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インタビュー・レポート

法律トラブルの「総合病院」を目指して〜事務所の強み✖地域の特徴からコンセプトを設計 弁護士6名の注力分野を活かす事務所づくりで安定経営を実現〜

インタビュー

2020年10月16日



今回は、茨城県 土浦市で開業されている髙田 知己先生(髙田知己法律事務所)に、弁護士登録をしてから現在に至るまでの歩みや仕事術について伺いました。


高田先生は弁護士登録後に即独し、今では弁護士6名が在籍する、地域では最大規模の事務所を経営されています。メンバーそれぞれの強みを活かして、民事から刑事まで幅広い分野の案件を解決に導いてこられました。交通事故の後遺症による車いす生活をものともしない、高田先生のパワフルなキャリアや、安定経営の秘訣である事務所のコンセプト作りの方法などについて、お話いただきました(インタビュー日:2020年9月16日)。


 
記事のハイライト

・交通事故で車いす生活に 司法試験合格までの長い道のり
・総合病院のように幅広い分野に対応できる事務所を目指す
弁護士全員の顔が見えるホームページで順調に集客
「我々はプロである」という意識を常に持って

交通事故で車いす生活に 司法試験合格までの長い道のり


ー 
はじめに、高田先生が弁護士を目指された理由やきっかけを伺えますでしょうか。

私は、高校を卒業して間もなく、地元の茨城県でバイクの運転中に交通事故に遭いました。一命はとりとめましたが、脊髄を損傷して下半身を動かせなくなり、車いすでの生活を余儀なくされました。

事故後、1年以上の入院生活を送る間に、国家資格について書かれた雑誌を読みました。司法試験の存在を初めて知ったのはそのときです。最も難易度の高い試験の1つとして取り上げられていて、なぜかふと「受験してみたい」と思いました。

退院して自宅に帰り、社会復帰のため、大学進学を目指すことにしました。志望校を決めるときには、司法試験のことはあまり考えず、入学したのも法学部のない大学でした。転機となったのは、大学で、司法試験を目指している友人ができたことです。彼と話すうちに、私も、「やっぱり司法試験に挑戦したい」と思うようになりました。

ただ、当時通っていた大学には法学部がなく、いろいろ考えた結果、1年生の夏休み前に退学して、違う大学の法学部をあらためて受験しようと決めました。法学部を目指して予備校に通い、平成元年の4月、中央大学法学部に入学しました。

当時は、弁護士になることよりも、司法試験という難しい試験を受けたい気持ちの方が強かったです。今考えてみると急に体が動かなくなり、体力も激減してしまったことから、頭を使わなければいけないという気持ちがこのような行動につながったのかもしれません。もちろん、法律に興味はありましたし、弁護士という職業への魅力も感じていました。


ー 大学3年生のときに、初めて司法試験を受験されています。

少なくとも、旧司法試験は10回以上受けました。平成3年が初受験で、合格したのは平成18年の第1回新司法試験を受験したときです。けっこう受けましたね。

合格まで長くかかった方には分かってもらえるかもしれませんが、勉強を始めて最初の3〜4年は、かなり頑張れるんです。ところが、それ以上になるとだんだん勉強に飽きてくるんですよね。特に私は、興味の対象が変わりやすいタイプだったので、勉強は二の次にして、神保町の古書店でおもしろそうな本や資料を仕入れては、大学の研究室で読みふけっていました。

合格できたのは、ロースクール制度ができたことが大きいです。成蹊大学の法科大学院に入学したのですが、周りが熱のある方ばかりで、彼らに刺激を受けて、きちんと授業にも出るようになり、腰をすえて勉強できました。

受験生時代は、友人もたくさんいて、時間も自由に使えたので、楽しかったです。でも、あのとき相当遊び倒したので、今は、働ける限り働き続けたいと思っています。


ー 弁護士登録後すぐに独立されています。なぜ即独しようと思われたのですか。

私が弁護士になった新60期の頃は、就職が厳しいと言われていました。即独する弁護士は少なくなかったです。

私は車いすに乗っているので、なおさら就職先を見つけにくいと思いました。多くの弁護士は雑居ビルに事務所を構えています。エレベーターがないビルだったり、事務所が狭かったりすると、車いすで出入りすることは難しいですよね。

「自分1人で仕事をするのも気楽でいいかな」と考え始めた頃に、地元の先輩方から「東京で独立するのは大変だけど、茨城に戻ってくれば、食べていくくらいなら余裕だよ」とあたたかく言っていただけて。「それなら平気かな」と思い、即独することにしました。


ー 即独されて、いかがでしたか。

実務経験がない状態で独立したので、わからないことだらけでしたが、周りの先輩方が面倒見のいい方ばかりで、特に1年目は何でも教えてくださいました。

当時、茨城県内の弁護士数はすごく少なかったんです。茨城県弁護士会の土浦支部では、たしか私が39人目の登録者でした。独立当初は国選弁護や法テラスからの案件を受けていたのですが、弁護士が少ないこともあって、相当な数がまわってきました。

「1〜2年目は赤字でもいいや」と思って、ゆっくり気楽に仕事をしていました。実際に、最初の頃は赤字かとんとんくらいでしたが、2年目はそれなりに収入を得られるようになりました。だんだんと仕事が増えてきたので、もう1人弁護士に入所してもらい、そのあと事務員を採用して…と事務所のメンバーも徐々に増えていきました。


ー 今では、高田先生を含めて6人の先生がいらっしゃいます。

1つの事務所に弁護士が6人、事務員が8人いるというのは、茨城県内にある事務所の中ではかなり大きな規模だと思います。県内にいくつも支店があって、支店の人数を全部合わせればうちより大きい事務所はあると思いますが、支店を作らず、同一事務所内に6人弁護士が在籍しているところは、うちの特徴だと思います。

私は1人よりも複数人で働く方が好きなので、今の事務所の体制とは相性がいいのかもしれません。案件によっては複数の弁護士と事務員でチームを組んで仕事にあたるのですが、お互いにコミュニケーションをとりながら仕事を進められて、とても楽しいです。また、車いすで弁護士として活動するには、メンバーのサポートが不可欠です。書類の収集や現場での調査など、私1人では対応しきれない部分を手助けしてもらえるので、本当にありがたいと思っています。


総合病院のように幅広い分野に対応できる事務所を目指す


ー 
大変順調にご経営されているようにお見受けしますが、その要因は何だとお考えですか。

決してそれほど順調というわけではないと思いますが、事務所の売上げなどの経営状況は、基本的に事務所内でオープンにしています。そうすると、弁護士も事務員も、経営が順調かどうかがよく分かります。売上げが厳しいときは「このままだと事務所が危ない」と察して経営改善をする努力を一緒にしてくれるので、何とか切り抜けてこられました。

事務所のコンセプトも、地域のニーズに合っているのだと思います。「どういう事務所として打ち出そうかな」と考えたときに、近隣の法律事務所との大きな違いは、弁護士の数だと思ったんです。

それぞれの弁護士の強みや注力分野を活かせば、民事から刑事、個人から法人まで、幅広く対応できる。そう考えて、「総合病院」のような事務所として打ち出そうと決めました。

都内など弁護士が多くいる地域であれば、分野を絞った方が集客しやすいのかもしれません。ただ、私の事務所がある土浦市は、人口の割に弁護士が少ない地域なので、幅広い相談に対応できる法律事務所が必要されているのではないかと考えました。

事務所のホームページにも、その要素を反映しています。トップページには、事務所の特徴として、6名の弁護士が在籍していること、弁護士が多いために取り扱う事件数が多く解決実績が豊富なこと、専門分野が多数あることなどを記載しました。弁護士の紹介ページには、6名それぞれがどのような分野に注力しているか、どんな実績があるかを詳しく記載し、総合病院というコンセプトが、より説得力を持って伝わるよう工夫しています。

実際に、法人から個人まで広く案件をいただいていますし、ホームページ経由のお問い合わせも多いので、地域のニーズに合っているのだと思います。


ー コンセプト設計は、経営の良し悪しを左右する重要な要素ですよね。事務所を経営される上で心がけていることをお聞かせください。

弁護士や事務員に、「この事務所で長く働きたい」と思ってもらえるように努めています。幸い、離職率は低く、メンバー同士の仲もいいと思います。去年は、勤続10周年を迎えた事務員のお祝いパーティーをしました。

仕事とプライベートのバランスを大切にする事務所にしたいとも思っています。子育て中の方などが休みを取りやすいよう気を配っているつもりです。コミュニケーションも重視したいと思い、ランチをとりながらの会議や暑気払い、忘年会などのイベントを大切にしています。また、直接は知らされていませんが、事務員だけでのランチ会なども行っているようです。ただ、最近はコロナ禍の影響でなかなかできないのが残念です。7月にようやく、広い場所を借りて、新しい事務員の歓迎会と暑気払いを開催できました。


ー コロナの影響で、お問い合わせの数などにも変化はありましたか。

新規の相談は原則電話だけでの対応にしたので、受任にはつながりづらかったですね。電話で相談を受けて、緊急の場合は来所してもらうこともあり、そういうケースは受任できましたが、通常時に比べれば受任数はかなり減ったと思います。

事務所内で、コロナ対策(マスク・消毒・換気の徹底)などを行うようにしたこともあるのか、7月以降は実際に来所してもらうケースも増えてきて、けっこう忙しくなりました。


弁護士全員の顔が見えるホームページで順調に集客
 
ー 
弁護士として活動されるうえで、心がけていることをお聞かせください。

基本的なことですが、相談者や依頼者の方の立場に立って、その方にとって一番いい解決ができるように、丁寧に考えていくことです。

私が特に多く手がけているのは、借金問題や、交通事故の被害者の方の案件です。皆さん本当は、弁護士のところになんて来たくないと思います。それでも来ていただけるのは相当大変な状況にあるからなので、「この方は今、とても辛いんだ」と常に意識しながら対応するようにしています。


ー 交通事故と債務整理に注力されている理由を伺えますか。

交通事故は、私自身が事故で車いす生活になったので、被害に遭われた方の人生の再出発をサポートしたいという思いから、注力しています。我々は、被害者の方々の身体を元に戻すことはできません。将来のために少しでも多くの賠償金を確保したいと思っています。我々がお手伝いすることによって、より多くの保険金を被害者の方にお渡しできることにやりがいを感じます。

債務整理は、独立した当初から法テラス経由で多くの案件をいただき、実績を積みました。弁護士の仕事は、相談者や依頼者の方の人生や生活に深く入って、解決まで二人三脚で頑張っていく仕事ですが、債務整理は特にその要素が強い分野ではないでしょうか。法律問題を超えた部分、たとえば家計簿を作ってもらって「ここの支出をもう少し減らせそうですね」「最近がんばってますね」と話しながら生活を立て直すサポートをすることは大変ですが、積極的に手がけています。


ー 交通事故は、案件獲得の競争が激しいと聞きます。安定的に受任するために、工夫されていることはありますか。

おっしゃる通り、交通事故の案件は受任しにくいです。専門のホームページも作っていますが、なかなか事故の被害者の方にアプローチできていないと感じます。一般の方は、交通事故に遭ったときに弁護士をつけるという発想になりにくいのかもしれませんが、特に、重度の後遺症を負ってしまった方には弁護士は必須だと思います。

少しでも私たちの訴えが被害者の方々に届くよう、折に触れ、お世話になっている方や、案件を紹介してくださる他業種の方に、交通事故に遭ったとき弁護士に依頼するメリットをお伝えするようにしています。

事務所に相談に来てくださった方に対しては、まずは、丁寧にお話を聞いて信頼関係を築くことを第一にしています。そのうえで、交通事故被害における弁護士の必要性をお伝えして、理解していただくことで、受任につながると考えています。

もちろん、受任後もその方の立場から、今何が必要なのかを丁寧に汲み取って、信頼を維持できるように努めています。被害者の方は、心身ともにダメージを受けているので、不安に思っていることや辛い気持ちを吐き出していただけるよう、法律や事件解決とは直接関係がない話が出てきてもじっくり伺っています。


ー Web集客として、ホームページと弊社のプロフィールページを活用されています。Web集客を始めようと思ったきっかけをお聞かせください。

「ホームページくらい作らないとだめかな」と思ったのが最初のきっかけです。7〜8年前に地元の会社にホームページ制作を依頼しました。もともとは集客というよりも、事務所の紹介がメインの目的でした。国選と法テラス経由で受任できていましたし、知人や他業種の方からの紹介も多かったので、あまりWeb集客の必要性を感じていなかったんです。

ただ、実際にホームページを作ってみたら、多くのお問い合わせをいただいて。当時は茨城県内でホームページを作っている弁護士が少なかったせいか、グーグルの検索結果でもかなり上位に表示されていました。思ったよりも集客効果があったので、驚きましたね。私の事務所は弁護士の数が多いので、仕事はたくさんあった方がいいと思い、徐々に、Web集客に力を入れ始めました。

現在のホームページは、3年ほど前に会社を変えて新しく制作したものですが、おかげさまで今でも、「土浦 弁護士」の検索結果で上位をキープしていると思います。

弁護士ドットコムの有料サービスを使い始めたのは、5年ほど前からです。サービスの説明を丁寧にしていただいて、営業の方の印象がとてもよく、いい加減なところがなく真摯なお仕事をする会社だなと感じました。

正直、プロフィールページ経由の問い合わせはあまり多くはないです。月々の料金分はペイできていますが、本音を言うと、もう少し問い合わせが増えてほしいですね。ただ、他の広告会社をいくつか試したことがあるのですが、そこに比べれば圧倒的に多いです。

プロフィールページからうちのホームページを見て電話をかけてくれる方もいると思いますし、影響力がある会社なので、「弁護士ドットコムに広告を載せている事務所なら信頼できる」と思われて紹介につながっているケースもあるでしょう。見えない部分で効果を発揮してくれているのだと思っています。


ー ありがとうございます。Web集客の成果をあげるために、工夫されていることはありますか。

ごく普通のことですが、ホームページを開いて最初に目に入る部分に、弁護士全員の顔がわかる写真を載せることです。

私自身は、自分の写真を載せることにはずっと抵抗がありました。なんとなく、気恥ずかしいじゃないですか。でも以前、求人情報誌に事務員募集の広告を出すときに、広告会社の方から「写真を載せないと事務所の雰囲気が伝わらないですよ」と言われて、渋々載せることにしました。求人広告はなかなか応募が集まらないそうなのですが、写真の効果か、100人を超える応募があり、いい方を採用できました。

たしかに、自分が相談者や依頼者の方の立場なら、写真でどんな弁護士かわかった方が、相談に行ってみようかな、という気持ちになりやすいと思います。法律事務所はただでさえ敷居が高い存在なので、写真で弁護士や事務所の雰囲気を伝えて、親しみを感じていただき、相談のハードルを下げられればいいなと思っています。


「我々はプロである」という意識を常に持って


ー 高田先生の今後の展望について、お聞かせください。

目の前の仕事一つ一つに丁寧に取り組み、事務所と雇用を維持していきたいです。メンバー全員に安心して長く仕事をしてほしいので、事務所を長期的に経営するにはどうすればよいか、具体的に考え続けなければならないと思っています。


ー 今後独立をして、高田先生のように安定経営をしていきたいと考えていらっしゃる先生方に、メッセージやアドバイスがございましたら、ぜひお願いいたします。

弁護士の仕事は、係争金額が大きい場合などは高額な報酬をいただけることもあります。しかし、解決まで数年かかるケースもあり、あまり効率的とはいえません。時給に換算するとびっくりするような仕事もあると思います。

もちろん報酬に関係なく手がけるべき事件もあります。しかし、「我々はプロである」という意識を忘れずにいてほしいです。独立して1人で仕事をしたり、人を雇ったりするならなおさら、お金をいただけるところでは遠慮せずにきちんといただくことが大切だと思います。

そして、安定的に経営をしていくためには、何よりも、事務所のメンバーの力が重要です。私が実践できているかどうかは甚だ怪しいのですが、「いい職場だな」と思ってもらえるよう、今後もメンバーを第一に考えて経営をしていきたいです。



 

(取材・文 / 瀬戸佐和子)

 


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髙田 知己 先生のプロフィール



私たち弁護士がお手伝いさせていただく方々は、複雑な事情をお持ちの場合が少なくありません。法律の話に限らず広くお話を聞かせていただき、その方がどのような解決を望んでいるのか、その方にとってもっとも良い解決方法は何かを一番大切にしたいと思っています。

当事務所は、現在6人の弁護士が所属しており、各自がそれぞれ得意な分野を生かし、総合法律事務所として活動しています。お気軽にご相談いただけると嬉しいです。


【所属弁護士会】
・茨城県弁護士会

【主な取扱分野】
・交通事故
・遺産相続
・借金・債務整理
・離婚・男女問題
・労働問題
・犯罪・刑事事件
・債権回収
・企業法務・顧問弁護士

【Web】
・公式HP
 https://takada-law.jp/

・弁護士ドットコムのページ
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