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2012年11月30日 18時39分

企業のSNS関連の不祥事を予防するためにはどうすべきか

企業のSNS関連の不祥事を予防するためにはどうすべきか

今年10月、大手ファッション通販サイトZOZOTOWNの利用者と思われる人が、送料への不満をTwitterでつぶやいた。これに対し、同サイトの運営会社社長が、「ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ」「二度と注文しなくていい」と発言、批判が集中する騒動が発生した。

ZOZOTOWNの事例は社長の発言がきっかけとなったが、社員やアルバイトによるTwitterやSNSなどでの言動が、勤務先の企業を巻き込む騒動になった事例も多い。

過去にも、大手牛丼チェーン吉野家のアルバイト店員が、「テラ豚丼」と称し同店にはない不衛生な豚丼の動画をニコニコ動画に投稿した事件や、スポーツブランドadidasの社員が、自社店舗に来店した契約選手に対する中傷をTwitterに投稿した事件もある。

こうした事態をうけて、従業員のSNSの使用ルールを定めた「ソーシャルメディアポリシー」を作成するなどの対策を始めた企業が増えているという。上記のような騒動が発生すれば、消費者から反発を受けるなど企業の信頼を損ねることになりかねず、企業としては未然に防止する必要があるからだ。

それでは企業がSNS関連の不祥事を予防するためには、どのような点に気をつけるべきか。システム紛争やインターネット紛争に詳しい藤谷護人弁護士に聞いた。

●現状では、企業の対策がSNSの普及に追いついていない

「スマホとそれを使ったソーシャルメディアとは、個人が安価で簡単に双方向の高性能な情報発信を行えるという通信技術です。この技術は、世界政治の上で長年続いた独裁政治体制を打破する要因ともなり『ソーシャルメディア革命』をもたらしました。」

「一方、我が国では平成23年のスマホの爆発的普及により『ソーシャルメディア・企業トラブル』が頻発しています。原因は、ソーシャルメディア技術には、メリットと共にデメリットがあるのに、デメリットの実態(問題点)が正しく認識されておらず、そのデメリットを適切にコントロールする考え方と手法が確立・普及されていないためです。」

●ソーシャルメディアでのトラブルには「情報漏洩型」と「不適切発言型」の2つのタイプがある

「ソーシャルメディアでのトラブルには、『情報漏洩型』と『不適切発言型』の2つの異なるタイプがあります。情報漏洩問題に対する企業の対策は、不正競争防止法の強化や個人情報保護法の制定などを契機として、ある程度整備されてきましたが、不適切発言問題は考え方や統制手法を全く異にします。このことは企業における所管部署をどうするか、という問題にもなります。」

●個人が容易に情報を発信できるようになり、従来の対策が通用しなくなった

「また、別の問題点としてメディアのパーソナル化があります。旧来のメディアは組織所有であり、アクセスコントロールを中核とする組織的統制の下に置くことが可能で、メディアから発信する情報は組織的に生成管理されている情報に限定されていました。しかしスマホは個人所有で、プロバイダーも個人加入、発信情報も個人の脳の中で生成管理されています。」

●仕事に携わる、一人ひとりの徹底的な教育こそが一番の防止策

「従来の組織的セキュリティ対策の不適合も問題です。従来の客観的防止策であるファイアウォールもパスワードもログ管理も、どれ1つとして効かないのです。少なくとも現時点では、『守秘義務』と『信用失墜禁止義務』という主観的抑止策をどの様に補強し、強化するか、が考えられる最善策といえます。この一つが『ソーシャルメディアポリシー』です。」

●ソーシャルメディアポリシーの作成だけでなく、それを前提とした仕組み作りが重要

「しかし、『主観的抑止策』には、抑止力の担保の弱さ、抑止力の不確かさ、抑止力の時間的限界などの脆弱性が大きいので、決してポリシーを定めればそれで良しとしてはいけません。これらの脆弱性に対する仕組みを組織的コントロールの中に組み込み、実施しなければならないのです。」

「なお、ZOZOTOWN事件によって、ソーシャルメディアポリシーの適用対象を従業員だけではなく、トップマネジメント層にも拡大する必要が生じ、これにより企業組織の法的規律が複雑になることにも注意が必要です。」

●企業だけでなく従業員を守ることにもつながる

もしSNS関連の不祥事が起きれば、企業の信頼も損なわれるが、不祥事を起こした従業員も過去の投稿履歴を通じて個人情報を特定されインターネット上で激しく批判を受けるなど、重い代償を払うことが多い。

企業がSNS関連の不祥事の予防に取り組むことは、そのような事態にならないよう従業員を教育し守ることにもつながる。

ソーシャルメディアポリシーを作成するだけでなく、それが実際に機能するよう社内向けの研修を行なうなど、その目的をしっかりと社内に伝えて浸透させる仕組みを作ることが、不祥事を予防するために重要になるだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

我が国弁護士の中で唯一のシステム監査技術者・公認システム監査人、総務省行政管理局技術顧問、中央大学法科大学院講師、元東京地方裁判所非常勤裁判官、等
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