依頼者と弁護士をつなぐプラットフォーム - 弁護士ドットコム

インタビュー・レポート

業務効率化も、万が一の際の緊急事業承継対策も。案件情報をシステム化する有用性

インタビュー/事例 2022年09月01日



今回は、弁護士の伊勢田 篤史先生(となりの法律事務所)にインタビュー。業務効率改善への取り組みや、弁護士ドットコム業務システムの活用方法について伺いました。

となりの法律事務所は、弁護士が3名所属されており、それぞれの弁護士が自分の強みを活かし、独立して活動されている事務所形態を取られております。

伊勢田先生は現事務所での活動をきっかけに、2021年12月に弁護士ドットコム業務システムを導入されました。今回は、業務効率改善のための取り組みやシステム導入後の変化について、特別にお話しいただきました。
(インタビュー日:2022年8月16日)

*弁護士ドットコム業務システムは弁護士ドットコム案件管理システム、弁護士ドットコムLIBRARY、弁護士ドットコムオンラインセミナー、3つのサービスが含まれています。


 

アジェンダ

・業務効率化の取り組みを始めたきっかけ

・業務効率化に向けた具体的な取り組み

・業務システムの便利な使い方

・万が一に備え、自身のためにも顧客のためにも活用したいシステム

 

業務効率化の取り組みを始めたきっかけ

ー 先生は業務システムの導入も含め、業務効率化に取り組まれています。きっかけは何だったのでしょうか?

記憶できる容量には限度があるからこそ、誰もがメモなど何かしらの方法で情報を残していると思います。「この案件でメモしたはずのもの、どこにあっただろう」と、どこかに残したはずの情報を「探す時間」は誰にでもあるのではないでしょうか。しかし、それが月に1回でもあれば、年間に換算すると結構な時間を無駄にしていることになります。私自身、ずっとその情報を「探す時間」が無駄だと感じていました。

もともとは打ち合わせでメモしたものをクリアファイルに入れて、各案件に関する資料をとりまとめた封筒に入れて……とアナログで管理していたのですが、それだと振り返りたい時に振り返りづらいですし、何より管理がしづらいんですよね。コロナ禍では、リモートワークも増え、より強く不便を感じるようになりました。そこで、次のステップではチャットツールやGoogle ToDoリスト、クラウドストレージサービスなどのWebツールを使って管理をするようになりました。しかし、それぞれのツールをバラバラに使っていたので、不便さを感じていました。

これらのWebツールを使う中で「情報を一元化したい」というニーズが芽生えたことがきっかけで、弁護士ドットコム業務システムを取り入れました。業務システムに含まれるサービスのうち「案件管理システム」では、一つのシステムを開くだけで全案件を一覧で確認することができるとともに、各案件に関する情報を整理して保存することができることは、とても便利だと感じています。現事務所に移籍したタイミングで、全ての業務対応をほぼ一人で行うことになったこともきっかけの一つです。必然的に業務効率を改善する必要があったんですよね。


ー 案件管理システムは、弁護士の突然死が起きた時の業務引き継ぎにおいても有用と伺いました。

誰しも明日を確実に生きる保証はありません。会社員も、個人事業主も、社長も、弁護士も同じです。一方で中小企業の社長など、組織の長であれば「もしも」の事態が起きたとしても、従業員等誰かしら引き継ぎ手がいるでしょう。しかしながら守秘義務もある弁護士に「もしも」の事態が起きた場合には、案件の引き継ぎをスムーズに行うことが難しいと考えられます。

そこで、案件管理システムのように対応案件が一覧となっており、業務の軌跡がわかるものがあれば、「もしも」の事態が起きた場合でも、漏れなく引き継ぎがスムーズに行えます。たとえWebツールを使って管理していたとしても、複数のツールを使っていると第三者には各ツール間の連携方法が分かりにくく、情報を整理するのに時間がかかってしまう恐れがあります。一方で、情報が一元化されている案件管理システムの場合は、手間も少ないので、スムーズに案件を引き継ぐのに役に立つかと思います。

もちろん各弁護士によって記録している情報量に濃淡の差はあると思いますが、案件ベースで情報がまとまっているだけで、各案件を引き継ぐ弁護士等はだいぶ助けられるでしょう。情報がまとまっていることにより案件を引き継ぎやすくなる、という利点は、私自身の実体験からも感じました。突然死という大きな事態でなくても突然の「引き継ぎ」は起き得ることですし、年齢を問わず情報を一元化しておくことにはメリットがあると思います。また、引き継ぐ弁護士が困らない、ということはひいては顧客も困らないということですから、顧客の利益にもつながります。どの先生にも検討いただきたいシステムですが、万が一のリスクに備えるという意味では、個人的に、特に1人事務所の弁護士はご検討されるとよろしいかと思います。

  

業務効率化に向けた具体的な取り組み

ー 業務効率化のために取り組んだことを具体的に教えてください。

弁護士ドットコム案件管理システムを導入する直前までは、Google カレンダーとチャットツール、Google ToDoリストを併用していました。チャットツールで自分専用のグループを作り、そこで案件情報を投稿し、管理を行う……という形でした。その方法だと案件ごとに情報を集約することはできたのですが、あくまでチャットなので情報の編集がしづらかったです。また案件が増えるほどグループが増えていくので、徐々に案件の整理が難しくなっていきました。時系列のメモとしてチャットを使う分にはよかったのですが、それ以上の役割を持たせることが難しく、使い勝手はあまりよくなかったですね。

案件管理に特化したサービスで言えば、他社の一般的な顧客管理システムも使ってみたのですが、入力すべき内容が細かすぎました。大規模事務所には向いているかもしれませんが、一人で案件管理をしている自分には不向きだと感じましたね。なお、弁護士向けにカスタマイズすることもできたのですが、数百万とかなりの初期投資費用がかかることもネックでした。情報を入力すればするほど、成約率などの分析データ等を算出できることはメリットだと感じましたが、まずその膨大な情報を入力する時間がなかったんです。もっと気軽に、シンプルに使えるものがあれば、と思っていました。


ー シンプルかつ弁護士向けに特化したシステムが欲しいから、弁護士ドットコムの案件管理システムを使い始めたと。

業務効率のために情報を一元化できる、案件を管理できる、もっとシンプルで安価なシステムはないかな、と探していたんです。その時に弁護士ドットコムの案件管理システムを知って、使い始めました。まずは使ってみないと使用感も何もわからないだろう、ということで、どんどん情報を入力して実際に使い、3日くらいである程度の機能は使いこなせるようになったと思います。弁護士向けに特化していることもあり、ユーザーインターフェースもわかりやすく、スムーズに導入できました。

今は、案件ごとに簡易情報は「メモ」機能にそのままメモ書きをして、方向性の検討などしっかり文書に残したい情報は別途Google ドキュメントに書いたうえで「メモ」にはリンクを残しています。いずれにせよ、顧客情報や過去の検討履歴に一瞬でアクセスできることは大きなメリットだと感じましたね。細かな条件設定の上で検索機能が使えるのも便利です。完全に記憶から引き出し切れない場合でも、わずかな情報から目的の情報にたどり着けるので。

また、効率化という意味では、事務所にいなくても、自宅でもどこでも自分の案件にアクセスできることが大きなメリットだと感じます。私自身は一人で案件を管理していますが、複数の人数でも共有できるようなので、事務員が複数いるような規模の事務所の先生はよりメリットを感じることができると思います。




ー Webシステムの導入にあたって懸念点はありましたか?

導入前に基本的な説明は受けたものの、デモを見せてもらっても、実際には案件を入れて自分で使ってみないと勝手がわからないな、と思いました。サービスの性質上やむを得ないと思ったので懸念点とまではいかなかったですが、事前に使い勝手を想像することは難しかったですね。ただ、使ってみれば3日くらいで使い方がわかり、また想像以上に使い勝手もよかったので、それほど困ることはありませんでした。使い慣れたタイミングで、自分がまだ使いこなせていない機能があるかどうかを担当者に確認して、使い始めて1週間程度で大体の機能が理解できたという印象です。

多くの弁護士にヒアリングして作られたシステムだと聞いていたので、まずは使ってみようと思い導入したところ、使い勝手が良かったので、現在でも利用を続けています。セキュリティ面でも気になることは特にありませんでした。


業務システムの便利な使い方

ー 弁護士ドットコムの業務システムは弁護士ドットコム案件管理システム、弁護士ドットコムLIBRARY、弁護士ドットコムオンラインセミナー、3つのサービスが含まれています。主にどのサービスを使われていますか?

案件管理システムをメインに利用しています。事務所では複数のモニターを使って画面を表示していますが、その一つでは常に案件管理システムを開いているほどです。すぐに情報へアクセスできるようにしています。


ー 弁護士ドットコム案件管理システムの利用シーンや、便利な使い方があれば教えてください。

案件管理システムはパソコンで常に開いておき、必要に応じて適宜入力したり確認したりしています。案件ベースで、何か動きがあった時や記録すべきことが起きた時など、進捗があった時に忘れないために記録することが目的です。例えば遺言書作成時に、公証役場に電話をしたら担当者名と必要書類等を備忘録としてメモをする、というような使い方をしています。

また、争点や要件事実のポイントを入れておくと、あとで振り返る時にとても楽です。参考判例や顧客の電話番号も入力しておくと有用ですね。すでに経験済みの各手続きの手順についても、情報整理のために詳細をメモしたGoogle ドキュメントのリンクを「メモ」に貼るなどして、すぐに見られるようにしておくと便利です。時間がない時は、リンクしたGoogle ドキュメントに手書きのメモを写真に撮って貼るだけのこともあります。

情報を一元化する大きなメリットの一つでもありますが、何より検索ができることが大きいですね。タグ機能も便利です。例えばタイムチャージの案件だけを探したいという場合も、終了案件を含める・含めないといった絞り込みを含めて検索ができます。そうするためにはある程度の情報を打ち込む必要がありますが、打ち込みさえ完了すればとても便利なシステムだと感じています。依頼者ベースで紐付けすることも可能なので、顧客の過去案件をすぐに探せるのも便利ですね。関連案件も出てくるので、記憶の喚起にもつながっています。


ー 弁護士ドットコムLIBRARYはどのような時に利用されますか?

他社サービスを先に利用していたこともあり、使いたい本に合わせて使い分けをしています。本の種類が豊富なので助かっています。他社サービスで使いたい書籍が見つからないときも、弁護士ドットコムLIBRARYの検索機能で探してみたら見つかったことがありました。
使う時も、目次から読める機能があるので便利です。案件管理システムと双方向でリンクできる機能については知ってはいるものの、現段階ではあまり使ってはいません。

本の利用はもちろんですが、このサービスでは特に「書式テンプレート」がとても便利で、よく利用しています。契約書のひな形など種類が豊富ですし、書式の検索ができるので活用しています。


ー 弁護士ドットコムオンラインセミナーはどのような時に利用されますか?

取り組んでいる案件とリンクした内容のセミナーが開催されている時に利用しています。例えば面会交流のセミナーは、ちょうど対応案件とリンクしていた内容であったため興味深く受講しました。調べ物がある時は書籍を優先して情報を探すので、常日頃からチェックしているわけではないですが、今後も必要に応じて利用したいです。


万が一に備え、自身のためにも顧客のためにも活用したいシステム

ー 業務改善や効率化を検討されている先生方に、アドバイスやメッセージをお願いします。

弁護士ドットコムの業務システムのうち、特に案件管理システムは、弁護士自身の日々の案件管理に役立つのはもちろんのこと、万が一の際の緊急事業承継対策にもなります。万が一の際、顧客に迷惑をかけない仕組みを用意しておくことは顧客のためになりますし、ご自身にとっても情報の棚卸しという意味で有用なシステムだと思います。

効率化という面では、探し物をする時間、情報にたどり着くまでの時間が減ったことで、業務に費やせる時間は格段に増えたと感じています。「年間で150時間は探し物に費やされる」と言われるほどですから、その時間が減ったことで、どんなに生産性が上がったことでしょう。弁護士向けにカスタマイズされているシステムだからこそ使い勝手が良いですし、業務効率化のためにコストをかける価値はあると感じます。

 

 
 

伊勢田 篤史 先生のプロフィール

慶應義塾大学経済学部卒業。中央大学法科大学院修了。
となりの法律事務所パートナー
日本デジタル終活協会 代表理事
一般社団法人緊急事業承継監査協会 代表理事

【所属】
 東京弁護士会(67期)

【主な取扱分野】
 企業法務
 M&A
 遺産相続

【Web】
 となりの法律事務所 公式HP
 http://tonarino.jp/

【資格】
 公認会計士

【著書等】
 『社長が突然死んだら?:緊急事業承継ガイドブック』税務経理協会
 『デジタル遺品の探しかた、しまいかた、残しかた+隠しかた』日本加除出版(共著)
 『令和3年民法・不動産登記法改正対応 所有者不明土地と空き家・空き地をめぐる法律相談』
 新日本法規(共著) 『応用自在!覚書・合意書作成のテクニック】日本法令(共著)
 『ストーリーでわかる営業損害算定の実務 新人弁護士、会計数値に挑む』日本加除出版株式会社(共著)
 『改正民法と新収益認識基準に基づく契約書作成・見直しの実務』日本法令(共著)

新着記事

もっと見る
会員弁護士数
20,482
法律相談・問合せ数(累計)
4,389,459