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ZOZO前澤社長、月旅行へ 宇宙規模の旅費は会社の経費で落とせる?
前澤氏による月旅行のプロジェクト「#dearMoon」動画より

ZOZO前澤社長、月旅行へ 宇宙規模の旅費は会社の経費で落とせる?

衣料品の通販サイト「ZOZOTOWN」の運営会社社長、前澤友作氏が宇宙旅行を予定していることが明らかとなり、話題となっています。アメリカの宇宙企業スペースXが9月に発表したもので、前澤社長と契約し、2023年の飛行を目指すことになったそうです。もし実現すれば、民間人として初の月周回旅行になります。

報道などによると、前澤氏は会見で、この月旅行について「世界中から6人から8人の芸術家を招待したい。地球に戻って創作活動に生かしてほしい」と話したそうです。前澤氏は自身のTwitterでも、このプロジェクトの動画などを投稿。動画では「画家、写真家、音楽家、映画監督、ファッションデザイナーなど地球を代表するアーティストを招待する」としています。

そこで気になるのは、月旅行の費用です。金額は明らかにされていませんが、複数報道によると700億円を下らないとされています。今年、フォーブスが発表した日本長者番付で前澤氏は18位にランクイン、資産は2830億円となっていますが、ポケットマネーから捻出するにしても多額です。では、このスケールの大きな旅行費用を経費で落とすことは理論上、可能なのでしょうか。新井佑介税理士に聞きました。

●「理論上、広告宣伝費として計上可能だが…恋人や家族の旅費は難しい」

「前澤氏は、株式会社ZOZO(この発表当時の社名はスタートトゥデイ)の創業社長である他、資産管理会社や現代アートの公益財団法人を所有しているとされています。そこで今回は、話題の月旅行の費用を株式会社ZOZOで経費として計上できるか考えてみましょう。

理論上ですが、月旅行費用は『ZOZOTOWN』の運営会社である株式会社ZOZOで広告宣伝費として計上することも可能かと考えられます。

事実、前澤氏の月旅行は世界的なニュースとなり『ZOZOTOWN』の名前も報道されています。今回の月旅行が株式会社ZOZOとしてのブランディングや知名度を上げるために計画的に行ったものであれば、法人税法上、その損金性を全面的に否認することは難しいのではないでしょうか」

月旅行にはアーティストを招待すると発表しています。また、家族や恋人を同伴したい場合、その旅行費用は経費で落とせるのでしょうか?

「『画家、写真家、音楽家、映画監督、ファッションデザイナーなど地球を代表するアーティスト』の招待分については、接待交際費又は寄附金として法人税法上は損金算入ができない可能性はあります。前澤氏ご本人分も認定賞与として損金算入できない可能性も当然あります。さすがに家族や恋人を同伴させた場合には、損金算入は難しいのではないでしょうか。

いずれにしても、株式会社ZOZOは東証1部上場企業であり、多くのステークホルダーがいます。会社が創業社長の月旅行費用を広告宣伝費として結果的には負担することについて、ステークホルダーの理解を得られるかは別問題です。

とはいえ一代で1兆円企業を創りあげた凄腕経営者である前澤氏。数字にも強いタイプの経営者であることでも有名です。今回の月旅行も単なる思い付きではなく、前澤氏の経営哲学と積み上げた数字によって裏付けされた『経営判断』ではないのでしょうか」

【取材協力税理士】

新井 佑介(あらい・ゆうすけ)税理士・公認会計士

AAG arai accounting group 代表。慶応義塾大学経済学部卒業後、BIG4系ファームを経て現職。MASコンサルティングや様々な融資案件に積極的に関与している。

事務所名   : AAG Arai Accounting Group / 経営革新等支援機関 新井綜合会計事務所 

事務所URL: http://shozo-arai.tkcnf.com/pc/

(弁護士ドットコムニュース)

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