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隣人が「暴言モンスター」だと知らされず、入居後に地獄…不動産業者を訴えたい!
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

隣人が「暴言モンスター」だと知らされず、入居後に地獄…不動産業者を訴えたい!

隣人が、何人もの住民を追い出したワケありの「トラブルメーカー」だなんて知らなかった。不動産屋に告知義務はないの? 弁護士ドットコムの法律相談にこのような相談が寄せられた。

隣人は「子どもの声がうるさい」「庭で遊ばせるな」「犬が寝ているんだから静かにしろ」などと「理不尽な怒り方」をして、子どもがいる前で暴言を吐いてくるそうだ。管理会社にも相談をし、隣人は退去を命じられたが、それに応じないのだという。そこで、相談者は、小さな子どもの安全を確保するため、自ら引っ越しをすることを決意した。

その後、隣人は過去にも隣人トラブルを起こした、いわゆる「トラブルメーカー」だとわかった。しかし、入居する際「過去に隣人がトラブルを起こしていた」ことを説明しなかった不動産業者に不満を抱いている。

「過去の隣人トラブル」に関して、不動産業者が告知しなかったことを理由に、転居費用の支払いを求めることはできるのか。久保豊弁護士に聞いた。

●「認められる余地は十分にある」

不動産業者に対する損害賠償請求は認められるのだろうか。

「今回のケースで、隣人は『トラブルメーカー』として知られていたということです。そして、相談者に対しても『理不尽な怒り方』をして、子どもがいる前で複数回にわたって暴言を吐いていることからも、不動産業者に損害賠償請求が認められる余地は十分にあると考えます」

●暴言の程度によっては慰謝料請求が認められる

損害としては、引っ越し費用のみだろうか。

「引っ越し費用のほか、慰謝料請求も認められる余地があります。

継続して居住することが困難なほどの態様(様子)、頻度で暴言等が行われるということであれば、その転居費用の請求が認められることになるでしょう。また、隣人の暴言の程度によっては慰謝料請求も認められる余地があるものと考えます」

貸主が不動産業者に仲介業務を依頼していた場合、その貸主も賠償義務を負うことにはならないのだろうか。

「貸主が賠償義務を負う場合もあります。貸主が不動産業者に仲介業務を依頼していたとしても、直接、借主から説明を求められていたような場合に説明を行わなければ、不動産業者同様に損害賠償義務を負担することになるでしょう」

●損害賠償請求が認められた裁判例も

過去の裁判例はあるのだろうか。

「過去には、売買契約の際に不動産業者も近隣トラブルを認識していたのに、説明しなかったとして損害賠償請求が認められた裁判例があります。この事例は、隣人が近隣住民とトラブルをしばしば起こし、売主も子どもがうるさいと怒鳴られ、洗濯物に水をかけられ、泥を投げ入れられるなどのトラブルがありました」

●隣人に対しても転居費用と慰謝料請求は可能

そもそもの原因を作った隣人に対しては請求できないのか。

「隣人に対する請求が認められるか否かは、隣人による『理不尽な怒り方』や暴言が不法行為に該当するかということが問題となります。

今回のように、複数回にわたって理不尽な暴言を子どもに対して繰り返してくるということであれば、その程度、態様からいって、不法行為として隣人に対して損害賠償請求が可能となるものと考えます。

この場合には、退去を求められたにもかかわらず、退去しない、暴言が継続しているということであれば、継続して居住することが困難と評価できますので、隣人に対しても同様に転居費用や慰謝料請求が可能になると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

久保 豊
久保 豊(くぼ ゆたか)弁護士 鎌倉総合法律事務所
大学卒業後、旅行会社、一部上場IT企業を経て弁護士に。弁護士に転身後、不動産、建築・建設、法人破産、相続などを中心に多数の案件に精力的に取り組む。2008年弁護士登録

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