「俺が家に帰ってくると数十匹のカラスがガーガーいって寄ってくる」。カラスに餌をあげ続けてきた男性が、ネットの掲示板に「めっちゃ懐いてきた」「凄いかわいい」と喜びの声を投稿していた。
カラスの群れに顔と車をおぼえられていて、車で移動するとカラスの大群がついてくるそうだ。見た目についても「あの漆黒の羽が好きだな」「光が当たると青色っぽく見えるのがキレイ」とお気に入りの様子だ。
ただ、カラスについては、ごみ捨て場を荒らすなど、害が大きいと思っている人も多い。大群が自宅近くに押し寄せると迷惑する人もいるだろう。カラスを餌付けすることは法的に問題ないのだろうか。猫の餌やりと異なる点があるのだろうか。鈴木智洋弁護士に聞いた。
●猫に対する過度な餌やりと共通する部分も
「野生のカラスを飼うことは鳥獣保護法で原則的に禁止されていますが、単にカラスに餌付けをするだけであれば、一部、条例で禁止している市区町村もありますが、法律でこれを正面から禁止しているものはありません」
では問題ないということか。
「そういうわけではありません。餌付けを繰り返すと、餌を与えられた動物は『人は食べ物をくれる』と記憶し、人を恐れなくなりますし、人が与える餌に依存し、自分で餌を獲らなくなることにもつながります。
また、餌付けによって栄養状態に恵まれると、自然な状態に比べて個体数が増えやすくなりますので、生態系の在り方そのものに与える影響も小さくありません。
更には、糞尿や鳴き声の被害、人への攻撃など、周辺の住民が迷惑する場合も考えられます。
こういった様々な問題は、野良猫に対する過度な餌やりと共通するところだと言えるでしょう。
カラスに餌付けをすることで、カラスは餌付けをする人に懐いて沢山集まってくるでしょうし、それによって、餌付けをしている本人が満足感を得ることがあるかもしれません。
しかしながら、先ほど指摘したような問題もありますので、人とカラスを初めとした動物との共生を図るという観点からも、カラスへの餌付けはやめた方が良いと考えられます」