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イラスト:イキウサ

客が少なければ「時給ゼロ」⁈ バイトが知りたい「支払い交渉」マニュアル

居酒屋でのアルバイト中、客が少ないときには、時給がゼローー。店側の都合で、強制的に休憩をとらされているアルバイトは、どのように時給を請求することができるのでしょうか? その具体的な方法について、上林佑弁護士に聞きました。

Q. 「店側の都合による休憩分の時給は支払ってもらえない?」

娘が居酒屋でアルバイトをしています。

決められたシフトで出勤しても、来店客数が少なくヒマな場合には、事務所で待機(休憩)させられるそうです。しかも、その時間は時給を支払ってもらえません。

混んでくると、休憩を終了して、働き始めるようです。

休憩とはいっても、事務所内での待機ですから、拘束されていることになるかと思います。

客が少ないのは娘の責任ではありませんし、拘束している以上、時給を支払うのは当然ではないでしょうか。

A. 「時給を請求できると考えられます」

労働基準法上、「休憩時間」とは、労働者が、労働から離れることを「権利として保障されている時間」を意味しており、その他の拘束時間は、労働時間として取り扱うこととされています(昭和22.9.13都道府県労働基準局長あて労働次官通達発基17号)。

ですから、「休憩」とは呼んでいても、事務所内での待機が必須で、お客さんが来たら対応しなければならないような場合は、労働からの解放が保障されているとはいえません。いわゆる「手持ち時間」であり、労働基準法上の休憩時間とはいえません。

そのため、ご相談者のお嬢さんは、店が命じた「休憩」時間も労働時間であると主張して時給の支払を求めることができるでしょう。

ところで、休憩時間は、労働時間の途中であればどの段階で与えてもよいものです。お客さんが少ない時間帯に、休憩を与えること自体は問題がありません。

しかし、もともと予定されていた休憩時間数を超えて、「客が少ないので」という理由で、客が来るまでの間、一方的に休憩を命じることは問題がないとは言えません。

アルバイト店員は、予定されていた労働時間については、休憩せずに働きたいと考えるのが一般的でしょう。にもかかわらず、店が、「客が少ないから」という理由で、もともと予定されていた休憩時間数を超えて、一方的に休憩を命じることは、人件費を削るための身勝手な行動と考えられます。

この点、民法には危険負担(民法536条第2項)という考えがあり、店に故意・過失がある事情によって、アルバイト店員が労務の提供ができなかったときは、アルバイト店員は、店に対する賃金請求権を失わないとされています。

そのため、アルバイト店員は、本件のように店の一方的な事情でその意思に反して休憩を命じられた場合には、予定されていた休憩時間数を超えて休憩を命じられた時間数に相当する時間について、その時給を請求できると考えられます。

しかし、店に対して、休憩を命じられて削られた労働時間数についても時給計算をして支払って欲しいと請求しても、これに応じてもらえないことも考えられます。

店が支払ってくれない場合に、法的な手段として取り得るものとしては、支払督促、民事調停、民事訴訟(金額によっては少額訴訟)、労働審判等の手段が考えられますし、労働局で行っているあっせん手続の利用等も考えられます。様々な手段がありますので、専門家と相談の上で最善策を検討していただきたいと思います。

まずは、最寄りの弁護士会や、労働基準監督署へご相談なさってみるとよろしいかと思います。

取材協力弁護士 上林 佑 (かみばやし ゆう)弁護士
仙台弁護士会所属。労働問題を中心に、債権回収、その他企業法務一般、交通事故、知的財産権等、広く取り扱っている。
三島法律事務所

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