弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. インターネット
  3. 素人なのに「部活顧問」を強制され、負ければ保護者からクレーム…教員たちの嘆きの声
素人なのに「部活顧問」を強制され、負ければ保護者からクレーム…教員たちの嘆きの声
画像はイメージです(kou / PIXTA)

素人なのに「部活顧問」を強制され、負ければ保護者からクレーム…教員たちの嘆きの声

学校教員の大きな負担となっている「部活顧問」についての記事(「『部活顧問になるのをお断りします』九州の中学教諭が職員会議で宣言、長時間労働に一石」https://www.bengo4.com/internet/n_7672/ )を掲載したところ、大きな反響がありました。

記事に登場した九州の中学校教員(30代)は、ボランティア状態であるはずの部活顧問が各教職員に割り振られていることに疑問を抱き、職員会議の場で「部活動の顧問になることはお断りします」と宣言したところ、会議が静まり返り、後になって「そういう時代だよね」と理解を示してくれる教職員が複数いたそうです。

多くの学校でこれまで、教員が部活顧問をやることが当然だと考えられていましたが、仕事の負担が増えたり、残業手当が支給されなかったりと、様々な問題を抱えています。

記事のコメント欄でも、現職の教職員や過去に部活顧問をしていた人たちから、体験談が寄せられました。一部を紹介します。

●土日含めた時間外労働が100時間を超えることも

「自分が関わってきたことではない、専門外のことを指導することになり、苦痛以外の何でもありません」

こう語るのは、小学校で教員をしている20代後半の女性です。もともと部活顧問をしたくないと思っていた彼女でしたが、今の学校に配属されてまもなく、顧問を頼まれました。はじめは断るものの、「お子さんがいらっしゃる方でもやってくれている」「主顧問の先生が来年いなくなるので後継者が必要」と何度も学校から説得をされ、仕方なく顧問を引き受けたそうです。

「前任校でも部活動の指導をしていましたが、土日含めた時間外労働が月100時間超になることもしばしば‥。土曜日の部活動のお手当ては、時給換算すればコンビニバイトと同じくらいです。

本来の教育活動ではないところに時間を取られ、体力気力が削がれていくことで仕事に対する意欲が低下してきているのが事実です」

働き方改革が叫ばれている中、この女性教員は、部活顧問を押し付ける教育現場にも改革が必要だと訴えていました。

日本体育協会の調べ(2014年)によると、保健体育以外の教員で、担当している部活顧問の競技経験がない教員が、中学校で46%、高校で41%にのぼるとのデータもあり、専門外の部活顧問は特に、教員に大きな負担を強いることになっているようです。

●休日返上で試合、それでも保護者からはクレーム

現在は退職した元教員(40代男性)からもコメントが寄せられました。

「野球部の顧問をしていた頃は、例えば公式戦の会場校になれば朝6時半集合、それから設営を生徒と行い、試合が終わってテントの撤去等を終えて生徒を解散させるのが19時半くらい。

私自身は全くの素人、少年野球のコーチをしてる保護者もいる中で、負ければ監督が悪いと言われ、昼食代も自腹、それで日給800円くらいでした。時給ではなく日給です。その夜に保護者との飲み会がある日もありました。90年代の話なので今の現場は存じませんが」

休日返上で試合をして、その後の保護者との飲み会にまで参加した挙句、クレームを受けるとは、なかなか過酷な状況です。

「バスケの審判をしてた時はボールを持った生徒が接触したらほぼ毎回笛を吹いてファールにしてました。その方が保護者からのクレームが少ないからです。資格(免許)を持たない教員が公式戦で審判をしてました」

●「外部指導員」からみた教員たちの働き方

このような実態を受け、「外部顧問を雇うのはどうか」と提案する読者が多くいました。

「指導が必要な部活については、やはり外部の専門家に謝礼を払って指導して貰うのが筋。吹奏楽部でベースの弾き方も分かっていない先生が顧問だったせいで、基礎も扱い方も滅茶苦茶で後々苦労したという話を聞いたことがある。いずれにしても、現状ではお互いが不幸」(男性・40代)

「そもそも専門外の部活任されても指導のしようがないだろ。教育の一環だと言うのであればしっかり専門家雇うべき」(男性・40代)

実際に約20年間、高校の外部指導員として部活指導にあたってきた男性(60代以上)は次のように感じたそうです。

「部活動顧問へ半強制的に配置される教員の先生方は大変と思いました。部活動について専門的知識や経験もなく、半強制的に配置され安全管理の手法も解らず、責任は取らされるだけに驚いた次第です」

外部指導員でありながらも、「停学になった生徒に話をするため、自宅に会いに行ったり、登校拒否になった生徒に毎朝電話をしたりしていた」こともあったそうです。

なお、2017年4月に改正学校教育施行規則が施行され、校長の監督を受け、部活動の技術指導や大会への引率等を行うことを職務とする「部活動指導員」が制度化されました。これにより、教職員と部活動指導員が部活顧問の負担を分担することが可能になりました。

徐々に問題の解決に向けた動きが進んでいるようですが、外部指導員の活用も含めて、まだ多くの改善点がありそうです。みなさんはどう考えますか?

(弁護士ドットコムニュース)

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする