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たばこの税金、4種類で販売価格の「63%」…消費税との二重課税でも問題ない?
たばこ1箱の税率イメージ

たばこの税金、4種類で販売価格の「63%」…消費税との二重課税でも問題ない?

非喫煙者から目の敵にされている「たばこ」。2018年10月から、段階的に増税され、税金問題が今後、注目されることになりそうです。

たばこ税が高い、ということはよく知られていますが、現在の内訳はどうなっているのでしょうか。

現在、たばこ(紙巻き)1箱あたりの一般的な価格は440円です。この中には、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、そして消費税が含まれています。

たばこ税法では、国たばこ税の税率は1000本あたり5302円と定められています。つまり、1箱(20本)あたり約106円が国たばこ税として納められていることになります。一方で、1箱あたり約122円が地方たばこ税として納められています。

これらの負担に加えて、消費税とたばこ特別税もかかってきます。

●税負担率は63.1%に

合計すると、たばこ1箱あたりの税負担額は277.47円で、税負担率は63.1%にものぼります。ガソリンの税負担率が49.8%、ビールの税負担率が47.1%であることと比較すると、最も税負担が重いものといえるでしょう(JTホームページより)。

国たばこ税と地方たばこ税は、ともに年間の税収がそれぞれ約1兆円程度あり、貴重な財源となっています。もっとも、喫煙者からは、高額な税金を納めているのにもかかわらず、それが喫煙所の増設など、喫煙者のために十分に使われていないと不満の声も聞こえてきます。

さらに、消費税とたばこ税の二重課税になっているのではないかという指摘も根強く存在しています。二重課税になっても問題はないのでしょうか。

●国税庁の見解では二重課税にあたらない

二重課税とは、「一の納税者に対して、一の課税期間において、一の課税要件事実、行為ないし課税物件を対象に、同種の租税を二度以上課すこと」(石村耕治、獨協法学94号「二重課税とは何か」より)を言います。この定義からわかるように、二重課税は多義的です。

「たばこ」に関して指摘されている二重課税とは、たばこ税を含んだ販売価格が消費税の課税標準になっていることを指します。つまり、たばこ税にも消費税が課されている状態だということです。

なぜたばこの二重課税が問題なのでしょうか。財務省が示しているように、税制を構築する上で、「公平性・中立性」が要求されていますが、たばこの二重課税は、喫煙者の負担を増やす点で公平ではなく、個人の経済活動における選択を歪める点で中立性にも反するとの指摘もあります。

もっとも、たばこの二重課税が問題であるとの指摘に対して、国税庁は、たばこ税やガソリン税などの個別消費財は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税金であり、その販売価格の一部を構成しているとして、個別消費税が課税標準に含まれることは妥当であるとの見解を示しています。

つまり、消費税は消費者が負担する税金であるのに対して、たばこ税はメーカーなどが負担する税金であり、それぞれの納税者が異なるので、消費税の課税標準にたばこ税が含まれていても二重課税にはあたらないということです。

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