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2014年03月06日 00時14分

「家族にありがとうと言いたい」 遠隔操作事件・片山被告人が保釈会見(全文・後半)

「家族にありがとうと言いたい」 遠隔操作事件・片山被告人が保釈会見(全文・後半)
保釈会見で記者らの質問にこたえる片山祐輔被告人(左)と佐藤博史弁護士

1年以上にわたる勾留を解かれ、保釈されたパソコン遠隔操作事件の片山祐輔被告人が3月5日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。約30分間の会見の最後、片山被告人は「家族に対して、信じてくれてありがとうと言いたい」と、家族への感謝の言葉を口にした。

●「犯人に仕立て上げられた」

――今後、ご自身でパソコンのデータなどを解析していって、無罪を取る自信はおありですか?

片山: もちろん、それ以外のことは考えていません。

――真犯人については、想像するしかないと思うんですが、片山さんと面識のある人物の可能性っていうのはあると思いますか?

片山: うーん。ないのではないかなと。

――まったく知らないということですか?

片山: おそらくそうです。

――それは?

片山: 私が想像しているのは、たぶんiesys.exeではないウイルスを何十人にもばらまいていて、その何十人のパソコンをくまなく調べていたところ、たまたま前科のある私を犯人が見い出した。「じゃあ、こいつをスケープゴートにしよう」ということで、犯人に仕立て上げられていったのではないかと、私は推測しています。

――単純な疑問として、江ノ島と雲取山に行かれていると思うんですが、その辺はどのようにご説明されるんでしょうか?

片山: まあ、ただ普通に行っただけなんです。冒頭陳述でも言ったのですが、どちらについても、行く何日も前から、雲取山については1カ月以上前から、ネットで下調べしてルートを調べたりしていたので、犯人が私の画面を監視していたりすれば、当然私がそこに行こうとしていることを掴むことは可能だったと思います。

――初公判のとき、ご自身で1時間、冒頭陳述をされていましたが、あれはなぜ自分でやろうと思ったのですか?

片山: 弁護人のすすめで。

――ぜひ、やりたかった?

片山: たしかに言われてみれば、自分で言いたいこともいくらでもありましたし、今になってみてもやって良かったなと思っています。前例のないことだと弁護人から説明はされていて……。

佐藤博史弁護士: 相当、努力してくれたんですね。テーマを与えて、少しずつ、少しずつ作っていって、面会をして最終的に仕上げたということだったんですけど。それは彼にとっても、すごく良い経験だったと。

片山: そうですね。

――これから公判をやっていくわけですが、片山さんがこれまで公判前などを通じて、検察の証拠などをみて、もし自分が犯人だったら絶対これはないな、これは決定的に間違っているというように、なにか言えるようなものが、もしあったら教えてください。

片山: 雲取山ですね。埋められなかった。スコップなんか持ってなかった。山頂に複数の人がいた。山頂でそれなりに交流もあった。人が見ている横で、鍋を出して何か調理している人がいるところで、ザックザックと掘っているようなことをしていたら、絶対に目立ちますよ。私が滞在していた30~40分の間に、少ないときで3人、多いときで6、7人にはなっていて、山頂で1人になったことはない。

――鍋?

片山: 何か火をたいて調理していた。

――山頂でですか?

片山: 山頂で。はい。(そういう)人もいたということですね。私は、コンビニおにぎりで食事を済ませたんですけど。

●「佐藤弁護士と知り合えたのが大きかった」

――検察から特別抗告という手続きが踏まれたことについて、どのようにお考えですか?

片山: 保釈の特別抗告ですか? やはり、最後の悪あがき、というふうにしか思えません。何が何でも私を外に出すまいとする、そういう姿勢が感じられます。

――いままで、非常に拘束が長くて、こんなに長い拘束になるのであれば、「ウソでも良いから認めておけばよかった」とか、気持ちが折れそうになったというのは、なかったですか?

片山: ないですね。やはり、早い段階で佐藤弁護士と知り合えたことも大きかった。とにかく取り調べを拒否しなさい、録音・録画されないなら、と。そういうことで警察の取調官と人間関係を形成する前に、弁護人と仲良くなっておけたので、そのへんについては良かった。良い方向だったのかなと思っています。

佐藤: 私のことだけ言ったのですが、本当に感謝しなければいけないのは、隣の竹田弁護士ですからね(笑)。

片山: たまたま当番弁護士として来て・・・。

佐藤: 私よりはるかに責任を感じて、回数もたくさん、接見をずっとしてくれたので。

片山: 最初の2カ月ほどはもう、完全に毎日、一日も休まず面会に来てくれました。土日も休まずに。

佐藤: ちょっと厳しいお父さんみたいな私ですけど、甘えられるのは竹田さんなので。竹田さんのサポートがあったんだね(笑)

――毎日?

片山: はい。休日というものがないぐらい、毎日、警察に来てくれました。

佐藤: そのころはけっこう、私も毎日行ってたんですよ(笑)。東京拘置所に行ってからはちょっとだけ頻度が落ちましたけど。

●「保釈金はお母さんが用意してくれた」

――検察が片山さんをどうしても外に出したくなかったのは、ご自身としては、なぜだと思いますか?

片山: 仮に私が犯人だとして、冒頭陳述でも書いたことですが、「鬼殺銃蔵」のメールアカウントはまだ生きている。僕が犯人だとしたら、そのメールアドレスを知っている。それを使って、「私が真犯人ですよ」メールを出すような工作をするのではないか。検察はたぶんそこを恐れているのだろうなと思っています。当然、私は犯人ではないですし、何の手出しもできないです。

佐藤: いま言ったのは、(鬼殺銃蔵の)パスワードを知っているはずだって話だよね?

片山: もし犯人なら、(鬼殺銃蔵の)パスワードを知っていて、検察の言葉でいうなら「虚偽の真犯人を作りだす行為をする恐れ」ですね。そこに集約されると思います。

――今の点ですが、パスワードを盗まれていたかもしれないとなると、どこかのパソコンとかにそのパスワードを保管していたということを・・・

片山: はい。自分のパソコンには各種アカウントのパスワードをメモして、テキストにして置いてあったので、それを盗まれていたのなら、なんでもやりたい放題ですね。例えば、iesys.exeのテストに使われた、「したらば」の「auto/6682」に関してもそうですね。あれは、たしかに私が開設したものです。6682という番号自体は、システムから割り振られる通し番号ですが……。

佐藤: 鬼殺銃蔵のパスワードは、犯人は知ってるけど、片山さんは知らないわけで。自分のパスワードは盗まれていた可能性があるということですよね。

――保釈保証金1000万円の原資は?

佐藤: それはお母さんが出してくださいました。昨日、連絡を受けて、「すぐ用意してください」と。事前にどのぐらい用意できるんですかと聞いてはありましたが、裁判所から言われたのが1000万円で、ちょっと私たちとしては大変だったんですけど、お母さんがすぐ準備していただいて・・・。午前中ぐらいだったかな、私のところに振り込まれて、それですぐ済んだのです。

――全面的に否認していますが、長い間拘束されて、法廷では検察官に追及されて、いま法廷に立たれている際のご心境というのは?

片山: まだ本格的に追及はされていないといいますか、今後、被告人質問かなにかでの追及は心にダメージを受けそうな気がしますけれど・・・。捜査段階では、早い段階で取り調べを拒否してしまっていたので。検察官からの追及という点で、いままで、「この人、言ってることおかしい」と感じたのは去年の3月5日、まさに今日ですね、水庫(みずくら)検事の取り調べのときだけですね。今後、検察官が私と対面して、どう言ってくるか、それにどう対応するか、ちゃんと心構えをしなければと思っています。

佐藤: 今ので思い出したけれど、3月5日の取り調べがあった後、警察に行ったら、「ものすごく疲れました」と彼が言ったので、相当厳しい追及にあってダメージを受けたのかなと思って、よく聞いてみたら、ずいぶん反論をしていたんですけど、すごくいろいろなことを言われたんですよね?

片山: はい。

佐藤: 言いたい放題、言われちゃって。

片山: はい。

佐藤: そういうダメージを受けていたことは、ホント、思い出しました。

――言いたい放題というのはどういう?

片山: もう、「証拠の評価からすると、君は有罪だ」とか、「やっているけれど認めないか、やっていないから認めないか、いくつか選択肢はあるけれど、君はどうするのが得か考えてみな」みたいなところから始まって・・・。その前、検事の自己紹介の時点で、「私は特捜部所属だ。今は刑事部に応援に来ている」というようなことを言われました。それ自体は威圧的ではなく、ただの自己紹介だったのかもしれないんですが、その後もいろいろと・・・。たとえばC#に関するスキルとかも、「僕はそんなウイルスなんか作る能力はない」と言っても、「こっそり勉強していたかもしれない」のように言われ・・・。私は「そんなの悪魔の証明ですよ」と返してやったんですけど。あと、そうですね、雲取山に関しては、そもそも水庫検事は、雲取山のことを知らないみたいで、「あまりメジャーでない山に登った。犯人と同じ山に偶然登った。おかしいじゃないか」的なことを言ってきたので、私は「いや雲取山、知らないんですか? 東京都最高峰ですよ」と言い返してやりました。まあ、そんな感じで言い合いの連続で非常に疲れました。

――お母さまには会えたのですか?

片山: まだ会ってないです。

――最初に会って、どんな言葉を?

片山: まあ、「ただいま」と。

佐藤: 実は、車の中に弟さんがいて、一緒に迎えに行ったんです。で、乗り込んで「やあ」って、助手席と後部座席で握手したわけですけれど、身内で最初に会ったのは、弟さんですね。

――弟さんとは、どんな話をしましたか?

片山: まあ、世間話程度です(笑)。

――今回の事件以降ですが、えん罪について勉強されたりされましたか?

片山: はい、かなり。弁護人から、たとえば足利事件だったり、松本サリン事件だったり、そういった本を差し入れてもらったりとか・・・。

佐藤: 河野義行さんの本ですね。

片山: あと、国策捜査関連ですね。鈴木宗男さんの事件とか……。

佐藤: 佐藤優さんの。

――本はどれぐらい読まれたのですか。

片山: この1年で500冊は超えていますね。

佐藤: 江川さんが書かれた村木(厚子)さんの本も……。

片山: あれも熟読しました。本の差し入れは竹田先生から。

佐藤: マンガも読みましたけどね、たくさん。

――体調はどうですか。

片山: まあ、悪くはないですが、やっぱ歯の治療が必要なところ・・・あそこは申し込んで3カ月待ちなので、いま歯に大きい穴が空いた状態で、早く歯医者に行きたいですね。

佐藤: そうそう。健康保険もね、切れちゃって。

片山: 会社の健康保険はもう使えないので、早く国民健康保険に入って、必要な診察を受けたいと思います。

――去年逮捕されてから1年、いまも裁判は継続中で、被告人という立場で、世の中的には犯人なんじゃないかという見方も今まではあったと思うんですけども、いま一番、誰に対して何を言いたいですか?

片山: やはり家族に対して、「いままでも、いまも、信じてくれていてありがとう」と言いたいです。

(片山祐輔被告人の保釈会見・後半おわり)

(弁護士ドットコムニュース)

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