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ふるさと納税「地場産品しばり」総務相が通知…ポイント、商品券配布の自治体ピンチ
写真はイメージです(Graphs / PIXTA)

ふるさと納税「地場産品しばり」総務相が通知…ポイント、商品券配布の自治体ピンチ

法的拘束力のない通知にどれほどの影響があるかーー。SNSなどネット上では、「ふるさと納税の返礼品は原則として地場産品にするように」との総務省の通知がもたらす影響に関心が集まっている。

通知は4月1日、総務大臣から各都道府県知事あてに出された。根拠は、大臣による技術的な助言などができることを定めた地方自治法245条の4。野田聖子総務大臣は3月30日の会見で、地場産品が乏しい自治体について、「新しい地場産品をつくるという発想を持ってほしい」と語った。

●特産品多い自治体との格差広がる懸念

ただ、そう簡単なことではない。「新しい地場産品を作れるなら、もうやってるよ」という冷めた反応もネット上では散見される。

高級フルーツや海産物、サシが絶妙に入った牛肉などが地場産品として用意できる自治体は通知による影響はなさそうだが、返礼品の大多数を域外の産品に頼ってきた自治体には痛手だ。民間のギフトカタログを返礼品にする岐阜県七宗町は「特産品の多い豊かな自治体と格差が広がるだけだ」(担当者)と話したと日経新聞が報じている。

格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの運賃に使えるポイントや市外でつくるビール類を返礼品とする大阪府泉佐野市など、地場産品ではない返礼品をウリにすると自治体は少なくない。海外ブランド品のサングラスやカバンを返礼品とする福島県南相馬市の担当者は「まだ通知を見ていない」と戸惑いつつ、「なるべく総務省の通知に沿った対応をしなければいけないのだろうと思う」と話した。

●総務相「良識ある対応を」

総務大臣は通知で、「一部の団体においてふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されているような状況が続けば、制度全体に対する国民の信頼を損なうほか、他の地方団体に対しても好ましくない影響を及ぼすことが懸念されます」などとし、「改めて、制度の趣旨に沿った責任と良識のある対応を厳に徹底するようお願いします」と求めた。

また、以下に掲げる返礼品については換金の困難性や転売防止策の程度、地域への経済効果などのいかんにかかわらず、送付しないよう求めている。

(1)金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金など)

(2)資産性の高いもの(電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車など)

(3)価格が高額のもの

(4)寄付額に対する返礼品の調達価格の割合の高いもの(3割以下とすること)

総務省が問題視する「趣旨に反する返礼品を送付する一部の団体」は今後減っていくのか。返礼品をめぐる自治体間の競争が白熱した結果、ふるさと納税は認知度が高まり、盛り上がりを見せている面も否定できない。少しでも税収を増やそうと「工夫」する自治体と、制度趣旨に照らして目を光らせる総務省とのつな引きはしばらく続きそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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