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2017年06月09日 17時35分

「駆け込み寺に」芸能人の地位向上目指す団体設立…華やかな世界の反面、トラブルも

「駆け込み寺に」芸能人の地位向上目指す団体設立…華やかな世界の反面、トラブルも
「日本エンターテイナーライツ協会」が設立会見を開いた

芸能人の地位向上を目指す団体「日本エンターテイナーライツ協会」(ERA)は6月9日、東京都内で設立記者会見を開いた。共同代表理事の佐藤大和弁護士は「これまで芸能案件に多数携わってきて、芸能人側の知識・経験の不足、社会常識の欠如を感じた。事務所側と対立構造をとらずに、芸能人を支援していきたい」と抱負を語った。

この協会は今年5月、芸能人の活動や私生活を守るために、社会や法律にかんする知識向上を支援するなどし、業界を健全に発展させることを目的に発足した。柱としている活動は、(1)芸能人の権利を守る、(2)セカンドキャリア形成を支援する、(3)芸能人の地位を向上させる――ことだ。

対象には、タレントやアーティスト、自分の能力で創作・表現活動をしている人たちが広く含まれている。会員向けのメールマガジン発行や勉強会を予定しており、将来的には「政策提言」も目指す。ホームページを通じて相談も寄せられているが、利益相反などの観点から、現状は協会の理事をつとめる個別の弁護士が対応しているという。

●「一方的にタレントに不利な契約書が使われている」

共同代表理事の安井飛鳥弁護士は「芸能人は、一見すれば華やかな地位にいるが、相談する相手がいないのではないか。専門の相談窓口を設けて、芸能人の『駆け込み寺』にしたい。法律的な相談だけでなく、メンタルヘルスのケアなど、芸能人特有の相談に対応できる体制を構築していきたい」と述べた。

共同代表理事の河西邦剛弁護士は「一方的にタレントに不利な契約書が多く使われている。契約期間だったり、解約の違約金条項だったり、途中でやめた場合の報酬返還もある」と指摘。新たに、芸能人と事務所の双方にメリットがある公正・対等な「統一契約書」の作成や、仕事環境の改善に向けた政策提言をおこなっていきたいと話した。

●「社会経験がなくトラブルになるケースが多い」

この日の会見には、同協会のパートナーとなるアーティストや俳優も出席した。音楽家のしほりさんは次のように語った。

「若いころ、事務所に入ってアーティストとしてがんばろうと思っていた時期がある。その事務所は登記もなく、契約書もなかった。なんとか夢をつかみたい、機会を失いたくないと思っていた。契約書や交渉の知識・経験もないまま、周りに大人もいなく、自分もよくわからない状態で活動していた。

芸能人は、社会経験があまりにもなく、トラブルになるケースも多い。成功している人は、人間的にもとてもしっかりしている。リタイアする人だけでなく、これからの芸能界を目指す人にも社会経験が必要だと思う。そういう知識が得られる場所・機会がほしいと思っていた」

俳優の今野悠夫さんは「業界ルール」の特殊性について言及した。

「キャスティングをえさに『ぼくと寝ると芝居がうまくなる』『役者なのに仕事をとりたくないの?』と肉体関係を迫られたという話もある。また、劇場公開作にもかかわらず、ギャラ・交通費なしということがあった。出演させるかわりに数十万円支払えということも往々にしてある。

さらには、意見の食い違いがあったときに、そのすじの人を使って『お前を殺すぞ』という脅迫もあった。なぜ、この業界でそんなことが起こるのか。『業界のルールにのることは正しいことだ』ということがある。役者サイドが変わらないといけない。芸事をやっている人間でもしっかりしていい」

(弁護士ドットコムニュース)

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