年俸制

弁護士監修記事 2017年09月26日

年俸制でも残業代が発生するケースとその計算方法

成果主義を背景に、従業員の給与について「年俸制」を導入している企業は少なくありません。 年俸制というと、「年間で支払われる金額が決まっているのだから、残業代は発生しないのではないか」と疑問を持つ人もいるでしょう。 この記事では、年俸制で働いている場合でも残業代が発生するケースなどについて解説します。

目次

  1. 年俸制で残業代が発生する場合
    1. 残業代の計算方法
  2. 残業代を請求する

年俸制で残業代が発生する場合

年俸制の場合、「年俸額のみが支払われる、いくら残業しても残業代は支払われない」という誤解がありますが、残業代は別途発生します。 会社によっては、年俸額にあらかじめ想定した残業時間分の残業代を含めているという「固定残業代制度」をとっている場合もあります。 基本給と残業代の区分を明確に定めておくこと、区分して計算した残業代も法的な割増率を満たしていることが条件です。 固定残業代を定めた場合でも、想定の残業時間を超えた分に対しては、別途残業代の支払いが必要です。 固定残業代制度を適用するためには、就業規則などで基本給と残業代の区分を明確に定めることや、何時間分の残業代を含むとするかを記載する必要があります。

残業代の計算方法

「年俸+固定残業代」で勤務している場合でも、次の場合は、固定残業代の他に、残業代・割増賃金が発生します。

  • 固定残業として定められた時間以上に残業した場合
  • 深夜(22時〜5時)に働いた場合 
  • 法定休日に働いた場合

どのように計算すればよいのか、簡単な例を紹介します。

時給の計算方法や休日の考え方など、残業代を計算するために確認が必要な点がいくつかありますが、固定残業における残業代をイメージしてもらうために、ここでは詳細は省いて解説します。時給の計算方法や休日の考え方については、別に詳しく解説した記事があるので、そちらを参考にしてみてください。記事の末尾に参考リンクを掲載してあります。

固定残業として定められた時間以上に残業した場合

固定残業として定められた時間を超えて残業した場合、超えている部分は時間外労働となるので、超えた部分の時間に別途残業代が発生します。 具体的には、超えた部分の時間に対して、時間外労働した場合の割増賃金率(25%以上)を時給に上乗せした割増賃金が生じます。 たとえば、以下のようなケースで計算してみましょう。

  • 固定残業代は5万円(40時間)
  • 実際の残業時間は50時間だった
  • 月給から換算した時給は1000円
  • 時間外労働の割増賃金率は25%

この場合、固定残業として定められた時間(40時間)に対し、実際には50時間残業しているので、10時間分の割増賃金が別途発生します。具体的な計算式は以下のようになります。 10時間 × 1000円 × 1.25 = 1万2500円 固定残業として定められた時間を超えて残業した時間(10時間)に対し、1万2500円の割増賃金が、固定残業代とは別に生じることになります。

深夜(22時〜5時)に働いた場合

深夜(22時〜5時)に働いた場合は、働いた時間に対して、基礎時給に深夜労働した場合の割増賃金率(25%以上)をかけて計算します。 たとえば、以下のようなケースで計算してみましょう。

  • 固定残業代は5万円(40時間)
  • 1か月の残業時間は30時間だった
  • 残業時間のうち、深夜(22時〜5時)の残業は10時間だった
  • 月給から換算した時給は1000円
  • 深夜労働の割増賃金率は25%

この場合、固定残業代に含まれた残業時間の範囲内ですが、深夜労働の割増分について別途賃金が発生します。具体的な計算式は以下のようになります。 10時間 × 1000円 × 0.25 = 2500円 このように、固定残業代の範囲内の残業であっても、別途2500円分の深夜残業代が生じることになります。

「法定休日」に働いた場合

労働基準法では、従業員が最低でも1週間に1回、または、4週間に4回以上の休みを得られるよう定めています(法定休日)。 多くの会社で週休2日制を採用していますが、法律で定めれられた休日(法定休日)は週1日であり、残り1日は会社が定めた「所定休日」です。 法定休日の曜日は、就業規則や雇用契約書を確認してみましょう。記載がない場合、土日が休みの会社であれば、日曜日を法定休日としていることが多いです。 法定休日に労働した場合は、働いた時間に対して、法定休日に労働した場合の割増賃金率(35%以上)を基礎時給に上乗せした割増賃金が生じます。 法定休日に出勤した場合の割増賃金について、以下のようなケースで計算してみましょう。

  • 固定残業代は5万円(40時間)
  • 休日以外の残業時間は20時間
  • 日曜日が法定休日になっている
  • 日曜日に4時間働いた
  • 月給から換算した時給は1000円
  • 法定休日に働いた場合の割増賃金率は35%

固定残業時間には、法定休日の労働時間を含むことができません。そのため、月の残業時間が、固定残業で決められた時間の範囲内でも、法定休日に働いた場合は、その時間分の残業代と割増賃金がフルで発生します。 計算式は以下のようになります。 4時間 × 1000円 × 1.35 = 5400円 固定残業代とは別に、法定休日の残業代・割増賃金が生じることになります。

一方、会社が定める法定休日以外の休日(所定休日)に働いた場合は、固定残業の時間の範囲内に収まっている限りは、残業代・割増賃金は別途発生しません。

残業代を請求する

具体的に未払いの残業代を請求する方法については、この記事の下の関連記事で解説しています。

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