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ダイソーで「偽カッター」を買ったら「本物」だった・・・ケガしたら賠償してもらえる?
指が切れたようにみえるカッターのはずが・・・

ダイソーで「偽カッター」を買ったら「本物」だった・・・ケガしたら賠償してもらえる?

100円ショップの「ダイソー」で、指が切れたようにみせかけることができる「おもちゃ」のカッターを買ったところ、本物のカッターだった・・・そんな少しドッキリするような発表があった。

問題となったのは、本来ならば、偽物の刃の部分にくぼみがあり、指が切れたようにみせかけることができるジョーク商品。その名も「ドッキリ!カッター」。ところが、都内のダイソーで、この商品を購入した客から「本物の刃がついている」と苦情が入ったという。

ダイソーの運営会社の大創産業は9月上旬、本物の刃がつけられた商品について、回収と返金をすると発表した。これまでのところ、ケガの報告はないということだ。もし商品を購入した人が誤ってケガをした場合、賠償してもらえるのだろうか。

消費者問題にくわしい正木健司弁護士に聞いた。

●債務不履行による損害賠償責任が生じうる

「偽物の刃がついたカッターということで販売されていたにもかかわらず、実際には本物の刃がついていたということで、購入者は心底『ドッキリ』したのではないでしょうか。何はともあれ、購入者に大事はなかったようで何よりでした」

もし、購入した人が、このドッキリ!カッターで誤ってケガをしてしまった場合、どうなるのだろうか。

「そのような場合、当然のことながら、大創産業に損害賠償責任(債務不履行)が生じることになります。

つまり、偽物であることを前提とした用途で使うつもりで購入したにもかかわらず、あろうことか、本物だったため、不用意に刃の部分を触ってしまい、思いがけずケガをしてしまったような場合、購入対象として当然期待した偽物を販売すべき義務を履行していないことから、それによって生じた損害を賠償すべきということになります。

また、製造物責任法による損害賠償責任も請求可能です。製造物責任法は、製造物に起因する事故による消費者被害を防止・救済するために、民法の特則として無過失責任を負わせる製造物責任を定めています。

今回のケースで、『ドッキリ!カッター』が通常有すべき安全性を欠いていたことにより、傷害が発生した場合、この法律の要件を満たすものと考えられます」

偽物であれば、子どもが使うために購入することも十分考えられる。

「このようなことがたびたびあると、『ドッキリ!カッター』のような商品は、中身を確認してからでないと、こわくて買えないということになりかねません。業界への波及効果も小さくないでしょう。

このような商品を大量に製造・販売する企業としては、自社の商品の信頼を維持するためにも、消費者の安全、安心を確保すべき責任を十分はたしていただきたいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

正木 健司
正木 健司(まさき けんじ)弁護士 弁護士法人名城法律事務所
先物取引、証券取引、デリバティブ取引などの投資被害事件、金融商品取引訴訟を多数取り扱う。名古屋投資被害弁護士研究会代表。先物取引被害全国研究会幹事。全国証券問題研究会幹事。愛知大学法科大学院非常勤講師(消費者法)。ケフィア事業振興会被害東海弁護団事務局長。K&A投資被害弁護団事務局長。

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