2019年05月16日 09時42分

まだ生き残っていた、手書きのタイムカード 鉛筆は「不適切」

まだ生き残っていた、手書きのタイムカード 鉛筆は「不適切」
画像は取材を元にしたイメージです

「タイムカードが手書きってありですか?」。こんな質問が弁護士ドットコムニュースのLINE@に寄せられました。

相談を寄せたのは、九州地方で介護士をしている30代男性です。男性が働く施設では、タイムカードは紙に「鉛筆」で出勤・退勤時間を自分で手書きし、その上に自分の印鑑を押す決まりだそう。

男性は「印鑑押してるので、こちらも了承してると受け取られそうだと考えています。さらに、書くのは鉛筆と決まっています。何故ですかね?」とかねてから疑問に感じているようです。

職場で「手書き」で労働時間を管理するのは、法的に問題ないのでしょうか。岡村勇人弁護士に聞きました。

●手書きはOK?

「結論としては、問題があると言えます。詳しく説明していきましょう」

出勤簿に手書きで始業・終業時刻を記録する方法はOKなのですか。

「出勤簿への書き込みが相談者自身の自己申告によって行われているのだとすれば、ガイドラインが定める原則的な確認・記録の方法には当たらないということになります。ただ、労働者の自己申告制を否定しているわけではありません。

やむを得ず自己申告制により始業・終業時刻を把握する場合には、使用者が労働者に対して適正に自己申告を行うよう十分な説明をしたり、報告が適正に行われているか確認するように示しています。

したがって、こうした措置が講じられているような場合には、タイムカードへの出勤・退勤時刻の記録が手書きによる自己申告で行われていたとしても、そのことをもって直ちにダメだということにはならないと考えられます」

●鉛筆は「不適切」

相談者は、手書きなうえ、鉛筆で書き込むよう言われているようです。

「出勤簿に記録された始業・終業時刻が、労働者の手書きの自己申告によるものであった場合、機械のような正確性や客観性が認められません。

タイムカードに記録された時刻の正確さ(信用性)自体に争いの余地を生むことになり、労働時間を証明する証拠としての価値は相対的に低くなります。

さらに、タイムカードへの記入が鉛筆によってなされている場合には、消しゴムなどで消して訂正や改ざんをすることが簡単にできてしまいます。記録された時刻の正確さに対する疑問は大きくなり、労働時間を証明するための証拠としての価値は一層低くなると思われます。

したがって、労働時間に関する紛争防止の観点からも、労働者の自己申告の時刻を鉛筆書きでタイムカードに記入する方法は、労働時間の把握・管理の方法として不適切だといえるでしょう」

●機械への切り替えを進めるべき

手書きの出勤簿やタイムカードを使い、労働者の自己申告制によって労働時間の確認・管理を行っている会社は、まだまだ多いのかもしれません。

「使用者が労働者の労働時間を適正に把握することは、労働者の賃金の正確な算定のために必要なだけではなく、労働者の健康管理の観点からも必要とされます。

2019年4月1日に施行された『働き方改革関連法』と呼ばれる一連の法改正により、労働安全衛生法において、労働者の健康保持の観点から、使用者が労働者の労働時間の状況を把握する義務を負うことが新たに規定されました(労働安全衛生法第68条の8の3)。

この法律でも、労働時間の状況の把握方法は、タイムカードによる記録やパソコン等の使用時間の記録などの客観的な方法その他適切な方法によって行うこととされています(労働安全衛生規則第52条の7の3)。

使用者が労働者の労働時間を適正に把握する必要性は、これまで以上に高まってきています。 労働時間に関する紛争防止及び紛争が生じた場合の証拠確保の観点に加え、労働者の健康管理の面からも、機械を用いた客観的な方法への切り替えを進めていくべきだと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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岡村 勇人弁護士
弁護士企業の法務部門などでの会社員経験を経て、2008年に弁護士登録。労働事件のほか、交通事故、相続などを中心に幅広い分野の案件を扱う。2016年10月に兵庫県西宮市に岡村法律事務所開設。
事務所名:岡村法律事務所

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