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友人とのワリカン飲み会で「レシート」持ち帰る自営業者、経費計上しても大丈夫?
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友人とのワリカン飲み会で「レシート」持ち帰る自営業者、経費計上しても大丈夫?

「レシートもらえますか?」。自営業者のAさんは、飲み会で必ずレシートをもらって帰っている。確定申告で経費申請するためだ。仕事の接待はもちろん、プライベートの飲み会でも「友達から仕事をもらうこともあるからね」と抜け目がない。

これからの忘年会シーズン、Aさんのように領収書を欲しがる自営業者の姿が増えそうだ。しかし、プライベートの飲み会も「経費」で落として良いのだろうか。また、「ワリカン」にもかかわらず、全額経費として申請することにペナルティーはないのだろうか。新井佑介税理士に聞いた。

●「過少申告加算税」や「重加算税」が課せられる可能性も…

ーー飲み会代金は経費にできる?

自営業者のAさんにとって「飲み会代金」が必要経費になるか否かはケースバイケースです。経費計上できるものは、所得税法上「業務遂行上直接必要であったことが明らかであるもの」に限られているからです。

具体的には、業務上の接待目的である場合には必要経費になりますが、プライベートである場合には必要経費にはなりません。この点については、サラリーマンの方の感覚と一致しているのではないでしょうか。

しかしながら、特に自営業者の方の場合、業務とプライベートの線引きが曖昧な場合もあります。友人との飲み会にしても、その友人が「お客さん」を紹介してくれることも確かに可能性としてはあり、そのような場合には「業務遂行上直接必要であった」として必要経費に計上できるケースもあるかと思います。当然、完全にプライベートでしたら経費計上できません。

ーー「ワリカン」なのに、レシートで経費計上しても大丈夫?

店舗から発行されるレシートは総額表記になっていますので、Aさんのようにレシートで経費計上してしまうと、自分が支払っていない金額も支払ったことになってしまいます。

これは、架空経費になりますので、経費性が否認されるとともに、「過少申告加算税」や悪質な場合には「重加算税」が課せられる可能性もあります。

一般的に、収入に対して経費の割合が過大である場合や同業他社と比べて多額である場合、また前年の申告と比べて相対的に増加している場合などは、上記のケースに該当する場合もありますので税務署も特に注意深く経費の中身を確認する傾向にあります。

ーーワリカンの場合、どうやって経費計上したら良いのか?

ワリカンの場合、まずは自分の支払った金額分だけ「領収書」を発行してもらえないか交渉してみましょう。

それが困難な場合には、「(1)支払いをした日付、(2)店舗の名称、(3)金額、(4)支払いの目的や品物・サービスの内容」を記載した「出金伝票」を作成することも可能です。

ーー飲み会も経費になるって、自営業者だけズルくない?

これから忘年会シーズンになります。自営業者の方は経費計上するためにレシートや領収書をもらう場面が多くなるかと思います。

その姿を見て、サラリーマンの方は不公平に感じるかもしれませんが、サラリーマンは「給与所得控除」(年65万円〜)という形で経費は概算計上されています。是非、みんなで楽しい一時を過ごしていただければと思います。

【取材協力税理士】

新井 佑介(あらい・ゆうすけ)公認会計士・税理士

慶応義塾大学経済学部卒業。金融機関との金融調整から新設法人支援まで、幅広く全力でクライアントをサポート。趣味はサーフィンとスノーボード、そして登山。好きな言葉は「変わり続ける勇気」

事務所名   : 経営革新等支援機関 新井会計事務所 

(弁護士ドットコムニュース)

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