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インタビュー・レポート

街の研究を重ねて独立場所を決定 地元密着型の事務所として安定経営を実現〜「独立には勢いも必要。動かなければ成功なし」〜

インタビュー

2020年10月23日



今回は、東京都 北区 で開業されている佐々木 一夫先生(弁護士法人アクロピース)に、弁護士登録をしてから現在に至るまでの歩みや仕事術について伺いました。


佐々木先生は、2018年に独立後、1年経たずに支店を開設し、Web広告も活用されながら安定経営を続けていらっしゃいます。独立後の明暗を分けるという出店場所の選び方や、問い合わせを受任につなげるための秘訣、独立に踏み切る上での心構えなどについて、お話いただきました(インタビュー日:2020年9月4日)。


 
記事のハイライト

・正義や公平をまっすぐに主張できることが弁護士の魅力
・人口対弁護士数を分析し、出店場所を厳選
問い合わせ時点から圧倒的な知識量を示し、受任につなげる
東京都心で独立しなければほぼうまくいく

正義や公平をまっすぐに主張できることが弁護士の魅力


ー 
はじめに、佐々木先生が弁護士を目指された理由やきっかけを伺えますでしょうか。

中学生の頃から、漠然と弁護士に憧れていました。弁護士の仕事の意義や正義に惹かれていたというより、「一番難しい資格にチャレンジしたい」と思っていたんです。

弁護士を目指すと決めてから、法曹界の先輩方が書いた本を読むようになりました。その中で、弁護士は一人ひとりの独立性が高く、国や大企業といった、力を持つ存在に対しても、法廷で意見を主張できるのだと知りました。

私は子どもの頃から、自分の意見をはっきり主張したいタイプでした。弁護士になれば、自分が考える正義や公平を、誰かに指示されたり圧力をかけられたりすることなく主張できる。そう考えたときに、弁護士という仕事はとても魅力的だと感じました。


ー  実際に弁護士になられて、いかがですか。

まさに、思い描いていたとおりの仕事です。刑事事件や労働事件を手がけるときには特にそう感じます。

弁護士は、検察官が何と言おうと、自分の考えや事実だと思うことをまっすぐに主張できます。検察官の発言に迎合する必要はなく、むしろそんなことは絶対にしてはなりません。労働事件でも、日本を代表するような大企業を相手に、労働者の代理人として、解雇や懲戒処分が不当だということを対等な立場で主張できます。

国や大企業といった強い相手と対等に戦うには、エネルギーが必要です。労働事件では、企業側にも必ず弁護士がついて、簡単には要求に応じない、という強い姿勢で臨んできます。労働者側としても、強い意志で戦闘的に立ち向かわなければいい解決は得られません。そういった事件にはすごく面白さを感じますし、熱くなれますね。


ー  弁護士として活動するうえで、心がけていることをお聞かせください。

相談者や依頼者の方に対して、客観的にも主観的にも、最高の法務を提供することです。

「客観的に最高の法務」を提供するために、法的な知識や法廷技術、法的な分析などのレベルを高く保つ必要があります。弁護士になった途端に勉強をやめてしまう方もいるようですが、私はスキルアップのために、日々、法的な技術の研究を続けています。

「主観的に最高の法務」とは、あくまでも、相談者や依頼者の方の満足を追求するということです。

たとえば、「今すぐに解決したら賠償額が900万円で、3年かけて戦えば1000万円の賠償金を得られるかもしれない」という事件があったとします。100万円の差のために3年という時間をかけるかは、弁護士だけで判断するのではなく、相談者や依頼者の方の気持ちや状況を踏まえて、よりご満足いただけるのはどちらか、という観点から考えるべきだと思っています。

また、離婚事件などでは、相談者や依頼者の方が重視していることが、法的にはあまり重要ではない場合があります。ただ、法的な論点ではないからといって、法廷で主張する内容から排除するようなことはしません。全てを主張することは難しくても、お話をよく聞いてポイントを整理し、出すべき部分は出してこそ、主観的満足度が高まります。

相談者や依頼者の方と接する上で気をつけているのは、その方の気持ちにできるだけ寄り添いつつ、一方で、弁護士としての客観的な視点も持つことです。冷静で客観的なものの見方ができるからこそ弁護士をつける意味があります。依頼者の気持ちを理解しようとするあまり、同化してしまわないように、バランスはすごく意識しています。


人口対弁護士数を分析し、出店場所を厳選


ー 
独立を決意された理由についてお聞かせください。

司法試験に合格した時から、「なるべく早く独立したい」と考えていました。人の下で働くよりも、自分で全て決められる環境で仕事をする方が性に合うと思ったからです。

経験を積むため、まずは事務所に入って働き始めたのですが、独立への思いは日に日に強くなっていきました。

弁護士業界は古い慣習が根強く、いまだに連絡手段が電話かFAXのみの事務所や、現金での支払いしか受け付けていない事務所もあります。メールでのやりとりやクレジットカード払いといった、他の業界では当然のサービスが、弁護士業界ではまだまだ浸透していません。

そうした状況を見るにつけ、「独立して、弁護士業界に足りていないサービスを取り入れれば、相談者や依頼者の方の満足度をもっと高められるのに」という思いが募りました。「独立したら絶対に成功する」という根拠のない自信もあり、弁護士5年目に独立しました。

独立してからは、それまで「こんなサービスがあったらいいな」と考えていたことをどんどん導入しました。クレジットカード払いをはじめ、土日祝日・夜間のお問い合わせへの対応、事務所のLINEアカウント開設。LINE導入のメリットは特に大きく、相談者や依頼者とのやり取りが圧倒的にスムーズになりました。

相談者や依頼者への報・連・相も徹底しています。前回連絡したときから日が開いてしまうと不安な気持ちにさせてしまうため、事件に動きがない場合でも1か月に1回以上は必ず連絡を差し上げています。

他の業界から見れば些細なことですが、弁護士業界では、こうした小さなサービスすらできていない事務所や弁護士が少なくありません。当たり前のサービスを当たり前に提供することが、相談者や依頼者の方の満足度をより高めること、他の事務所との差別化をはかることにつながります。


ー  独立前にされた施策として、効果的だったと思われるものはありますか。

街の研究です。出店場所をどこにするかは、かなり研究しました。私のように普通の街弁の場合には、場所選びで独立後の明暗が分かれると言っても過言ではないので、独立を考えている方はぜひやってみてください。

出店場所の候補をいくつか挙げて、街ごとに、人口と弁護士数、管内の事件数を調べてエクセルで表を作り、「弁護士1人あたり人口がこのくらいで、●件事件があるから、ここならやっていける」といった分析をものすごくしました。今でもよく調べていますよ。

その街の人口に対する弁護士数は、出店場所を決めるうえで一番意識しました。「都心にわざわざ出て行くよりも、地元の弁護士に依頼したい」というニーズがあるからです。もちろん、1時間かけて都心の弁護士に依頼しに行く方もいますが、自宅から10分で行ける事務所の弁護士に依頼したい、という方も結構多いです。

今は赤羽と大宮に事務所を構えていますが、この街を選んだのは、人口対弁護士数のバランスがとてもよかったからです。開設以来、安定して経営を続けられているので、選択は正しかったと思っています。

個人的には、東京都心は人口に対して弁護士の数が多すぎるので、絶対に独立してはいけない場所だと思います。取扱業務に特色ある弁護士の場合には、戦略としてあえて都心で独立するという考え方もありますが、私の事務所のコンセプトには合わなかったので、都心に出店することは考えませんでした。

私の事務所では、それぞれ専門分野のある弁護士が集まり、法人から個人まで、あらゆる法律問題を解決することを基本方針としています。1つの分野に特化するのではなく、企業法務、離婚、交通事故…と幅広い分野を取り扱い、地元の方のあらゆるニーズに最善の解決策を提示したい、という思いが根底にあります。

私の事務所の強みは一般民事事件を高いレベルで扱えることと、顧客へのサービスを従来型法律事務所に比べて高めているところにあります。想定する顧客は一般の個人と地元の企業になります。こうした事務所の強みを活かすには、どのような街に出店するのが最適かを分析した結果、赤羽と大宮というエリアが導き出されました。 

特定の業務などでのブランディングについては特に意識はしていませんが、私の事務所の強みについてはお客さまに伝わるように、はっきりと説明し、webにも記載します。自分の強みをはっきりと説明するのは気恥ずかしさを感じられる先生もいるかもしれませんが、せっかくの強みをアピールしないのは損以外の何物でもありません。アピールしなければブランディングも何もありませんから、臆せずにアピールをすべきと思います。


ー  事務所のコンセプトや強みと、街の特性との相性を分析した上で、出店場所を考えることが重要なのですね。

はい。もう1つ大事な施策だと思うのは、独立に向けて、自分に勢いをつけていくことです。

私は、独立を決意してすぐに、「俺は独立する」「独立したらこういうことをしたい」と周りに宣言していました。色んなことを言われましたが、宣言することで「あいつは独立するつもりなんだ」という目で見られますし、独立に向けて前進するしかない状況を作ることで、モチベーションを高めていけました。

独立前にどれだけ準備しても、実際に経営がうまくいくかはやってみないとわかりません。出店場所の研究は有効な施策なので是非してほしいですが、他の準備にはあまり時間をかけすぎず、「俺なら絶対いける」「絶対成功する」という根拠のない自信を持って独立する勢いも必要だと思います。


問い合わせ時点から圧倒的な知識量を示し、受任につなげる
 
ー 
大変順調に経営していらっしゃいますが、その要因は何だとお考えですか。

出店場所をきちんと研究したことと、素早くアグレッシブな行動です。

赤羽に最初の事務所を開設してから1年経たないうちに、大宮に支店を出したのですが、このときは「大宮に空き物件が出た」と知人から電話をもらった時点で即決しました。大宮という街の分析はすでにしていて、出店場所として魅力を感じていたので、「チャンスがあれば」と思っていたところにタイミングよく連絡が来たんです。そして、大宮出店から1年もたっていませんが、今は次の支店の開設に向けて準備を進めています。

私は、独立する前も後も、「失敗しても死ぬことはないので動いてみて、ダメなら撤退して次の策を考える」ということを繰り返してきました。事務所内部のマネジメントや、事件処理の方法なども、最初はもっと荒削りでした。思いついたことをどんどん実践して、その中でいいと思えることを続けた結果、だんだんと形が整っていったのです。

また、楽しく仕事をすることも、事務所経営では重要なことです。つまらない事務所に人は集まりません。「この事務所にいると楽しい」「なんだか凄くなれそう」と、期待感を持ってもらえる事務所であり続けたいと思っています。

私自身、楽しく仕事をするために、常に高い目標を掲げてチャレンジしています。たとえば交通事故の案件を手がける際に、事件の争点を整理したら、「ここは絶対に勝ちきりたい」と決めて、その論点が書かれた文献は全て読むぐらいの勢いで研究します。決めた目標に対して全力で向かっているという感覚が気持ちいいんですよね。

保全の申立てや刑事事件では、明日までに申し立てないと間に合わないような、切羽詰まったケースが舞い込んでくることがあります。事務所の弁護士を集めて朝方まで作業するのですが、全員が1つの目標に向かう、お祭りのような熱気の中で仕事をするとき、私はすごく楽しいと感じるんです。


ー  事務所内の環境づくりで工夫されていることはありますか。

絶対にパーテーションをつけないことです。事務所によっては、弁護士一人ひとりに個室があてがわれていたり、パーテーションが高くて顔が見えなかったりするところもありますが、お互いの顔が見えないと話しかけづらくなり、会話が生まれないことで雰囲気が悪くなります。

仕事をしていてわからないことが出てきたとき、周りの弁護士にすぐ相談できることはものすごく大事です。「ここの論点でわからないことがある」と、前や隣の弁護士にパッと相談できて、解決したらすぐに自分の仕事に戻れる。こういう環境であればストレスなく仕事ができますし、チームで動いている感覚が生まれて事務所の雰囲気が柔らかくなります。


ー  Web集客についてもお聞きします。弊社のプロフィールページをはじめ、Web広告を積極的に活用されていますが、始められたきっかけを伺えますか。

独立してかなり早い段階で、弁護士ドットコムに有料登録しました。当時はWeb集客にそこまで関心がなかったのですが、「使わないといけないだろうな」くらいの意識はありました。弁護士ドットコムは業界で一番大きな会社ですし、会長の元榮先生が弁護士なので信用できると感じ、「最初に試してみるならこの会社だな」と思ったんです。

登録してすぐに問い合わせをいただくようになり、独立したばかりの私にとって貴重な収入源になりました。弁護士ドットコムのサービスを利用したことで、「Web広告はけっこう集客できるし、即効性もある」と気づき、他の広告会社も併せて使ってみることにしました。

Web集客を始める前と後とでは、問い合わせの数が明らかに変わりました。あまり期待せずに使い始めたのですが、今は、事務所の存在を広く知ってもらうにはWeb広告を出すしかないと実感しています。事務所を開設しただけで何も宣伝をしなければ、問い合わせはほとんど来ないです。

ただ、Web集客は問い合わせのきっかけにはなりますが、受任につなげられるかどうかは、問い合わせをいただいたときの対応次第です。


ー  問い合わせを受任につなげるために、工夫されていることはありますか。

たとえば交通事故のご相談をいただいたときに心がけているのは、電話をかけてくださった方に対して、圧倒的な知識を見せることです。ご相談を聞きながら「その場合はこうした方がいいですね」「判例でこういうケースがあります」とその場でお答えします。電話の段階で、「この弁護士に任せれば絶対に大丈夫だな」と思っていただけるかどうかが、受任の分かれ目です。

交通事故は、100%の結果、場合によっては120%の結果を出す力が求められる分野です。何%の結果を出せるかは、弁護士にどのくらいの知識があるかによって全く違ってくるので、圧倒的な知識量を保つための努力は常にしています。

事務所によっては、電話相談の段階では弁護士と直接話ができず、来所するかしないかだけ決めるようなところもあるようです。「そういう相談は受け付けていないので」と門前払いする事務所もあると聞いています。ですが、私の事務所では必ず弁護士が対応し、どんなご相談に対しても「こういう解決方法がありますよ」とアドバイスすることにこだわっています。

受任のプロセスとしては、6割がWeb経由、4割が紹介です。Web集客は飛び道具的なもので、一発打てばすぐ効果が出ますが、紹介をいただくには、人脈作りや、いい仕事をして信頼関係を築くといった地道な活動が必要です。徐々に紹介案件が増えてきたのも、弁護士になって8年が経ち、そうした地道な努力の成果が現れてきたためかなと思っています。


東京都心で独立しなければほぼうまくいく


ー佐々木先生の今後の展望をお聞かせください。

今よりもう少し大きい事務所が私の理想なので、少しずつ弁護士の数を増やして、規模を拡大していきたいです。

今は私を含めて弁護士が4人、行政書士が1人の体制です。急に大きな事件が入ってきた場合に、今の人数でも対応できなくはないのですが、1人あたりの負荷が大きくなってしまいます。どんな事件も手がけられる事務所になるためには、少なくともあと10人は弁護士が必要です。急拡大しようとは思っていないので、1年に1人くらいのペースで徐々に増やそうと考えています。

事務所の弁護士には、それぞれ好きな仕事に打ち込んでもらいたいですが、理念だけは共有してほしいと思っています。どんなに優秀でも、理念を共有できない方と一緒に働くことは難しいです。事務所の理念に共感してくれる方をゆっくり探しながら、社会にインパクトを与えられる事務所になるために、少しずつ成長させていきたいですね。


ー  独立に向けて努力している先生方に向けて、メッセージやアドバイスがございましたら、ぜひお願いいたします。

繰り返しになりますが、とにかく、独立する場所を研究してください。

若手の先生で、東京都心で独立したけれどうまくいかず、大手の事務所に再就職するケースは少なくないと聞いています。やりたいことを実現するために独立したのに、経営で挫折して引き下がるのは悲しいことです。その場所に出店して問題なく経営できるのか、独立前によく考えてください。

どうしても都心で独立したいなら、専門性は必須です。特定の分野の経験が豊富で「俺にしかできない仕事がある」という自信があれば、都心に出店するという戦略もいいと思います。特にアピールポイントがない方が、「とりあえず池袋に出店しようかな」といった気持ちで独立すると、確実に失敗します。

はっきり言うと、東京都心さえ選ばなければ、どこに出店してもうまくいくと思います。これは人口と弁護士数の比率を調べればすぐわかります。東京都の人口は約1400万人で、そのうち約2万人が弁護士です。一方、千葉県は人口約630万人、弁護士は800人程度です。弁護士1人あたりの人口は東京が700人、千葉が7875人ですから、どちらの地域の方が集客しやすいかは一目瞭然です。

最低限の分析をして出店場所を選べば、ほとんどの場所で安定的に経営できます。頭がいい方ほど、リスクが見えすぎて踏み出せなくなるかもしれませんが、動けなくなると、成功は絶対にありません。独立すると決めたなら、心配しすぎず、行動してみてほしいですね。応援しています。

 
 

 

 
 
 

(取材・文 / 瀬戸佐和子)

 


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佐々木 一夫 先生のプロフィール



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事件をご依頼いただく前に、今後の手続き、結果の見通し、ご準備いただきたい証拠、相手方への対応等、しっかりとご説明します。

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普段はお仕事でお忙しいお客様のために、電話受付は平日10時から19時までとし、ご予約をいただいた場合には休日やこれ以外の時間帯でも対応します。


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