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インタビュー・レポート

どんな案件でも「おかしいな」と感じたら、やる〜一貫して労働問題に注力 Webを通じて人間像や理念を伝え、依頼者や弁護士からの信頼を積み重ねる〜

インタビュー/事例 2020年10月09日



今回は、福岡県 福岡市 中央区 でパートナー弁護士として活躍されている西野 裕貴先生(福岡城南法律事務所)に、弁護士登録をしてから現在に至るまでの歩みや仕事術について伺いました。


西野先生は、労働者側の事件を専門に手がける弁護士として、様々なトラブルを解決に導いてこられました。Web集客も好調で、売上げは広告費の20~25倍にのぼるといいます。ご自身の考え方を伝える「広報ツール」として制作したという専門サイトへのこだわりも、詳しくお聞きしました。(インタビュー日:2020年8月21日)


 
記事のハイライト

・働く人が「楽しい」と思える社会を作りたい
・費用を抑えた集客方法を模索「広告費の20~25倍の売上げに」
サークルのように気軽に入れる労働組合があってもいい

働く人が「楽しい」と思える社会を作りたい



ー 
はじめに、西野先生が弁護士を目指された理由やきっかけを伺えますでしょうか。

子どもの頃から、ケンカの仲裁や議論をすることが好きでした。「正義感が強い」というといい響きですが、純粋に「それは間違ってる」「こっちが正しいでしょ!」とつい言いたくなるタイプだったんです。性格的に、弁護士に向いていたのかもしれません。

労働問題に興味を持ったきっかけは、大学受験の小論文の題材で、『日本の論点』という本を読んだことです。当時高校生だった私にとって、この本に書かれていた長時間労働や非正規雇用などの問題は、すごくインパクトが大きかったですね。

私が育った家庭は両親と兄と私の4人家族で、父が働いていました。そういう環境で育ってきて、子どもながらに、「子どもは大学まで進学して、お父さんとお母さんはその成長を幸せに見守ることができる」という家族像がスタンダードだと思っていました。でも、『日本の論点』を読んだことで、労働環境にはびこる問題が、そうした家族像の実現を阻んでいるのではないか、と考えるようになりました。

1日24時間のうち、働く時間は法律上8時間です。睡眠時間を8時間とすると、残りの8時間は自由に過ごせます。でも、会社で長時間労働やパワハラが横行していたら、自由時間は減り、常にストレスを抱えたまま過ごすことになりかねません。

1日の3分の1を充てる働く時間が楽しくなかったら、人生全体が楽しくなくなります。お父さんが辛い気持ちで働いていたら、お母さんや子どもたちにも波及して、楽しいはずの休日も笑って過ごせないかもしれない。そういう状況はよくないなと思いました。

楽しい生活を送るために働いているのに、劣悪な環境で働くことで生活が楽しくなくなってしまったら、悲しいですよね。家族みんなが楽しい生活を送るためには、働く人の環境を改善することが必要だと考えた時に、労働者側の弁護士になって、様々な問題を解決するという選択肢が浮かびました。


ー  高校生の頃から、労働問題専門の弁護士を目指されたのですね。弁護士として活動するうえで、心がけていることをお聞かせください。

トラブル解決に向けた第一歩として、しっかりお話を聞いて信頼関係を築くことが大事だと思っています。口で言うのは簡単ですが、実践するのは難しいです。問題が深刻なケースほどそう感じます。

長時間労働やパワハラ被害を受けた方の中には、精神疾患やそれに近い状態で来られる方が少なくありません。身も心も疲弊された方に対しては、法律論を並べ立てるのではなく、まず、どんな被害を受けて、どれだけ辛い思いをしてきたかを、時間をかけてヒアリングします。思いの丈を打ち明けることで気持ちを落ち着かせていただきたいので、トラブルの内容とは関係ない話題が出てきても遮らず、じっくりお聞きするようにしています。


ー  今後は労働事件の中でも、過労死・過労自死の案件に注力されると伺っています。

働くことで命を落とすなんて、絶対にあってはいけないと思います。過労死・過労自死がない社会を実現するために、今後、力を入れて取り組みたいです。

過労死・過労自死は他の労働問題と比べて、特殊性・専門性が高い分野ではないかと感じています。人が亡くなっているので、他の案件に比べて、相談者や依頼者の方のダメージが段違いに深いです。医学の専門知識も必要ですし、損害賠償などの計算方法も複雑で、他の労働問題よりも学ばなければならないことが多いように思います。案件の数が少ないので、知識や経験を積みにくいともいえます。

ただ、ご遺族の立ち直りをサポートできることには非常にやりがいを感じますし、ご遺族が望む場合には、事件を広く社会に伝えることで、多くの人に過労死・過労自死への関心や危機意識を持ってもらうことにもつながります。


ー  なぜ、心を病んだり、死に至ったりするまで、働いてしまうのでしょうか。

「辞めると損害賠償請求するぞ」と言われて辞められないケースは少なくないです。責任感が強いあまり「仕事をやりきっていないのに辞めることはできない」と自分を追い詰めて、身も心もボロボロなのに働き続ける方もいます。

精神疾患や過労死・過労自死に至るようなケースでは、無理なノルマや業務量を会社に課せられているケースがほとんどです。無理を強いる会社が悪いのだから、本当は辞めていいのですが、追い詰められた人は、その判断ができなくなってしまいます。「仕事が終わらないのは自分のせいだ」と思ってしまって会社から離れられない。仕事をしないことへの不安が強すぎて、会社を辞めるという選択肢が浮かばないんです。

私は、人は幸せになるために仕事をするのだと思います。働いて得たお金で旅行や趣味を楽しむ人もいれば、仕事に打ち込む時間が幸せな人もいるでしょう。ただただ疲弊するだけの労働は、それとはかけ離れています。

働き方改革の一環として、長時間労働の是正がおこなわれていますが、中小零細企業では、月の残業時間が100時間や200時間を超えるところがざらにあります。長時間労働を是正するために、メディアの力も借りながら、「社員を働かせすぎると痛い目にあう」と会社に思わせられるような活動をしなければならないと思っています。


ー  昨今の労働問題の特徴というと、新型コロナウイルスの影響が挙げられると思います。西野先生のもとにも、コロナ関連のご相談は寄せられましたか。

まさにコロナ関連と言えるのは2件です。コロナの影響で新卒の方が内定を取り消されたケースと、観光バスの運転手さんがコロナを理由に解雇されたケースです。

福岡県弁護士会でも相談を受け付けていて、アルバイトなど、特に弱い立場の方から、休業手当に関する相談が多く寄せられました。ただ、そういった方からのご相談は、弁護士が介入しにくいケースが多いのが現状です。

たとえば、「アルバイトの休業手当3万円が支払われなかった」というケースの場合、請求額よりも弁護士費用の方が高くなってしまいます。本来なら弁護士が入って法律にかなった解決をすべきなのですが、費用面がネックで弁護士のサポートを受けられず、結局泣き寝入り、というケースが少なからずありました。

そのような方には、行政上の制度を使って国からお金を受け取る方法をお伝えしましたが、抜本的な解決にはなっていないので、課題に感じています。


費用を抑えた集客方法を模索「広告費の20〜25倍の売上げに」



ー 
弊社のプロフィールページとホームページ制作サービスをご利用いただいていますが、Web集客を始められたきっかけを伺えますか。

私が所属する事務所では、1年目からパートナー弁護士として契約を結びます。毎月固定で給料が入るのではなく、事務所の他の弁護士と一緒に事件を手がけて、解決すれば報酬が入るという形態です。

入所してしばらくは、先輩から事件を振ってもらうことが多かったのですが、3~4年目を迎えた頃に、もう少し事件数を増やしたくなりました。安定して収入を得るためにも、事件を継続的に受任できる体制を作りたいと思い、Web集客をしようと考えました。

Web集客の手段として弁護士ドットコムを選んだのは、会社の理念に共感したからです。


ー ありがとうございます!どのようなところを評価していただけたのでしょうか。

弁護士に対するアクセスの悪さは、誰もが分かっていたけれど、踏み込まなかった。そこに一歩踏み込んだことが、まず凄いです。

システム設計の仕方も魅力的だと思います。広告には色々な打ち出し方があって、費用をかけるほどいい効果が出る方法もありますが、お金がない若手にとっては難しいです。広告費をなるべく抑えつつ、少しでも多くのお問い合わせをいただくにはどうすればいいか。難しいようですが、弁護士ドットコムのシステムを使えば、実現できると思いました。

弁護士ドットコムのスタンダードプランは、月額3万円ですよね。同じ金額でリスティング広告を打っても、潜在的依頼者の目に触れることはとても少ないと思います。でも、弁護士ドットコムは、金額の多寡にかかわらず、時間帯によって各弁護士のプロフィールページが上位に表示されるよう調整されているので、広告費が少なくても検索にかかりやすいと思ったんです。

プロフィールページに、私の経験や理念、依頼者の方からの感謝の声などを掲載して、どんな弁護士でどんな評価を受けているのかをアピールできれば、3万円の広告費でも問い合わせが来るだろうと見通しが立ちました。「これはいいな」と思って、有料サービスを使うことにしました。


ー 実際に使われてみて、いかがですか。

Webでの問い合わせは、ほぼ全てがプロフィールページ経由です。割合としては、プロフィールページ経由の問い合わせが5割、紹介が5割ほどです。

今は、弁護士ドットコムに参画する弁護士が増えてきたので、以前より競争が厳しくなっていると感じます。何もしなければプロフィールページからの問い合わせが減ってしまうと思うので、新たな工夫は必要ですね。

生き残るためには掲載する側の知恵や工夫が試されるところが、弁護士ドットコムのいいところです。「みんなの法律相談」の回答数が多いほどランキング上位に表示される、というシステムにも表れていますが、広告料の多寡によらず、いい法的サービスを提供した人が相談者や依頼者の方につながるシステムを作ろうとしていることが、随所に見られます。お金稼ぎではなく、市民と弁護士の双方にとって便利なサービスを提供する、という理念を大切にしているところに惹かれます。

集客がうまくいかなくて広告費を回収できなくても、弁護士ドットコムの意気込みを応援する一助になっているなら、いいんじゃないかという気がしています(笑)。実際は、広告費の20〜25倍くらいの売り上げになっているので、ありがたいです。

他の広告会社も使っていますが、弁護士ドットコム経由の問い合わせの方が、受任率は高いと思います。プロフィールページと専門サイトで私の人間像を伝えることで、西野がどういう弁護士かをある程度見定めた上で問い合わせをいただいているからこそ、受任につながっているのではないでしょうか。


ー お役に立てて光栄です。労働問題の専門サイトを制作していただいた理由も伺えますか。

専門サイトの方は、集客ではなく、私の考えや理念を社会に伝えるための「広報ツール」という位置付けです。まずは私のプロフィールページに入っていただき、より詳しく知りたい方は、専門サイトにアクセスしてもらって、考え方を伝えられればと思い、制作を依頼しました。

私自身が、理念に惹かれてものを選択するタイプなので、弁護士費用や法的サービスの内容だけではなく、どういう考え方や理念に基づいて活動しているのか、といった人間像を伝えることをメインにしています。

作って1年くらい経ちますが、サイト経由で依頼をいただいたのは3件で、それほど多くはありません。ただ、先日、西日本新聞の記者さんが「サイトを見ました」ということで連絡をくださって、パワハラに関する取材を受けました。サイトで自分の考えを伝えていたからこそ、取材の機会をいただけたのだと思います。

また、最近は他の弁護士から労働者側の労働事件を紹介していただいたり、共同受任していただくことが増えてきました。先月は4件紹介していただきました(皆様、ありがとうございます!!)。サイトの存在が、「労働問題は西野がやってるよ」と思ってもらえる1つの材料になっているのかもしれません。

今のサイトが100点満点とは思っていないので、より伝わるものにバージョンアップしていきたいです。「労働問題なら西野に任せよう」と思ってもらえるようなサイトにすることが目標です。いいサイトを作っても検索結果に引っかからないと意味がないので、1人でも多くの方にアクセスしていただけるための方法も模索しています。お金をかけて検索されやすくする方法もありますが、それでは面白みがないので、知恵でクリアしていきたいですね。


 
サークルのように気軽に入れる労働組合があってもいい
 

ー 
西野先生の今後の展望について、お聞かせください。

まだ青写真ではあるのですが、今までにない、誰でも気軽に入れるような労働組合を作りたいです。

労働者は、会社に比べて弱い立場にあります。彼らが自らの権利を守るには、不当な扱いを受けたときに団結して、問題解決のために活動することが必要です。労働組合はまさにそのための団体ですが、今は組合離れが進んでいます。使用者側と融和路線の組合や、お金だけ徴収して、いざ問題が発生したときに守ってくれない組合は少なくないのではないかと思っています。積極的に活動している組合もありますが、「会社と戦う団体」というイメージが強いために、労働者から敬遠されがちです。

SNSのグループのようにポチッとワンクリックするだけで入れて、でも問題が発生したときにはみんなで団結して解決できるような、サークル感覚の労働組合があってもいいのに、と思います。そういう新しい形の団体をつくることに、弁護士として助力したいです。

そもそも、「労働問題に巻き込まれるかもしれない」と思って働いている人はあまりいないと思います。団体を作るときに、トラブル解決を主眼に置くと「自分には関係ない」と思われてしまうでしょう。出会いや家族同士の付き合いといった、私的なつながりが持てることをメインに据えて、問題が発生したら守ってもらえるということがオプションとして存在する形にすれば、興味を持ってもらいやすいのではないでしょうか。

出会いや交流のための活動がメインで、活動費として1人数百円ずついただき、いざ問題が発生したときの弁護士費用にあてる、といったシステムもアイデアとして浮かんでいます。採算とれますかね(笑)?今からの研究課題です!!


ー トラブルや悩みが発生したときに、相談できる仲間がいることもメリットですよね。

まさにそうです。困ったときに相談できる仲間がそばにいれば、「明らかにおかしい状況なのに無理やり働き続ける」といった、正常な判断ができなくなる状況に追い込まれることはなくなると思います。

フランクなつながりではあるけれど、団体に入っている人同士でいい関係を築くことが、精神疾患や過労死を防ぐことにもつながります。プライベートにも仕事にもプラスの影響を与えられるような団体を作りたいです。

こういった目標を実現するための活動をしつつ、弁護士としての技術も常に高めていきたいです。1件でも多くのトラブルを解決し、判例も獲得して、信頼を集めてこそ、やりたいことが実現できると思っています。


ー 今後も一貫して労働問題に取り組まれるご意向ですか。

はい。これからも労働問題特化の弁護士として活動していきます。特に、コロナの影響で一番被害を受けている、非正規労働者など弱い立場の方に対する法的サポートの充実が急務だと考えています。

労働問題は、他の一般民事事件に比べて解決まで時間も手間もかかると思うので、費用対効果がいいとはいえません。たとえば、最近ご依頼いただいた障害者差別の雇用の案件は、請求額は高くなく法的にも難しい論点を含んでいるケースなので、他の弁護士にとっては玉石混交の「石」の方かもしれません。ですが、私にとっては、社会的に重要な問題を含んでおり、また、1人の労働者の幸せを左右する大事な案件もであるため、まぎれもなく「玉」です!!

これまで「西野を選んでくれたからにはどんな案件も受けます」というスタンスで活動してきました。他の弁護士が誰も手がけない事件であっても、「おかしいな」と感じたら、やる。この姿勢は、今後も貫きたいです。
 


 

(取材・文 / 瀬戸佐和子)

 


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西野 裕貴 先生のプロフィール



「正しくないこと」には「正しくない」とまっすぐ言える社会にしたい、不正義は許したくないという気持ちから弁護士になりました。

この文章をお読みいただいている「あなた」は、今、何らかの紛争に巻き込まれ「権利を侵害されている」と感じていらっしゃることと思います。そのような状況に身を置かれて、弁護士を探すだけでも大きな心の負担になっていらっしゃるのではないかと思います。

私は、「あなた」が感じているその負担を一つずつ取り除きたいと思っています。そのためには、じっくりお話しをお聞きすること、専門性があること、しっかりした方針を立てること、相手方に対し粘り強く交渉すること、依頼者に丁寧に報告すること、費用が適切であることなど様々なことが弁護士に求められると思います。

ただ、「あなた」が勇気を持って相談してくれない限り、何も始まりません。もしよろしければ勇気を出して話を聞かせてもらえませんか?それだけで心が軽くなるはずです。そこから次のステップに一緒に進んでいきたいと思います。


【所属弁護士会】
・福岡県弁護士会

【主な取扱分野】
・労働問題
・犯罪・刑事事件
・不動産・建築

【Web】
・公式HP
 https://fukuoka-roudou.com/

・弁護士ドットコムのページ
 https://www.bengo4.com/fukuoka/a_40130/g_40133/l_338847/


 
 




 

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