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インタビュー・レポート

「広く浅く、では生き残れない」離婚に強い事務所として男女問わず頼られる存在に〜認知度アップにHPやWeb広告を活用 開業以来の増収増益を支える経営哲学とは〜

インタビュー

2020年11月06日



今回は、山口県 山口市 で開業されている金子 好一郎先生(弁護士法人TLEO虎ノ門法律経済事務所山口支店)に、弁護士登録をしてから現在に至るまでの歩みや仕事術について伺いました。

金子先生は、システムエンジニアから弁護士に転身されたユニークな経歴をお持ちです。離婚分野の案件を中心に、様々なトラブルを解決に導いてこられました。「離婚に強い事務所」をアピールするために制作されたホームページへのこだわりや、2016年の支店開設以来、売上増をキープし続ける秘訣について、お話いただきました。(インタビュー日:2020年9月25日)


 
記事のハイライト

・システムエンジニアから弁護士に
・「売上を最大に、経費を最小に」を徹底
「親しみやすく、かつスタイリッシュな仕上がり」離婚専門HPからの問い合わせも好調
独立するなら、経営の勉強は必須

システムエンジニアから弁護士に




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はじめに、金子先生が弁護士を志した理由やきっかけを伺えますでしょうか。

前職はシステムエンジニアとして働いていました。東京の大学を卒業してIT関連会社に就職し、大手総合商社などの大企業を相手に仕事をする忙しい日々を送っていました。

いずれは故郷の山口県に帰って仕事をしたいと思っていました。ただ、当時私が携わっていたのは東京や大阪といった大都市圏でしかできないような仕事で、山口県に帰った場合、同じ仕事を続けることは難しい状況でした。

山口県に帰ったら、システムエンジニアとしてこれまでのようには働けない。ならば、全く違う職種にキャリアチェンジをするのもありではないか。そう考えたときに、専門性が高く、経営にも関与できて、社会的地位や収入が備わっている職業として、弁護士が思い浮かびました。

私はもともと法学部出身でしたし、当時はロースクールができて数年経っていた頃で、「社会人でも弁護士になれますよ」と門戸が開かれていたことにも背中を押され、第二のキャリアとして、弁護士を目指そうと決めました。


ー 大きなキャリアチェンジをされたのですね。弁護士になられて、仕事をするうえで心がけていることをお聞かせください。

常に依頼者の立場になって考えることです。当たり前のことであり、原理原則ですが、とても重要だと思っています。

弁護士は専門家なので、悪い言い方をすれば、相談者や依頼者を騙したり、こちらの都合のいいように仕事を進めたりすることもできます。ですが、大変な問題を抱えて我々を頼って来てくださった方に対して、利己的で不誠実な対応をしていいはずがありません。

目の前の相談者や依頼者の方が、何を求めているのか。どのような結果に至ることが、この方にとって最善なのか。常に自問自答しながら、利他の心で対応しています。


ー 離婚分野の案件を特に多く手がけられていますが、その理由を伺えますか。

離婚について悩んだときに専門家に相談するニーズが、以前に比べて非常に高まっていることが1つの理由です。

離婚事件の相談件数はとても多いのですが、これは、日本の離婚率が高くなっていることに加えて、インターネットで簡単に離婚の情報が調べられるようになったことも関係していると思います。

「調べてみたけれど悩みを自力で解決することは難しそうだ」とわかった方が、さらに調べていくと「弁護士に相談する」という方法があることを知り、まずは電話やメールで法律事務所に問い合わせをする。インターネットの普及によって、このようなプロセスで弁護士にたどり着く人が増えた中で、サポートを必要としている人の力になりたいと考えました。

もう1つの理由は、相談者や依頼者の話をじっくり聞くことが、性に合っているからです。離婚事件は特に、ご自分のことや相手方への不満、夫婦の関係が悪化した経緯などを、気の済むまでとことん話したがる方が多いです。

弁護士の中には、「感情的な問題は自分の手に負えない」「依頼者の話を延々と聞き続けるのが辛い」と感じて離婚事件を敬遠する人も多くいます。離婚事件は、弁護士の中でも好き嫌いが分かれる事件です。しかし、私にとっては、たとえ法律とは関係ない話であっても、時間をかけてヒアリングすることは苦になりません。

むしろ時間をかけてヒアリングをしていく中で、相談者や依頼者が本当に求めていること、一方では妥協してもよいことが見えてきて、相手方も含めてWin-Winとなるような解決ができることもあります。

相談件数が多く、報酬の面でも良い仕事であるのに、敬遠する弁護士が多い。だからこそ、離婚分野は私のような若手弁護士でも切り込みやすい分野です。人の話を聞くことが好きな方であれば特に、狙い目の分野だと思います。


ー 離婚の相談は、男性女性問わず寄せられているのですか。

女性が6割、男性が4割くらいです。以前は8:2くらいで女性が圧倒的に多かったのですが、徐々に男性からの相談も増えてきました。実は昨日、離婚調停が2件あったのですが、どちらも男性の依頼者の案件でした。

また、事務所で面談するときには、リラックスしてお話いただきたいので、高圧的な話し方をせず、わかりやすい表現をするように心がけています。男性も女性も、包み隠さず素直に話してくださる方が多いです。

「隠していることがあるかも」と感じたときでも、無理やり聞き出すようなことはしません。「無理なら話さなくてもいいのですが」と前置きした上で、「こういう理由で、よかったら話してもらえませんか」「話しにくいことがあれば先に言ってもらったほうが、今後の戦略を立てやすいので」などと伝えています。話してほしい理由を伝えたうえでヒアリングすると、ほとんどの方が本音を打ち明けてくれます。


「売上を最大に、経費を最小に」を徹底




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支店を開設されるまでの経緯についてお聞かせください。

司法試験に合格し、虎ノ門法律経済事務所の東京本店で弁護士としてのキャリアをスタートしました。「いずれは故郷の山口県で独立したい」と事務所の所長弁護士に伝えたうえで入所したので、山口に支店を作ることは既定路線でした。

虎ノ門法律経済事務所では、新人弁護士は1年間、本店で修行をすることが原則です。私も、まずは本店で、所長弁護士、上司、兄弁からあらゆることを教わりながら経験を積み、1年後に山口で支店を開設しました。

支店という扱いではありますが、独立採算制を採っているので、経営は支店長の裁量に任せられています。私としてはすごくやりやすい、意にかなったスタイルです。


ー 個人で事務所を開設するのではなく、支店を経営するという選択をされたのはなぜだったのでしょうか。

最大の理由は、大規模事務所という母体があり安心なこと、何かあったときに本店や他の支店の弁護士に相談できることです。実際に、私も支店を開設した当初は、経営のことなどで他の弁護士にアドバイスを求めることが多くありました。

困ったときに相談できるサポート体制が整っていることは、大規模事務所に所属するからこそのメリットだと思います。個人で事務所を立ち上げる場合、こうした後ろ盾はなかなか得られないでしょう。


ー 2016年に支店を開設されています。これまでの経営状況を振り返って、いかがですか。

おかげさまで開設以来、売上は順調に伸びています。とはいえ、全く満足していません。山口支店には私しか弁護士がいないので、より多くの案件を手がけるためにも弁護士を雇いたいのですが、そのためにはもっと売上が必要です。目標としている数字には、まだまだ達していないですね。

売上を伸ばすには、専門的な分野で第一人者になることや、その分野で集客をすることが必要です。つまり、自分の得意技を伸ばし、同業者の誰にも負けないようにすることです。今、一番力を入れているのは離婚と相続です。特に離婚分野は、これまで200件以上の案件を手がけてきたので、さらに多くの実績を積み、専門性を高めていきたいと考えています。


ー 経営をするうえで、心がけていることをお聞かせください。

たくさんありますが、徹底しているのは、「売上を最大に、経費を最小に」です。

売上を最大化するために、弁護士ドットコムのポータルサイトをはじめ、インターネットを通じて広告を出したり、積極的に異業種交流会に参加したりして、色々な方法で事務所の存在をアピールしています。

2020年に、弁護士ドットコムに依頼して離婚の専門ホームページを制作したのですが、おかげさまで多くの問い合わせをいただいています。問い合わせはWeb経由が9割、紹介が1割です。Webでの問い合わせが多くてありがたいのですが、紹介案件も増やしたいので、人脈を積極的に広げています。

経費最小とは文字通り、無駄な支出をなくすことです。毎月の売上や経費の数字を見ながら、何にどのくらいのお金がかかっているかをチェックし、徹底的に無駄を省くことを進めています。


「親しみやすく、かつスタイリッシュな仕上がり」離婚専門HPからの問い合わせも好調
 

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Web集客として、弊社のプロフィールページとHP制作サービスをご利用いただいています。Web集客を始めようと思ったきっかけを伺えますか。

一昔前まで、一般人が弁護士にたどり着く経緯は、紹介がほとんどだったと思います。今は多くの人がスマートフォンを持っていて、簡単に弁護士の情報を調べて、自分から電話やメールで問い合わせをすることができます。弁護士を探すにあたって、スマートフォンで検索するというスタイルが普及している中で、インターネット上に情報を掲載すればより集客力を高められると思ったことが、Web集客を始めた1つのきっかけです。

すでに支店を開設していた当事務所の弁護士からも、Webに広告を出すメリットを聞いていました。弁護士ドットコムのことも、本店や支店の弁護士から「地方で事務所を開設するなら使った方がよい」と言われて、支店開設当初から利用しています。

独立するなら、Web集客はぜひ導入した方がいいです。独立直後はあまり仕事がないと思いますが、Web集客をすれば一定の問い合わせが見込めます。経験年数が浅い状態で独立するなら、なおさら必要だと思います。


ー 離婚の専門サイト制作の際に、弊社のサービスをご利用いただきましたが、ご満足いただけていますか

はい、満足しています。

実は支店のホームページはすでにあったのですが、専門性を打ち出すというより、プロフィールと取り扱い分野全般を紹介する、広く浅い内容でした。

事務所の方向性として、離婚分野に特化したいと考えていたため、離婚事件の実績や経験をアピールできるホームページを新たに制作することにしました。

弁護士ドットコムに制作を依頼したのは、デザインのサンプルを見て「いいな」と思ったことと、何より、社員の方が弁護士の仕事をよくわかっているからです。ホームページ制作にあたっては、製作者に弁護士の仕事内容を理解してもらう必要がありますが、説明してもわかってもらえなかったり、説明にとても時間がかかってしまったりする場合があると思います。

一方で、弁護士ドットコムの方は弁護士の仕事に対する理解が深いので、こちらの説明の手間が省けますし、「こういうイメージで作ってください」という希望も伝わりやすいと思いました。

制作にあたっては、こちらの希望を多く伝えたので、担当の方は大変だったかもしれません。「堅苦しくなくて温かい雰囲気で作れますか」「男女関係なく相談しやすいデザインにしてください」など、たくさんリクエストを出しました。おかげさまで、すごくいいホームページができたと思います。親しみやすくあたたかい感じが出ていて、なおかつスタイリッシュ。内容には満足しています。


ー ご満足いただけて光栄です。Web集客が大変好調ということですが、効果を上げるために、工夫されていることをお聞かせください。

事務所の存在を知ってもらうために、ホームページが検索上位に表示されるよう、SEO対策をすることと、コンテンツの充実です。

特にコンテンツの内容にはこだわっています。クリックした後のページに、見た人が弁護士に相談してみようと思ったり、役立つ情報を掲載するようにしています。

具体的には、お悩み例をなるべく多く掲載しました。「男性の離婚」と「女性の離婚」というページを設けて、それぞれに「離婚を考えているが誰に相談すればいいのかわからない」「夫と話すのが苦痛なので代わりに交渉してほしい」など典型的な悩みを10個ほど列挙しています。同じような悩みを抱える方の目にとまって、「私が悩んでいることが書いてある。この弁護士なら解決してくれるかもしれない」と思っていただき、問い合わせにつなげることが目的です。

ポータルサイトだけではなく、ホームページからも結構問い合わせが来ているので、施策がうまくいっているのではないでしょうか。クリック状況を調べると、多いときで1日30回以上クリックされていることもあります。

仕事上の付き合いがあるWebコンサルティング業者からは、ホームページ内に私の挨拶動画を入れたり、ブログのリンクを貼ったりしてはどうかとアドバイスを受けています。ホームページを見た方に、動画やブログを通して私の人となりが伝われば、親しみがわいて、より「相談してみよう」という気持ちになっていただけると思います。今後の施策として試してみたいです。

 
独立するなら、経営の勉強は必須
 


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金子先生の今後の展望をお聞かせください。

まずは、事務所の規模の拡大です。近いうちに2〜3人の弁護士が所属する支店にし、事務員の数もさらに増やしたいです。人員を増やすためには、今よりもっと売上を伸ばす必要があります。

さらに、私は支店開設以来、経常利益率10%という目標を常に掲げてきました。達成し続けるには「売上最大、経費最小」を徹底して、利益をできるだけ高い水準に保たなければなりません。

新型コロナウイルスの流行は、経済に大きな打撃を与えました。私の事務所でも、4〜5月は新規の問い合わせや相談の数がガクンと減りました。今後、また不況が訪れたときに備えて、1年間くらい売上がなくてもやっていけるような強い経営体質をつくる必要があると考えています。そのためには、高い売上とともに高い利益率を誇り、内部留保を蓄えることが最重要課題です。

注力分野については、離婚と相続の専門性を磨いていきたいです。特に離婚については、「山口県で離婚といえば、虎ノ門法律経済事務所に相談しよう」という域にまで達したいですね。金子好一郎という弁護士の、離婚分野における知名度をより一層高めるため、1件でも多く実績を積みたいです。

個人的には、広く浅く仕事をする弁護士は、これから生き残れないと思います。特に、若手で、既存の顧客や顧問先が少ない方は、誰にも負けない得意分野を作ってアピールすることが必要です。人口が減る一方で弁護士の数はどんどん増え、競争は激化しています。特筆すべき強みを持たず、広く浅くというやり方や、現状維持に甘んじていては、競争に負けても文句は言えないでしょう。


ー 独立に向けて努力されている先生方に、メッセージやアドバイスがありましたら、ぜひお願いいたします。

私たちは法律の専門家ですが、経営については素人です。独立するなら、経営の勉強を必ずしてください。

私は、支店を開設してすぐに、京セラの稲盛和夫さんの経営哲学を学ぶ「盛和塾」に所属し、経営について学んできました。盛和塾は2019年の12月に解散してしまったのですが、解散後も各都道府県の塾生たちが、それぞれ名前を変えて活動をしています。山口県も、フィロソフィ経営実践塾《山口》という名前で有志が活動を続けていて、私もそのグループに所属しています。「心を高める、経営を伸ばす」という観点で、経営哲学、考え方、原理原則、人生について、多くのことを学びました。

盛和塾での活動を通じて、私は、「従業員の物心両面の幸福を追求する」という目的を掲げました。常にこの目的を心に留めて、私は経営を続けています。

自分の利益だけを追求する経営は絶対にうまくいきません。独立し、従業員を雇うならなおさら、経営とはどうあるべきかを学び、考え、実践してほしいです。そして、経営を学びつつ、利他の心を知ることは、人生と仕事の両面で、とても良い影響をもたらします。





 

(取材・文 / 瀬戸佐和子)

 


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金子 好一郎 先生のプロフィール



私は、山口県阿武郡阿武町に生まれ、萩高等学校を卒業するまで、山口で過ごしました。その後、東京の大学に進学し、IT企業に就職しました。東京で生活する一方で、いつか山口に帰りたい、地元のために貢献したいという思いを強く持っていました。そこで、IT企業を退職し、弁護士として東京で経験を積んだ後、山口に法律事務所を開設しました。

弁護士はもっと身近な存在であるべきと考えます。依頼者が満足するにはどうしたらよいか、依頼者と一緒に考え、十分に納得した上で、問題を解決します。

どうぞお気軽にご相談ください。


【所属弁護士会】
・山口県弁護士会

【主な取扱分野】
・離婚・男女問題
・遺産相続
・交通事故
・借金・債務整理
・犯罪・刑事事件
・労働問題
・不動産・建築
・企業法務・顧問弁護士

【Web】
・公式HP
 https://yamaguchi-rikon.com/

・弁護士ドットコムのページ
 https://www.bengo4.com/yamaguchi/a_35203/l_572567/


 
 




 

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