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「性行為の声うるさい」目立つように「郵便受け」に張り紙…法律違反にあたる?
ツイッター上で拡散している画像

「性行為の声うるさい」目立つように「郵便受け」に張り紙…法律違反にあたる?

「性行為の声と音が大きく近隣住民に大変な迷惑をかけています。他の住民の迷惑になる行為はやめてください」。こんなことが書かれた紙が、メールボックス(郵便受け)に、目立つように張りつけられている画像が、このほど話題になっている。

●性行為に関する騒音トラブルの相談が寄せられている

拡散している画像は、マンションやアパートの集合住宅の入り口にあるメールボックスを撮影したものだ。どこの部屋なのかわかるように「●●号室の方へ」と書かれている。そのうえで、上記の文言がつづいている。

この画像は少なくとも昨年から出回っている。今回は、いわゆる「パクツイ」による拡散で、本物か作り物かは不明だ。ただ、性行為の騒音に関しては、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも深刻な悩みが寄せられており、近隣トラブルの原因となっていることがある。

仮に本当の出来事だったとして、他の人にもわかる方法であることから、指摘されたほうからすればたまったものではない。どうせなら「メールボックスの中に入れてほしい」と思うかもしれない。今回のような張り紙は、法的に問題ないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。

●刑事責任を問われる可能性がある

「最近、こういった近隣トラブルが増えているような気がします。少なくとも、今回のよう張り紙は、指摘された人にとって『恥ずかしい』ことです。どこの部屋かわかるように指摘することについては、法的に問題があると思います」

どんな法的問題があるのだろうか。

「刑事上の責任として、張り紙をする行為は、軽犯罪法違反にあたる可能性があります。

『みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者』(軽犯罪法1条33号)

また、相手に対するねたみなどや恨みなどから、悪意の感情を充足する目的でこのようなことをしているのであれば、各都道府県の迷惑防止条例違反にあたる可能性もあるでしょう。ほかにも、刑法の名誉毀損罪にあたる可能性もあります」

●プライバシー侵害などにあたる可能性も

民事上の責任はどうだろうか。

「部屋番号が掲載されることで、誰の家なのかわかってしまう可能性が高いです。したがって、プライバシーや名誉を侵害するとして、損害賠償請求の可能性があります(民法709条)。いずれにしても問題のある行為といえるので、このような行動はやめたほうがよいでしょう」

それでは、もっとスマートな指摘方法はないのだろうか。

「隣人にとって、耐えられないような事情があったのでしょう。こういう場合、封書でポストに入れておく方法も考えられますが、かえってこじれるという場合もあります。マンションの管理人や管理会社に相談するのもいいかもしれません。

ことがことだけに、何とか穏便に対応したいところです。集合住宅では、できるだけ、他人の迷惑にならないよう行動することが大事ですね」

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(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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