弁護士ドットコム特別企画

vol.4 川村 明 弁護士 国際法曹協会(IBA)会長

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ローヤリングは業務拡大で必須のスキル

──では、これから日本の弁護士、とくに若手の弁護士はどのように新しい仕事を切り拓いていったらよいのでしょうか。

川村御社の元榮社長は、弁護士ながら、新しいビジネスモデルに挑戦して成功している典型的な開拓型若手弁護士です。私の法律事務所アンダーソン・毛利・友常法律事務所にも、新規分野を自らの手で開拓した若手弁護士が何人もいますが、そのごく最近の成功例として、琴浦諒(ことうら・りょう)弁護士のことをご紹介したいと思います。

琴浦弁護士は2007年9月から翌年の5月までインドの経済拠点であるムンバイのローファームで勤務し、インドの法律を学びながら現地の法曹人たちと深い人脈を築いてきました。同時に、現地に進出する日本企業とインドとの架け橋を担ってきたのです。いまでこそ世界第2位の人口を擁するインドの経済成長力が脚光を浴びていますが、当時はそれほどでもありませんでした。そうしたなか自ら現地に飛び込みながら実績を上げてきたことで、いまや琴浦弁護士は業界のアジア進出ブームのスターになっています。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所には、天安門事件後の混乱の時代から日中取引の世界を開拓してきて、今やその世界で押しも押されもしない権威になった森脇章(もりわき・あきら)弁護士やUAEのアブダビで研修してきた若手の上林英彦(かんばやし・ひでひこ)弁護士もいます。

「架け橋」という言葉は、これからの国際弁護士業務のキー・ワードです。弁護士が法律知識を身に付けているのは当り前。その法律知識を使って、現実問題を解決していく法律と現実の架け橋が重要です。そうした架け橋のことを、私は「ローヤリング」と呼んでいます。法律と現実問題を結び付ける能力と言い換えてもいいでしょう。もし、自分の知らない分野の法律知識が求められているのなら、それに精通した弁護士と協力して問題解決に当ればいいのです。そうやって「リーガル・サービス・プロダクト」を作り上げて依頼者に提供していけば、いくらでもニーズを掘り起こせるようになります。

──ローヤリングは日本ではまだ耳慣れない言葉のように思われますが、海外の法曹界ではかなり定着しているのでしょうか。

川村アメリカのハーバード大学のロースクールには「外国投資や取引におけるローヤリングはどうあるべきか」といったカリキュラムがあり、弁護士が身に付けるべきスキルとして認知されています。日本のロースクールにも一部組み込まれてはいるものの、実際の内容は単なる法律相談の技術にとどまっているのが実状です。

先日、大手商社の法務部の方とお話をする機会があり、「グローバル化を進めていくなかで、自分たちが必要とするリーガル・サービスを現地で調達できなくて困っている」と嘆いておられました。そうしたニーズに応えていくスキルが、まさにローヤリングなのです。そして、琴浦弁護士のように海外進出にともなう法的な問題を日本の言葉に解きほぐしながら分析・解決できるローヤリングのセンスを身に付ければ、「グローバル・ロイヤー」として世界中で通用するようになります。

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