いつも弁護士ドットコムをご利用いただきありがとうございます。
現在お使いのブラウザ(Internet Explorer)は、サポート対象外です。
ページが表示されないなど不具合が発生する場合は、 Microsoft Edgeで開くまたは推奨環境のブラウザでアクセスしてください。    

依頼者と弁護士をつなぐプラットフォーム - 弁護士ドットコム

インタビュー・レポート

FAXや裁判所支部のIT化への不満が目立つ 弁護士516人に聞いたIT化の実態◆Vol.3

業務支援 2021年11月29日

法曹界でもIT化が進んでいる。リーガルテックと呼ばれる法曹界でのIT活用サービスが登場する中で、民事裁判の一部手続きでIT化が導入され、書類提出に向けた試験運用も見込まれる。また、刑事裁判についても、法務省の検討会の議論が進んでいる。2020年以降の新型コロナウイルスの感染症拡大は、在宅勤務やオンラインを通じたやりとりの社会的な浸透に拍車をかけた。

弁護士ドットコムでは、実務にあたる弁護士に、法曹界のIT化の進捗状況や悩みなどを聞くアンケートを実施し、516人から回答を得た(実施時期:2021年10月16日)。結果を随時紹介する。


3回目は、現状の法曹界のIT化の状況について、不満なことを聞いた自由記述の結果について紹介する。


総論としては、最も目立ったのはFAXに対する不満。オンラインでの送受信ができるツールもあるものの、法曹界では紙ベースの文化が根強いため、IT化が進まない一因となっているようだ。

裁判所については、Web期日の増加を求める声が多かったほか、地裁の支部などで導入が進んでいないため、移動時間の削減というメリットが感じられるはずの部分で利用されていないことへの不満があった。

PDFでの書面提出も認めて欲しい

【法曹界の紙文化】

・書類提出について、未だに印刷して押印して郵送が必要なケースが多いこと。Teamsを使うのであれば、PDFでの書面提出も認めて欲しい。

・裁判所の書証の提出について、PDFでの提出が認められれば、文字がつぶれて読めないとか、膨大な書証の置き場に困るということがなくなるので、まずはそこをどうにかしてほしい。

・裁判所のIT化の遅れ。収入印紙の電子納付ができない、電子納付できる郵券と現物が要求される予納郵券があること。

・民事訴訟のIT化でわざわざ証拠や書面をファイルで提出することが必須になると、今より不便になるので困る。

・裁判所、検察庁と弁護士の間のやりとりで、FAXでもできない部分が多く、無駄な移動時間が多いこと。

・電子契約が先行し、紙で出力すると成立の真正を確認しづらく、実務が固まっていないこと。

・裁判所への書面提出が郵送やFAXに限られている(FAXは裁判所以外に使うことがない)

・裁判所、相手方代理人、依頼者など、特に比較的高齢層の人らがITツールを使ってみようという意識に欠けている人が多いこと

・裁判所、検察庁など、外部機関との間に共通理解が得られていないため、弁護士実務のみIT化が進んでも実効性に欠けること 

・法テラスの法律扶助申し込みや各種手続きはfaxでも可能なのに、なぜオンラインで未だにできないのか分からない。そこが一番不満。

辺鄙な支部のほうがIT化してほしいのに

【裁判所】

・オンラインでの弁論準備手続き等が辺鄙な支部のほうがより実施してほしいの、予算の関係で辺鄙なところのほうが進んでいないこと

・本庁はIT化の導入を前提とした訴訟指揮が行われているが、支部や地方の本庁では、従前どおりの運用で、裁判所によって格差があるので、統一的運用を行ってほしい。

・裁判期日は尋問を除き,すべてIT化すべきだと思う。ほとんどの期日は書面を確認して,今後の進行を協議する程度のため,わざわざ出廷する意義が乏しいと感じる。

・当事者対立構造になっていない事件、例えば自己破産などは、書面を廃止して、オンラインで電子化することは、簡単なはず。今すぐにでもできるのに・・・

・裁判所の「とりあえずIT」みたいな空気が嫌。そもそも裁判所のITをteamsという他社製品に依存し,必要性もないのにteamsや電話でやりたがる裁判官がいる。遠隔地ならば意味もあるだろう。遠隔地でなければ出かけて裁判官と直に話すことも重要だと思うが、そういったものがないがしろにされるのはいかがなものか。

・細かな裁判所とのやり取り。たとえば、期日調整や書記官との連絡、書類の授受などにもどかしさを感じる。法改正も含めて裁判手続きをドラスティックにIT化するのことも必要だが、事務的な部分は運用で改善できる部分も多いのではないだろうか。

・コミュニケーションの定型化による心証の差異が気になる。やはり、対面とネットワークを通じたコミュニケーション(電話含む)では、結論によっては公平性に疑いが生じ得ると感じる。和解にはそぐわないようにも思えるし、和解による解決を図るべきような手続には、どうしても問題が生じ得るだろうと思う。

・電話会議では主張書面の陳述が可能であるにもかかわらず、web会議では書面による準備手続もしくは進行協議手続の扱いになることから、書面の「陳述」ができないため、「自白」成立が問題となる場面で非常に使いづらい。

・1審のIT法廷ばかりが話題になり、控訴審や家事事件の出頭義務など経費節減を期待したい他の点(従前の実務の要改善点)への議論が進んでいない。

・IT化自体に反対ですので、ウェブを勧めてくる裁判所にはイライラします。


【刑事事件】

・刑事記録をわざわざ謄写しに行く必要があること。PDF等にして交付することができるよのでは。

・刑事事件で検察庁から開示される記録が紙ベースであること。はやくPDF化して欲しい。

・刑事事件では弁護人も全て原本提出なので、IT化によって弁護人の負担を軽減してもらいたい。

メアドを教え合う文化が根付いていない

【他の弁護士】

・対応できない弁護士に合わせるしかなく、結局FAXやレターケースを使い続けるような状況。

・Teamsの操作方法の理解について代理人間で差があり、Web会議が予定されていても結局電話会議になることがある。

・相手方弁護士とメールで遣り取りすることが一般化されていないこと。メールアドレスを教え合う文化が根付いていおらず、まだまだFAXで遣り取りしなければならないことが多いこと。

・修習で最低限の知識は必須とすべき(IPアドレスやハッシュ化や公開鍵、秘密鍵等)

・ベテランの先生がテレワークの導入を頑なに認めないこと・


【法曹界以外の紙文化】

・個人の顧客とのコミュニケーションツールが、電話や手紙が多い。メールでのやりとりを増やしたい。

・銀行のオンライン化など、IT化がスムーズに手続できないこともあり面倒

・損保会社とのやり取りで担当者によっても異なるが、メールでの資料の送付ができないといわれることがあり、やり取りに時間を要する点が不満である。

システムにお金を吸い取られている感じ

【サービスや技術】

・裁判所や法務局など機関ごとにシステムが異なっていて、手続きに汎用性が無いこと。例えば、成年後見登記では法律事務所を後見人の住所として裁判所に上申し、法務局でそのように登記もされるが、後見登記事項証明書をオンライン申請する際には本人確認書類でマイナンバーカードが求められ、マイナンバーカードは自宅住所が登録されているためオンラインによる登記事項証明書の申請が却下されてしまう。

・セキュリティ。どこまでリスクがあるのか分からないため、どこまで対策すれば良いかよく分からない。よく分からず、言われているとおりに対策を実施せざるを得ないのが不満。

・事務所内で共同受任することが度々あるが、裁判所のオンラインによる準備手続は、基本的に代理人1名のみ接続可能で、相代理人は接続できないことがままある。

・IT化による案件管理を試みても、所内の人為的な入力漏れなどが多発するため、結局十分な管理にならない。

・各社が色々なサービスを提供しており、その差別化がいまひとつできていないため

自分が付いていけていない。例えば、データ管理の問題から、リモートワークを出来ていない点があるが、日々の業務に追われてしまい、手を付けられていない。

・需要が多くないため、特化したサービスがない、もしくはサービスとしてやや時代遅れである。

・裁判所はTeamsを使っているが、普段と違う所内のPCからアクセスしようとするとアカウントの関係で接続できない場合があったり、画面上の操作等もZoomより使いにくく、使い勝手が悪い。

・スケジュール管理、案件管理のシステムが使いづらい。事務所で導入したシステムなので変更もできず、困っている。

・書籍の電子化に手間がかかる。書籍のサブスク(月額定額サービス)はコンメンタールの品揃えが十分でない。

・オンラインで使える書籍で旧版しかないものもあり、使い勝手がイマイチ。

・Web会議におけるネット回線容量に左右される使用の快適度


【サービスの導入やコスト】

・コスト面で中小法律事務所では割に合わない。秘書やイソ弁を雇って人的に解決した方が早い

・とにかくお金がかかる。クラウドでもZoomでもSNSアプリでもホームページでも、しっかり使おうとすると有料となって、固定費がかかる。効率化は進んだかもしれないが、固定費がバカにならない。システムにお金を吸い取られている感じ。

・IT化を仕事にどう行かせるのか、書籍などが充実していない。初歩的なところでは、ワードやエクセル、最近ではZoomやMicrosoft Teamsなどがあるが、弁護士実務に特化した使い方を、年配の期の先生も含めてわかりやすく教える書籍などあると良い。

・個々の弁護士の業務内容に応じて、どの程度のIT化を図れば良いのかという、アドバイスや研修がない。

・新しいサービスの導入を行う際に、まとめて相談できる、顧問のIT業者のようなものがあれば便利と感じる。

・法律家のためのITマニュアル新訂版を改訂してほしい

・ついていけるか。ついていけるにしても、IT化に対応するための時間的、経済的コストがどうなるのか不安である。また、IT化すると、それ以外の手段がなくなるのではないかという心配もある。

24時間他者とのやりとりが生じて落ち着かない

【そのほか】

・便利になったと感じる一方、時間場所問わず、また、常にマルチタスクで、脳内の疲労が蓄積しているように感じる

・24時間他者とのやりとりが生じて落ち着かない

・弁護士も個人の所謂「街弁」から大規模な弁護士法人まであり、IT化の必要性も異なるにもかかわらず一律にIT化が話題になること。

・IT化を進めても,情報漏洩や情報悪用が懸念される。特に,法テラスが民事法律扶助において審査に際し,訴状等の書類を提出させており,これらが機械学習にとって宝の山になり,これを売って外資と組んでAI法律相談を開発すれば,法テラスの予算削減,弁護士への牽制,ひいては裁判統制にもなりかねない。

・東京により(仕事が)集中してしまうのではないか。

・特段不満はないが、何か極めて大きな事故が起き、業界全体が社会的な非難を受ける可能性があるように危惧しています。現段階で当職が想像できるのはセキュリティ関係ですが、想像のつかない事態が起こる不安感があります。

新着記事

もっと見る
会員弁護士数
19,652
法律相談・問合せ数(累計)
3,987,335