
中小企業診断士の資格を活かし、法律と経営それぞれの視点で経営者をサポート
事業計画など経営面のアドバイスも
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
高校生の頃はまだ将来の目標を具体的に決めておらず、文系科目が得意だったことと就職の選択の幅が広がると考えて法学部に進学しました。
法学部に入ってみると周囲に司法試験を目指す人が多かったこともあり、自然と司法試験に挑戦してみようという気持ちが湧いてきました。当時はバブルが崩壊した直後の就職氷河期だったため、資格を取得して独立した働き方をしたいと考えたことも理由です。
法曹の中から弁護士を選んだのは、当事者の立場に立って働く方が向いていると思ったことと、組織に属することなく自由に働けることに魅力を感じたからです。
ーー注力されている分野を教えてください。
企業法務に注力しています。弁護士になってから様々な分野の案件を扱っていく中で、中小企業の経営者をサポートすることにやりがいを感じたのが注力するようになったきっかけです。
中小企業では、経営者が法律に詳しくないためにトラブルが起こるというケースが多々あります。また、法律の理解はあっても現場で実行できていないケースも見受けられます。そうした企業に対して法律の専門家としてアドバイスをしています。
2010年に事務所を独立する際、中小企業法務により一層注力しようと中小企業診断士の資格を取得しました。中小企業診断士は経営に関する知識が求められ、弁護士とは視点が異なるため、資格を取ったことで視野が広がりました。
現在は中小企業診断士の資格を活かし、法務だけでなく事業計画など経営面のアドバイスも積極的に行っています。
企業法務は依頼者と長期でお付き合いすることになるので、人間関係が自然と深まっていくところにも魅力を感じています。
ーー民事介入暴力の対策を行う委員会で活動されていますが、企業法務に活かされていることはありますか?
企業が巻き込まれるトラブルの中に、反社(反社会的勢力)による乗っ取りがあります。典型的な例としては株主や役員として介入し、最終的に経営権を奪ってしまうというものです。中には経営者と個人的な接点を持ち、マインドコントロールして実権を握るというケースもあります。
反社は一度関係を持ってしまうと排除するのが非常に困難です。実際に私も乗っ取り事件を扱ったことがありますが、解決するのに長い時間を要しました。
表向きは一般企業でも実は反社のフロント企業で、知らずに取引してしまったために被害を受けるというケースも少なくありません。
委員会では反社に対する調査や研究を行っていますので、委員会活動で得た経験や知識を活かして、企業が反社から被害に遭わないためのサポートを行っています。
ーー仕事をするうえで心がけていることは何ですか?
依頼者の話を聞き、希望をしっかりと把握したうえでアドバイスすることを心がけています。目先のことだけを考えた便宜的な処理ではなく、中長期的な見通しとともに根本的な解決に向けたトータルアドバイスができるよう努めています。
また、依頼者に寄り添いつつも第三者としての冷静な判断を失うことなく、最適なサポートをすることも大切にしています。
企業法務以外の相談にも幅広く対応
ーー休日の過ごし方や趣味を教えてください。
休みの日は犬と過ごしています。高齢なうえに体重が30kgもある大型犬なので散歩するのも一苦労なのですが、癒しになっています。
趣味はビリヤードです。最近は忙しくて行けていないのですが、学生の頃からずっと続けています。落ち着いたらまた行きたいと思っています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
中小企業法務に引き続き注力していきたいと思っています。最近相談が増えてきた、労使関係のトラブルやカスタマーハラスメントなどにも積極的に取り組んで、専門性に幅を広げていきたいと考えています。
また、後進の育成というのも考えなければいけないと思っています。弁護士のキャリアも15年を超えましたので、経験や知識を若い人たちに継承していきたいと思います。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
悩みを一人で抱え込まずに、できるだけ早く相談に来てほしいです。話をするだけでも気が楽になると思いますし、アドバイスを受けるだけで問題が解消することもあります。マチ弁として企業法務以外の相談も幅広く承っているので、悩みがあれば気軽にご相談ください。