給料

弁護士監修記事 2017年09月12日

残業代の計算、最低賃金…給与についておさえておくべき法的な基本ルール

普段なにげなく受け取っている会社の給与。給与明細の中身などあまりチェックしないという人もいるでしょう。 ですが、最低賃金の目安や残業代の計算のルールなど、給与について知っておくべき法的なルールはいくつもあります。 ここでは、賃金と手当の区別、残業代計算の基本的なルールなど、給与についての基本的な法的ルールを紹介します。

目次

  1. そもそも「給料」とは?
    1. 給料・給与
    2. 賞与
  2. 賃金支払いのルール
    1. 「通貨で」支払われなくてもよいケース
    2. 「全額で」支払われなくてもよいケース
    3. 「毎月1回以上」「一定期日に」支払われなくてもよいケース
    4. 「労働者に直接」支払われなくてもよいケース
    5. [参考]ノーワーク・ノーペイの原則
  3. 手当は必ず支給されるわけではない
  4. 割増賃金の発生条件
    1. 時間外労働
    2. 深夜労働
    3. 休日労働
    4. 残業時間が月60時間を超えた場合(中小企業のみ対象)
  5. 最低賃金のルール
    1. 自分の賃金が最低賃金以上かどうか確認する方法
    2. 最低賃金を下回っていた場合の対処法

そもそも「給料」とは?

労働の対価として得る金銭のことを、法律ではまとめて「賃金」といいます。普段よく耳にする給料(給与)も「賃金」に含まれています。

この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者(雇用主)が労働者に支払うすべてのものを言う」と定義されています。簡単に言うと、労働者が得る報酬の総称です。

労働基準法11条

給料・給与

給料と給与に大きな違いはありません。給料は主に基本給のことを指すのに対し、給与はあらゆる労働の対価報酬を表します。給与の方が意味する範囲は広いものとなります。公務員の報酬も給与と呼びます。

賞与

固定給の労働者に対し、毎月の給料とは別に支払われる特別な報酬です。賞与に関する法的ルールはなく、賞与(ボーナス)は当然支払ってもらえるものではありません。 就業規則や雇用契約で定められていないかぎり支払ってもらうことはできず、その支払時期や金額については、事業者それぞれで支給の有無、支払い時期や金額の基準は異なります。  

賃金支払いのルール

賃金の支払い方法については、労働基準法24条で定められています。「賃金支払の5原則」と呼ばれ、次のようなルールが定められています。

  1. 通貨で
  2. 全額を
  3. 毎月1回以上
  4. 一定期日に
  5. 労働者に直接支払う

この原則には次のような例外もあります。

「通貨で」支払われなくてもよいケース

労働協定などで現物支給の定めがある場合は、通貨の形でなくても(たとえば定期券のような形で)支払うことが認められています。

「全額で」支払われなくてもよいケース

賃金から前借金や損害賠償金を相殺することは、原則としてできません。会社に返済しなくてはならない前借金などがあっても、労働者は、いったん賃金を全額受け取ることができるのです。 しかし、労働者の真摯な同意や希望がある場合には、相殺も可能とされています。

「毎月1回以上」「一定期日に」支払われなくてもよいケース

臨時に支給される賞与(ボーナス)や、査定期間が1か月を超える場合の精勤手当や能率手当などは例外と認められます。

「労働者に直接」支払われなくてもよいケース

現在多くの事業者が実施しているように、手渡しではなく銀行振り込みの形で支払うことが認められています。 ただし労働者本人の同意と、労働者本人名義の銀行口座への振り込みであることが条件です。

[参考]ノーワーク・ノーペイの原則

「賃金は労働の対価である」という原則は、「ノーワーク・ノーペイ(労働なければ支払いなし)と表現されることがあります。仕事を休み、働いていない分の賃金は基本的には支払われません。 この原則には例外があります。代表的な例として、年次有給休暇があげられます。 このほかにも、事業者の都合により自宅待機などを命じた場合です。このような場合、民法の「危険負担」という考え方に基づき、労働者側には賃金を請求する権利があります。 労働者が働くことができるのに事業者側の都合で働くことができなかった場合は、その期間の賃金が支払われるべきと考えられているのです。

手当は必ず支給されるわけではない

「手当」と呼ばれる、基本給以外に付与される賃金については、事業者に支払いを義務づける法律上の規定はありません。 どのようなの手当を付けるか、いくらにするか、などは各事業者が独自に定めているものです。主な手当には、以下のようなものがあります。

  • 通勤手当
  • 役職手当
  • 資格手当
  • 皆勤手当

通勤手当については支払われることが当然だと考える方もいるかもしれませんが、通勤手当の支払いを義務付ける法的な定めがない以上は、事業者が通勤手当を支払わなくても違法ではないのです。 しかし、就業規則や雇用契約書で各種手当を支払う旨の規定や、その種類や金額を明記している場合は別です。この場合は事業者の都合で支払わなかったり、減額したりすることはできません。手当の減額や支給停止をしたい場合には労働者の同意が必要です。

割増賃金の発生条件

時間外労働や深夜労働、休日出勤などの場合は、賃金が割り増しされます。この割増分を「時間外手当」などの名目で手当として付与する事業者もあります。

時間外労働

1日8時間、週40時間を超えた分は時間外労働となります。割増率は2割5分、つまり25%です。時給1,000円の人が時間外労働した場合の賃金は1,250円となります。

深夜労働

午後10時から午前5時までの時間は深夜業となり、2割5分以上の割増率となります。 深夜労働かつ時間外労働の場合は、深夜労働の割増(25%)に時間外の割増(25%)が加算され、割増率が50%となりますので、先ほどの例での賃金は1,500円となります。

休日労働

休日労働とは、法定休日(週1日)に労働することを言います。週7日間休まずに働いた場合などは、そのうち1日は休日労働となります。3割5分以上の割増率です。 休日労働は特別な労働時間と考えられていて、たとえ休日労働かつ時間外労働であっても割増率は35%のままです。 他方、休日労働かつ深夜労働の場合は、休日労働の割増率(35%)と深夜労働(25%)の割増率が合算され、割増率は60%になります。

残業時間が月60時間を超えた場合(中小企業のみ対象)

法定時間外労働が1か月に60時間を超えると、割増賃金率は50%以上になります。 ただし、法律の経過措置として、次の表の業種で、①②のどちらかの条件をみたす中小企業は、現状このルールが適用されていません。適用されるのは2019年4月1日からの予定です。

業種 ①資本金(または出資)の額 ②労働者の数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 1億円以下 300人以下

最低賃金のルール

労働者の生活水準をある程度保障するため、都道府県ごとに「最低賃金」が設定されています。最低賃金は、たびたび改訂されるので注意しましょう。 この最低賃金のルールは、雇用形態を問わず雇用契約を結んでいる労働者全て適用されます。試用期間であっても同様です。

自分の賃金が最低賃金以上かどうか確認する方法

自分の給料が最低賃金以上かどうかを確かめるには、以下のような計算式を活用しましょう。くわしく知りたい方は厚生労働省のHPを参考にしてください。

  • 時給【時間給≧最低賃金額(時間額)】
  • 日給【日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)】
  • 月給【月給÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)】
  • 年俸制【年俸額÷12÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)】
  • 歩合制【歩合給(割増賃金分を除く)÷1か月の総労働時間数≧最低賃金額】

最低賃金を下回っていた場合の対処法

自分の時給が最低賃金以下だとわかった場合、差額は未払い賃金として事業者へ請求できます。 会社が差額請求に応じない場合は、罰金のペナルティ(50万円以下)をうけることになります。 雇用契約が最低賃金以下の条件で結ばれていたとしても無効です。会社の就業規則や雇用契約書に規定されていても、それが法律に違反していれば従う必要はありません。

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