二つあります。
一つ目は、解決事例を掲載することです。掲載することで、相談者様に、案件の具体的な解決イメージを持ってもらうことができます。

二つ目は、できる限り金額を明示することです。 Web経由で来られた相談者様がよく口にされるのは、「料金は高くても構わないから、金額を明示してほしい」という言葉です。自分に置き換えて考えるとよくわかるのですが、例えば、事務所の備品が壊れて、業者さんに修理をお願いする際に、「現物を見てから費用を決めます」と言われると、金額感がわからず、不安になりますよね。私自身、こういったケースでは、お問い合わせをした時点ではっきりと見積金額を提示してくれる業者さんにお願いすることが多いので、当事務所では、明朗会計を心がけています。

 
相談者様や相手方と真摯に向き合うことで繋がる顧客の輪
 
ー 独立されてから今までで、一番印象に残っている出来事をお聞かせください。

独立したての頃に、Web経由で来られた相談者様との出来事です。
独立して間もない時に、ある債務者の方からご依頼を受けて、その債権者である企業と交渉することになりました。何度も、直接企業まで出向いて、対面で債権者の方とたくさんお話をしました。この事件が落着してから、しばらく経ったある日、その債権者の企業から「今度は、こちらが依頼者として、先生に案件をお願いしたい」という連絡をいただいたんです。案件への真摯な対応や処理が認められたと思い、とてもうれしかったですね。

その頃、独立したてだったので、企業の方にも「実は、独立したてでまだ若手なのですが」と、正直かつ赤裸々にお話をしたところ、とても暖かく応援してくださいました。それ以降、他の案件もご紹介していただけるようになり、今でもお付き合いは続いています。

独立して、最初から最後まで自分のやり方で案件と向き合い、相談者様や相手方と直接やり取りをすることのできる環境だからこそ、できた繋がりだと思っています。


ー 誠実な対応がお客様の心を掴んだのですね。
  相談者様や相手方とコミュニケーションする上で、気をつけていることはありますか?

二つあります。相談者様のニーズを掴むことと、相談者様自身も気づいていない最も望ましい結論に気づいていただけるようにすることです。

そのために、面談時のヒアリングも丁寧に行うことを心がけています。当たり前のことです
が、事件の当事者だと、どうしても感情的になってしまい、冷静な判 断ができず、後ろ向きなってしまうので、そこから前向きになってもらえるように、お話させていただいています。
具体的には、相談者様とお話できる時間は限られているので、私たち弁護士だけではなく、事務局のスタッフが、まずはお電話や対面で、相談者様の事情を丁寧にヒアリングさせていただいています。緊急の状況にいらっしゃる相談者様も多いので、まずは、当事務所のスタッフがその場でお話を伺い、少しでも落ち着いていただけるように工夫しています。

また、ご相談があれば、全国どこでもお伺いするようにしています。これは、探せば、地元でも弁護士事務所はあるのに、わざわざ当事務所を選んでくださっているそのお気持ちに応えたいと考えているためです。また、遠隔地でも、電話会議システムを利用すれば、あまり実費をかけずに事件処理をすることができるため、地域はこだわっていません。


ー 事務局のスタッフの方ともうまく連携されているのですね!
  独立前に、マネジメントも勉強されていたのでしょうか。

いえ、必要に迫られてから、勉強しました。
実際にできたかどうかはわからないのですが、今思えば、独立した時に、事務所がある程度の大きさになることを想定して、人員のマネジメントや企業であれば当然揃えておくべき制度である社会保険や税金、福利厚生などについて勉強しておけばよかったと思っています。あとあと苦労しました。

事務局のスタッフの方との連携については、情報共有をしっかりするように心がけています。また、法律事務所はどうしても忙しくなりがちなので、忙しい時でも、気持ちよく働いていただけるように、なるべく無理をしなくてすむような環境作りに力を入れています。
 
 
独立する際に一番重要なのは、「強い気持ち」


ー 今後の抱負についてお聞かせください。

独立してから今まで、事件処理で手一杯になり、ひとつのことに専念できる時間がなかったので、今後はなにかひとつの分野に絞って、集中して取り組みたいと考えています。
集中する分野については、現在模索中ですが、外国人労働者の方の力になれればと。現在、たくさんの外国人労働者の方が日本にいらっしゃいますが、高齢化社会のため、今後ますます増えていくと考えられます。それに伴い、日本で一生懸命生活をする中で、悩みを抱える外国人労働者の方も増えていくと思いますので、そういった方のお手伝いをしていきたいですね。

実際に、日本に滞在されている外国人労働者の方から、離婚や不動産、相続などのご相談を受ける機会も増えています。相談に来られる方は、中国の方が多いので、よりコミュニケーションを円滑にするために、現在、中国語の勉強も進めています。今後は、中国だけではなく、アジアと関わって仕事をしていきたいと考えています。


ー 今後、独立を考えている先生にメッセージやアドバイスなどありましたら、お願いいたします。

独立するにあたって、現実問題として、費用が気になると思いますが、お金のことを気にしすぎると、いつまでたっても独立できないので、気にしすぎない方がいいと思います。事前に、月々どのくらい費用がかかるかを試算し、一年後までの見通しを立て、削れる所は削ることが大切です。最初から大きい借り入れなどをして、独立するのはおすすめしません。
一方で、自由度が高い分、固定収入がなくなるなどの大きいリスクがあるので、ご家族のいらっしゃる方は、慎重に独立された方がいいかと思います。

また、独立には、向き不向きがあると考えていまして、ご自分の性格や仕事の仕方などを考慮にいれて、判断されるといいのではないでしょうか。私が考える独立に向いている方は、自分でアイデアを出すことが得意で、それを面白いと感じる方です。理由としては、独立すると、自分で様々なことを考え、決めていかなければならないため、自分自身に明確な考えがあるかどうかが重要だと思うからです。逆に、あまり向いていない方は、新しい発想をしたりアイデアを出すことは苦手だが、決められた処理や書類作成などをきっちりやるのが得意な方です。理由としては、法律事務所の勤務弁護士や企業法務など、安定的に案件のある状況の方がご自身の力を発揮できると思うからです。


ー ありがとうございます。
  それでは最後に、今後、即独を考えている先生に、メッセージやアドバイスをお願いいたします。

時には周りからは反対され、不安要素は多いですが、気持ちさえ強く持っていれば、独立(即独)はできます。
費用を最小限に抑えてなるべくリスクを減らしつつ、全て自分の裁量で決められることの楽しさを感じながら、継続していくことができれば、それ程難しいことではないと私は考えています。
なにかあったときに、自分で責任を取れる、取ってもいいと思えるかどうか。失敗して事務所を畳むことになるかもしれないけど、それも覚悟の上でやれるかどうか。独立(即独)を考えていらっしゃる先生方は、そういったことを考慮に入れつつ、気持ちを強く持って臨んでください。

 

 
 
 
 

(取材・撮影・文 / 松居恵都子)

 



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渡部孝至先生のプロフィール

 

 
弁護士法人はるかぜ総合法律事務所代表弁護士。京都大学法科大学院卒業し司法試験合格後、東京都内で法律事務所を開設。離婚や相続、消費者被害などの一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。「離婚・離縁事件実務マニュアル」など著書多数。 


【所属】
 東京弁護士会

【主な取扱分野】
 犯罪・刑事事件
 遺産相続
 企業法務・顧問弁護士
 詐欺被害・消費者被害
 労働問題

【メディア掲載履歴】
・書籍
「民事保全の実務」創耕舎(共著)
「離婚・離縁事件 実務マニュアル」ぎょうせい(共著)
「弁護士が弁護士のために説く債権法改正」第一法規(共著)
「遺産分割実務マニュアル」ぎょうせい(共著)
「証拠収集実務マニュアル」ぎょうせい(共著)
「所有者不明の土地取得の手引き(売買・相続・登記手続)」 青林書院(共著)

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【Web】
・弁護士法人はるかぜ総合法律事務所 公式HP
 http://www.harukaze-law.com/index.html

・弁護士ドットコムのページ
 https://www.bengo4.com/tokyo/a_13103/l_267414/

 


 

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