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「共謀罪」国連特別報告者が菅官房長官に反論「日本政府の抗議には中身がない」
「共謀罪」に反対する市民グループの代表ら

「共謀罪」国連特別報告者が菅官房長官に反論「日本政府の抗議には中身がない」

いわゆる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が、衆議院本会議で採決されようとする中、法案成立に反対する市民グループの代表らが5月23日、東京都・永田町で記者会見を開いて「今からでも遅くない。慎重な審議を求める」などと訴えた。

この会見には、海渡雄一弁護士(共謀罪NO!実行委員会代表)、伊藤和子弁護士(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)、芹沢斉氏(自由人権協会代表理事)、山口薫氏(アムネスティ・インターナショナル日本活動部門チーフ)ら、「共謀罪」に反対するグループの代表らが出席した。

●国連特別報告者「日本政府の抗議はまったく中身がないもの」

同法案をめぐっては、国連の特別報告者で、プライバシー権を担当するジョセフ・カナタチ氏が5月18日、「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」という懸念を示した書簡を安倍晋三首相あてに送付した。これに対して、日本政府が抗議したうえで、菅義偉官房長官が5月22日、定例会見で「書簡の内容は不適切だ」と発言した。

海渡弁護士は、菅氏の発言を受けて、カナタチ氏から届いたという反論文を紹介。カナタチ氏はこの中で「とくに日本政府が今回の法案を十分な期間の公的議論を経ず、提案された諸施策についても許容される十分な考慮もないままに、法案を早急に成立させることを愚かにも決定したという状況においては、完全に適切なものです」と主張している。

さらに、カナタチ氏は「私が日本政府から受け取った『強い抗議』は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、まったく中身のあるものではありませんでした。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、1つの点においても反論するものではありませんでした」と、日本政府の抗議内容を批判している。

●「市民活動そのものが萎縮するおそれがある」

ヒューマンライツ・ナウの伊藤弁護士は「法案は、憲法に定められた一般市民の人権を深刻におびやかすものと懸念している。このように拙速に採決されようとしていることに抗議する。市民社会や国連からの適切な声に耳を傾けていただきたい。今からでも遅くない。慎重な審議を求める」と述べた。

アムネスティの山口氏は「組織的犯罪集団の定義があいまいなままだ。このまま、犯罪準備行為を把握するために監視社会になった場合、市民団体と一緒に活動してくれる人がいなくなる。市民活動そのものが萎縮するおそれがある」と指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)

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