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性別適合手術、保険適用に「混合診療」の壁 「ホルモン療法にも保険を」当事者ら要望
GID学会の中塚幹也理事長(左)

性別適合手術、保険適用に「混合診療」の壁 「ホルモン療法にも保険を」当事者ら要望

心と体の性別が異なる性同一性障害(GID)の治療として「性別適合手術」が、今年4月から健康保険の適用対象となった。

しかし、「実際には保険が使えない」との指摘がある。性別適合手術を受ける人のほとんどが事前に受ける「ホルモン療法」に保険が適用されないからだ。

保険診療と保険外診療の併用は「混合診療」といって、保険がきかなくなる。つまり、一般的な形で「性別適合手術」を受けようとすると、全額自己負担になるというわけだ。手術を望まない当事者にとっても、ホルモン療法への保険適用は負担の軽減につながる。

当事者や医師の団体は9月19日、ホルモン療法への保険適用を求め、加藤勝信厚労大臣らに宛てて、それぞれ要望書を提出した。

●事前のホルモン治療が大切だからこそ…

要望書を出したのは「日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会」と「GID学会」。2団体は提出後、厚労省記者クラブで会見も開いた。

手術前のホルモン療法は、身体の性を心の性に近づけることで、心身や社会生活に支障が起きないか確認する意味などもある。また、手術を受ければ、生殖能力は戻らないため、希望者の中にも迷いを抱えている人がいるという。事前にホルモン療法を受けることで、熟慮の機会にもなり得る。

一方で、性別適合手術は高額で、全額自己負担だと100万円以上かかることもある。ホルモン治療を回避することで、経済的なメリットが生まれる現状は、安全性などの確保を困難にしかねない。

ホルモン療法をめぐっては、性同一性障害の受刑者が治療を受けられず、苦痛を訴えることもある。GID学会の中塚幹也理事長は「保険が適用され、正当な医療として認められれば、刑務所でも治療が受けられる可能性がある」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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